24/07/20
ガソリン補助金は夏以降も継続!そもそも、ガソリン税ってどうなっているの?
原油価格の上昇などをうけて高騰するガソリン代。この影響を緩和する「ガソリン補助金」は、2024年夏に終了する予定でした。しかし、ガソリン価格が一向に下がる気配がないこともあり、政府はガソリン補助金を夏以降も継続することを発表しました。ガソリン価格の高騰は、多くの家庭や企業に大きな影響を与える重要な問題です。今回は、ガソリン補助金とは何か、ガソリンにかかる税金はどうなっているのかを解説します。
石油元売り会社に支給されるガソリン補助金
ガソリン補助金とは、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき実施する施策の一つです。全国平均のガソリン価格が一定価格以上になった場合、出光興産株式会社やENEOS株式会社などの石油元売り会社に対して補助金を支給して卸売価格を抑制します。ガソリン等の小売価格の急騰を抑制することで、消費者の負担を低減することを目的としています。
ガソリン補助金がスタートしたのは2022年1月のこと、以後、レギュラーガソリンの全国平均価格は次のとおりに動いています。
<レギュラーガソリン・全国平均価格>
経済産業省のウェブサイトより
下の実線のグラフがレギュラーガソリンの全国平均価格です。それに対し、上の点線のグラフはガソリン補助金がなかった場合のレギュラーガソリンの価格です。当初、ガソリン補助金の上限額は1リッターあたり5円でしたが、その後25円、35円などと拡大。以後やや縮小も、2023年10月からは「17円超は全額補助、17円以下の部分は3/5を補助」としています。
2024年7月10日時点でのレギュラーガソリンの全国平均小売価格は、1リットル当たり176円20銭。これは、政府が石油元売り会社にガソリン補助金を支給することで全国平均小売価格を175円程に調整している結果です。もし、現在の原油価格の水準のまま補助金の支給がなくなれば約208円まで上昇する可能性もあります。
資源エネルギー庁「燃料油価格激変緩和対策事業について」には、ガソリン補助金は2024年いっぱい継続されることが記されています。その後、段階的に終了する見込みです。
ガソリン税はどうなっているのか
一方、ガソリンには税金がかかっていることをご存じの方もいるでしょう。ガソリン税とは、「揮発油税」「地方揮発油税」の2つを合わせた国税で、おもに道路整備・道路建設費などの財源に充てられる目的で設定されました。
揮発油税はおもに自動車の燃料に用いられるガソリンにかかる税金です。揮発油税の税率は、揮発油1キロリットルにつき2万4300円です。
地方揮発油税もおもに自動車の燃料に用いられるガソリンにかかる税金です。ただし、課税対象となるのは揮発油の製造者や輸入者(揮発油を外国から輸入してきた場合)です。地方揮発油税の税率は、揮発油1キロリットルにつき4400円です。
これらの税金は、ガソリン本体価格に上乗せされています。ガソリン1リットル当たりに課されるガソリン税額は53.8円です。そのうえ、石油に課せられる「石油石炭税」や「温暖化対策税」なども上乗せされます。そして、これらの価格を合計した金額に10%の消費税がかかります。ガソリンは、本体価格の実に4割以上が税金なのです。
トリガー条項があるものの発動されていない
ガソリン価格が一定の水準を超えた場合に発動される仕組みとして「トリガー条項」があります。トリガーは、銃などの引き金をひく、(装置などを)動作させるといった意味。ガソリン価格のトリガー条項は、ガソリン価格が急騰した際に税率を一時的に引き下げ、消費者の負担を軽減するためのものです。
トリガー条項でいうところの「ガソリン価格が急騰した場合」とは、全国平均のガソリンの小売価格が1リットル当たり160円を3か月連続で超えた場合をいい、その場合、自動的にガソリン税が1リッターあたり28.7円に引き下げられる仕組みとなっています。
上でも触れたとおり、全国平均のガソリンの小売価格は1リットル当たり176円20銭ですから、一見トリガー条項の要件に該当しているように思えます。トリガー条項が発動すると、ガソリン価格が1リッターあたり25.1円安くなります。しかし、トリガー条項は発動されていません。
なぜ、トリガー条項が発動されないのでしょうか。その理由として、政府は公共サービスやインフラ整備のための財源を確保する必要があるため、簡単に税率を引き下げられないことを挙げています。また、ガソリンの買い控えや流通の混乱を招く、巨額の財源が必要になるともしており、トリガー条項の発動には慎重になっています。
もっとも、ガソリン補助金を続けることも財政にはマイナスです。今後も、原油価格の上昇や円安を背景にガソリン価格の高止まりが続くことになれば、トリガー条項を解除することも検討されるかもしれません。
ガソリン補助金の動向に注目しよう
ガソリン補助金は2024年内いっぱい継続することを紹介しました。その後段階的に終了すれば、ガソリン価格は値上がりします。ただ、ガソリン補助金はこれまでも幾度となく延長されてきました。2025年以降もガソリン価格が高止まりするようであれば、延長もあるかもしれません。舵取りが難しい問題ではありますが、特にガソリンを使っている方は今後の動向に注目しましょう。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー
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