24/01/19
「高校生の扶養控除縮小+児童手当」結局手取りはいくら増えるのか。年収300万円・500万円・1000万円で試算してみた
子どもがいる家庭に支給されている児童手当は、2024年に対象が高校生まで拡大されます。一方で、高校生の子を持つ親は扶養控除の減額により、税金の負担が増えるかもしれません。
本記事では児童手当拡充と扶養控除減額が合わせて行われると、高校生の子がいる家庭の実際の手取りはどうなるのかを説明します。
児童手当の対象が高校生までに拡大
児童手当は、子育て中の家庭に支給される手当です。2024年、児童手当制度の見直しが行われます。これまで児童手当の対象となる子どもは中学3年生まででしたが、対象が高校3年生まで拡大されます。
また、児童手当の月額は、これまで0~2歳及び第3子以降の子については1万5,000円、それ以外の子については1万円でした。新制度では、第3子以降の子については3万円に増額されます。さらに、所得制限も撤廃される予定です。新制度による児童手当は2024年10月分(支給は12月)からとなっています。
扶養控除は縮小で増税に
児童手当の拡充は、子育て中の家庭にとっては嬉しいニュースでしょう。しかし、一方で高校生を対象とした扶養控除の縮小が検討されている点に注意しておかなければなりません。
扶養控除とは、16歳以上の子どもや親を扶養している人が受けられる所得控除です。扶養控除が適用されると、その分課税所得が少なくなり、所得税や住民税が安くなります。
高校生に該当する16~18歳の控除額は、現状、所得税につき38万円、住民税につき33万円です。政府はこれを所得税25万円、住民税12万円に縮小する前提で議論を行っています。扶養控除が縮小される時期は、所得税については2026年以降、住民税については2027年以降となる見込みです。
扶養控除の控除額が減ると、納める税金が増えます。高校生の子どもがいる家庭は、新たに児童手当を受けられる代わりに、増税の対象にもなってしまうのです。
年収別・手取りはいくら増える?
児童手当の拡充と扶養控除の縮小により、高校生の子がいる家庭は多少の恩恵を受けられるのでしょうか?
児童手当拡充が行われると、高校生のいる家庭には年間12万円が支給されます。扶養控除縮小も行われた場合、児童手当から増税分を差し引きした実質的な手取りがどうなるかを検証してみましょう。
もしも扶養控除が現状の政府案のとおり縮小されると、所得税は13万円、住民税は21万円控除額が減ります。年収別に大まかな手取り額を計算すると、次のようになります(※夫婦の一方が会社員として働き、高校生の子が1人いると仮定)。
【年収300万円の場合】
所得税(税率5%)の増額分 13万円×0.05=6,500円
住民税(税率10%)の増額分 21万円×0.1=2万1,000円
手取り 12万円-(6,500円+2万1,000円)=9万2,500円
【年収500万円の場合】
所得税(税率10%)の増額分 13万円×0.1=1万3,000円
住民税(税率10%)の増額分 21万円×0.1=2万1,000円
手取り 12万円-(1万3,000円+2万1,000円)=8万6,000円
【年収1,000万円の場合】
所得税(税率20%)の増額分 13万円×0.2=2万6,000円
住民税(税率10%)の増額分 21万円×0.1=2万1,000円
手取り 12万円-(2万6,000円+2万1,000円)=7万3,000円
上の計算からは、年収が多いほど児童手当の実質的な手取り額が少なくなることがわかります。政府が検討している案では、年収がいくらであっても実質的な手取りは増えるとされています。しかし、児童手当拡充の見返りとして増税が行われるのは、子育て支援の観点からは矛盾していると感じる人も多いのではないでしょうか?
子どもが高校生の間は、教育費のかかる時期です。児童手当拡充に安心せず、貯蓄や家計管理をしっかり行いましょう。
児童手当が増えても扶養控除の縮小には要注意
児童手当制度が変わり、2024年12月からは高校生も対象に手当が支給されます。ただし、高校生を持つ親は税金の負担が増えるかもしれないので、油断は禁物です。今後の動向に注意しておきましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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