23/12/28
新NISAで損を抱えたらどう対処する?
2024年1月よりはじまる新NISAは、非課税で投資できる金額が増え、保有期間も無期限になるため、効率よくお金を増やすのにぴったりです。しかし、投資である以上、もちろん元本割れのリスクはあります。新NISAで損を抱えてしまった場合、どう対処するべきなのでしょうか。
今回は、新NISAで損を抱えてしまった場合に考えられる対策を「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に分けて紹介します。
新NISAのつみたて投資枠で損を抱えた場合
結論から申し上げると、つみたて投資枠で損を抱えても、そのまま持ち続けることをおすすめします。なぜなら、つみたて投資枠で投資できるのは、「長期・分散・積立投資に適している」と金融庁に認められた投資信託やETFのみだからです。
金融庁が過去の実績から算出したデータによると、資産・地域を分散した積立投資を行った場合、保有期間が5年だと1割以上が元本割れしました。一方、保有期間が20年だと元本割れは出現せず、運用成績は2%から8%の間で安定するようになりました。
<長期投資の運用成果>
金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」より
この結果から、つみたて投資枠で投資できる商品は、長期間運用することで元本割れしにくくなる傾向があるとわかりました。持っている資産が値下がりすると、さらなる値下がりを恐れて売却したくなってしまうかもしれませんが、そうなると損した状態で終わってしまいます。短期間の値動きに一喜一憂しすぎず、長い目で見てそのまま持ち続ける判断も大切でしょう。
また、値動きのある投資商品を定期的に同じ金額ずつ購入し、積み立てていく手法「ドル・コスト平均法」をご存じでしょうか。ドル・コスト平均法に従って、値動きにかかわらず毎月同じ日に同じ金額だけ購入することで、自然と「値上がりしているときには少なく買い、値下がりしているときに多く買う」ことができます。これを続けることで、平均の購入価格が安く抑えられ、価格の変動リスクを下げることが可能です。
つみたて投資枠で運用している商品が値下がりして一時的にマイナスになっても、気にせず淡々と毎月積み立てを続けることで、値上がりした際に多くの利益を得られるでしょう。
新NISAの成長投資枠で損を抱えた場合
続いて、新NISAの成長投資枠で損を抱えた場合の対策について考えていきましょう。なお、成長投資枠でもつみたて投資枠と同じ商品を購入し、同じように運用しているのであれば、上記と同じ対策で構いません。
成長投資枠で個別株に投資している場合、「そのまま持ち続ける」「さらに買い増しする」「損切りする」の3通りの対策が考えられます。「損を抱える」と言っても、その理由はさまざま。個別株が値下がりした場合、なぜ下がったのか、その原因を考えて対処することが求められます。
●そのまま持ち続ける
投資先の業績が原因ではなく、一時的に相場が下落したことにともなって投資先の株価も下がったのであれば、慌てる必要はありません。相場が回復すれば投資先の株価も戻るため、気にせず持ち続けてよいでしょう。
●さらに買い増しする
投資先の個別株が、本来の価値よりも低い株価で取引されている「割安株」であれば、さらに買い増しするという方法もあります。
業績が良く安定しており、何年も継続して経営されている銘柄であれば、長期保有にぴったりです。新NISA枠で購入した株を値下がりしたからという理由で売却すると損失が確定してしまい、その後の値上がりの恩恵を受けられなくなってしまいます。売却せずに長期で保有しやすい割安株は、新NISAでの投資に適した銘柄といえるでしょう。
●損切りする
投資先の業績悪化が原因で株価が下がったのであれば、売却して損失をこれ以上増やさないようにする判断も必要です。特に、業績悪化や不祥事が原因で大きく株価が下がり、回復が見込めないようであれば、速やかに売却し損切りしたほうがよいでしょう。
先ほど述べたように、損切りすると損失が確定してしまうので、もったいなくて売却する決心がつかない方もいるのではないでしょうか。しかし、今後も回復の見込みがない株を持ち続けていても、結局損をするだけです。あらかじめ「ここまで下落したら損切りしよう」と決めて、そのルールどおりに損切りすることをおすすめします。
保有資産の種類や元本割れの原因に合わせて対策しよう
新NISAで損を抱えてしまった場合の対策について紹介してきました。つみたて投資枠で投資信託を購入した場合と、成長投資枠で個別株を購入した場合では、対策が異なります。また、元本割れの原因によっても、対処方法は異なってくるでしょう。なぜ値下がりしているのか、その理由を判断したうえで、原因に合わせた対策を取りましょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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