24/06/04
定額減税で月20万円・30万円・40万円の6月の手取りはいくら増えるのか
定額減税は所得税と住民税を減らす制度で、会社員なら6月の給与や賞与の支給から手取りが増えます。しかし、家族構成や給与額は個人で違うため、いくら手取りが増えるのかわかりにくくなっています。
今回は、定額減税の仕組みを把握するとともに、月収20万円・30万円・40万円の各世帯の6月の手取りがいくら増えるのか、注意点とともに紹介します。
そもそも定額減税とは?
定額減税とは、所得額に関係なく同じ額を税金から差し引いて、税金の負担を軽くする減税の方法です。所得が多い人より少ない人の方が減税の効果は大きくなります。
2024年の税制改正において減税を受けられるのは、合計所得金額が1805万円以下(給与所得のみの場合は2000万円以下)の人です。所得税は2024年分、住民税は2023年分で判断されます。
所得税、住民税ともに定額減税を受けられるのは、国内居住者に限られます。住民税が均等割のみの課税の人は、定額減税の対象外になります。
今回の定額減税の減税額は、納税者本人や配偶者、扶養親族1人につき、所得税で3万円、住民税で1万円になっています。本人に扶養親族がいれば、家族の分も一緒に受け取れますが、配偶者は同一生計で、合計所得金額が48万円以下の人になります。ここでの配偶者には、青色事業専従者は除かれます。また、定額減税での扶養親族は、16歳未満の扶養親族も含まれるので注意しましょう。
たとえば、夫が妻と子2人を扶養する4人家族の場合には、家族の分が合算されるため、所得税で合計12万円、住民税で4万円減税されることになります(なお、妻が夫と子2人を扶養する4人家族でも同様です)。
この減税は、現時点では1年かぎりの措置とされています。
所得税・住民税はどう減税される?
給与所得者の場合、所得税の定額減税は、毎月の給与から源泉徴収される税額から控除することで行われます。所得税の税額は、給与から社会保険料を差し引いた金額や扶養家族の数で異なります。
まず、6月以降に受け取る給与や賞与に対してかかる所得税額から控除します。それでも引き切れない場合には7月の給与の所得税から控除し、12月の給与の所得税まで、必要な減税額に達するまで天引きされる額を減らします。つまり、控除しきれない間は、所得税額が0円ということになります。
一方、住民税の定額減税では、2024年6月は徴収せず、減税後の年額を2024年7月分から2025年5月分までの11か月に分割して給与から徴収する方法で行われます。たとえば、減税前の住民税額が12万円で減税額が1万円のケースでは、住民税額11万円を11か月に分けて納付します。各月の徴収額は1万円ということになります。なお、もともと住民税は賞与からは引かれないしくみになっています。
【シミュレーション】定額減税で手取りはいくら増えるのか?
では、月収20万円・30万円・40万円の場合、定額減税で手取りがいくら増えるのかをシミュレーションしてみましょう。
所得税額の計算は、給与から社会保険料、雇用保険料を差し引いた「課税所得」を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に照らし合わせて源泉徴収額を計算します。給与額が同じだったとしても、扶養家族の人数で税額は異なります。
今回のシミュレーションでは、社会保険料は健康保険料9.98%(2024年協会けんぽ東京、40歳未満)、厚生年金保険料18.3%(労使折半)、雇用保険料(1000分の6)としています。また、月収20万円の場合には年収240万円、月収30万円の場合には年収360万円、月収40万円の場合には年収480万円として計算しています。
定額減税は、給与だけではなく賞与からも所得税を控除します。6月上旬には賞与が支給される会社や団体もあるかと思いますが、ここでは賞与は考慮せずにシミュレーションしています。
●月収20万円(単身)の場合
月収20万円の単身の場合をシミュレーションしてみましょう。年間の定額減税額は所得税3万円、住民税1万円です。6月の給与では、所得税3700円、住民税7420円が減税されて、手取りが1万1120円増えます。
<月収20万円(単身)の6月の手取りはいくら増える?>
シミュレーション結果をもとに筆者作成
●月収30万円の場合
月収30万円では単身、扶養親族が1人の場合、扶養親族が2人の場合をくらべてみましょう。所得税額は扶養親族が多いほど少なくなる仕組みがとられています。6月の給与で思ったより手取り額が増えなかった場合には心配になるかもしれませんが、12月の給与まで、合計の減税額に達するまで減税されます。所得税額や住民税額から減税額を引き切れない場合には、自治体から給付金が支給されることになっています。この例では、扶養1人・扶養2人の場合、所得税から減税額が引ききれない計算です。
<月収30万円単身・扶養1人・扶養2人の6月の手取りはいくら増える?>
シミュレーション結果をもとに筆者作成
●月収40万円の場合
もともと納税額が多い人は、6月の給与の手取り額は大きく増えます。ただし、減税される税額は決まっているので、合計の減税額に達する期間が短いというだけの違いでしかありません。この例では、扶養2人の場合、所得税から減税額が引ききれないので、給付金が支給される計算です。
<月収30万円単身・扶養1人・扶養2人の6月の手取りはいくら増える?>
シミュレーション結果をもとに筆者作成
定額減税の減税分を返金するケースも?
定額減税には注意点があります。
控除対象者の確認時には合計所得金額の見積額を勘案しないので、合計所得金額が1805万円を超える見込みの人でも月次の減税を行います。年2000万円の給与をもらう人は少ないでしょうが、たとえば、退職金の受け取りや自宅の売却といった所得も定率減税の所得に含まれるため、合計所得が1805万円を超える可能性がないわけではないのです。この場合、所得税ではいったん減税になっても、後から減税分を返金するケースもあります。
また、年内に家族構成が変わったり、配偶者や子の所得金額が扶養を外れる年48万円超になったりする場合にも、減税分の返金が生じます。扶養親族については、住民税では2023年末、所得税では2024年末時点で対象になるかどうかを判断することになっています。さらに、子どもが生まれたことで扶養親族が増えた場合には、年末調整や確定申告で定額減税の手続きをすることになります。
定額減税で月収20万円・30万円・40万円の人の6月の手取りをシミュレーションで紹介しました。金額の多少はありますが、6月は手取りが増える方が多いでしょう。ただ、手取りが増えたからといって無駄遣いしては意味がありません。増えた手取り額を確認し、有意義に活用しましょう。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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