24/05/17
年金が月30万円以上もらえる人の割合は?
老後の生活を支える年金ですが、いったいどれくらいもらえるのか気になるところでしょう。できれば月30万円ほどあると余裕を持って暮らせそうですが、そんなにもらえる人はいるのでしょうか。
今回は、国民年金と厚生年金について、それぞれ年金受給額別の人数を紹介。年金を30万円もらっている人はどれくらいいるのか解説します。
国民年金と厚生年金の仕組みは?
日本の公的年金は2階建て構造になっており、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金と呼ばれています。国民年金には、20歳から60歳までのすべての人が加入します。会社員や一定の条件を満たしたパート・アルバイトなどは、国民年金に加えて厚生年金にも加入します。
国民年金保険料は1万6980円(2024年度)。猶予制度や免除制度はありますが、原則すべての人が同じ金額の保険料を支払います。
厚生年金保険料は、給与や賞与に保険料率をかけて計算します。そのため、人によって支払う保険料の金額は異なり、それに伴って将来もらえる年金額も変わります。現役時代の給与が高かった人ほど、もらえる厚生年金も増える仕組みです。
国民年金をどれくらいもらっているのか
20歳から60歳になるまでの間に保険料を満額支払っていた場合、受け取れる国民年金額は月6万8000円(2024年度)。繰下げ受給や付加年金を利用することで、さらに受給額を増やすこともできます。
国民年金受給額の金額別人数は、下記の表の通りです。満額前後である6万円以上7万円未満の年金をもらっている人の割合が最も多いとわかります。
●国民年金受給額の金額別人数と割合
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
厚生年金をどれくらいもらっているのか
続いて、厚生年金加入者が年金をどれくらいもらっているのか見ていきましょう。厚生年金は人によって支払ってきた保険料額が異なるため、受給額にも大きく幅があります。
下記の表によると、30万円以上の年金を受給している人の割合は、全体のうちたったの0.08%。25万円以上もらっている人の割合も、全体の1.5%にも満たないことがわかります。
●厚生年金受給額の金額別人数と割合(基礎年金(国民年金)を含めた金額)
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
男女別でみると、男性で30万円以上の年金をもらっている人は0.11%で、数にすると1万2164人。女性で30万円以上もらっている人は0.01%で、たった326人しかいません。
また、男性で15万円以上の年金をもらっている人の割合は65%程度ですが、女性で15万円以上の年金をもらっている人は10%もいません。全体的に、男性より女性のほうがもらえる年金額が少なくなっています。
実際、2022年度の平均年金月額(国民年金+厚生年金)は14万3973円。男性16万3875円、女性10万4878円ですから、男女で5.9万円ほどの差があります。
年金を増やすためにはどうしたらいいか
国民年金は満額でも月6万8000円ですが、それだけで生活していくのは難しいでしょう。特に女性は、厚生年金の受給額が月15万円に満たない人の割合が多いこともわかりました。
少しでも年金額を増やすために、できることはあるのでしょうか。考えられる方法をいくつか紹介します。
●収入を増やす
先ほども紹介したように、厚生年金の受給額は現役時代に支払った年金保険料の金額によって決まります。なるべくたくさん働いて給与や賞与を増やし、支払う年金保険料を増やすことで、老後にもらえる年金を増やすことができます。
●付加年金を利用する
付加年金とは、国民年金保険料に付加保険料を毎月400円上乗せして支払うことで、将来もらえる年金を増やすことができる制度です。付加保険料を支払うことで「200円×付加年金を支払った月数分」の年金が受け取れます。
ただし、付加年金は国民年金の制度であり、厚生年金に加入している人は利用できません。
●繰下げ受給を利用する
年金を受け取り始める年齢を遅らせると、毎月もらえる年金額を増やすことができます。
増額率は「繰り下げた月数×0.7%」で計算します。例えば65歳から受給するはずの年金を1年繰り下げて66歳から受け取ることにした場合、8.4%増額されます。
最大で75歳まで繰り下げることができますが、その場合の増額率はなんと84%。2倍近くの年金を受け取ることができる計算です。
●iDeCoに加入する
iDeCoは、国民年金や厚生年金に加えて自分で準備する年金の一つです。自分で金融商品を決め、掛け金を積み立てて運用します。運用した資産は、60歳以降に少しずつ、もしくはまとめて受け取ります。
iDeCoの掛け金は全額所得控除の対象となり、所得税と住民税の負担が軽減されます。また、iDeCoの運用益は非課税です。さらに、60歳以降に資産を取り崩す際にも、公的年金等控除や退職所得控除が受けられます。
年金を増やすためにできることから始めよう
年金を30万円もらえる人の割合は全体の0.08%と、非常に少ないことがわかりました。特に女性は年金額が少ない傾向にあり、15万円以上もらえている人が全体の1割にも満たない現状です。
老後にゆとりある生活をするためには、少しでも将来もらえる年金を増やすことが大切です。今回紹介した年金を増やす方法を参考に、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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