23/06/12
50代と60代、平均年収はいくら違う?大きく下がるのは本当か
50代、60代ともなると、教育費や住宅ローンの目途が立ち、退職後の暮らしについて考え始める方が多いと思います。しかし、年収の面はどうなるでしょうか。今回は退職までのイメージを明確にできるよう、50代、60代の平均年収を見ていきたいと思います。合わせて、退職後も安心して暮らせるように今からしておきたい対策をお伝えします。
50代、60代の平均年収は?
国税庁が毎年公表している「民間給与実態統計調査」では、5歳ごとの平均年収が男女ごとに集計されています。2022年12月に発表された2021年分のデータは、次のようになっています。
●全体平均と50代・60代の年収平均
国税庁「2021年分民間給与実態統計調査」より筆者作成
男性も女性も、55歳~59歳をピークに平均年収が右肩下がりになっています。全体平均の55歳~59歳の平均年収は529万円なのに対し、65歳~69歳の平均年収は338万円と、191万円の差があります。
また、男性の55歳~59歳の平均年収と、65歳~69歳の平均年収を比較すると、687万円から423万円へと、264万円も減っていることがわかります。女性は金額の推移が緩やかですが、それでも316万円から216万円に、100万円減っています。
60代で年収が減ってしまう要因は?
何故男女共に、60代は50代の平均年収よりも少なくなるのでしょうか。それは定年の時期に原因があります。
厚生労働省「令和4年就労条件総合調査結果の概況」によると、定年制を定めている企業は94.4%あり、そのうちの96.9%の企業で全員に対し一律に定年制度を定めています。
一律に定年制を定めている企業のうち、定年を60歳とする企業は72.3%、65歳とする企業は21.1%あります。定年制を定めていない企業も含めると、全体の約3分の2、約66%の企業の定年が「60歳まで」なのです。
定年を迎える人は、繰り上げ受給をしない限り65歳からしか年金を受給できず、収入が途絶えることになります。そこで多くの60歳~65歳の方は、定年前より年収が下がることが多い再雇用制度を利用したり、パートやアルバイトをしたりしています。
今は、希望すれば誰もが65歳まで働けます。しかし、65歳まで働けるといっても、年収が下がってしまうケースがほとんど。再雇用前の半分以下になってしまうことも決して珍しくありません。そのため、50代と比べて年収が低くなっているのです。
60代の年収減にどう対策する?
60代になって定年を迎えると年収が下がるのは不安がありますよね。老後資金年収減に備えてどうすればいいのか、年収が下がったときの対策をご紹介します。
●iDeCoを活用する
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、自分で出した掛金を自分で運用して60歳以降に受け取る制度。年収が減ることで、老後資金の確保が難しいと感じるならば、iDeCoを利用するといいでしょう。
iDeCoで出した掛金は全額所得控除されるので、出した掛金分だけ課税所得が減り、所得税・住民税が減税されます。つまり預貯金で老後の資金を貯めるよりも、減税された分多く手元にお金が残ります。会社で働いている方の場合、iDeCoは65歳未満まで加入できるので、働きながら老後資金を用意するといいでしょう。なお、iDeCoは60歳からのスタートも可能ですが、所得税は累進課税で所得が多いほど税率が上がります。年収が多い50代のうちから始めたほうがいいでしょう。
iDeCoの運用は、金融機関ごとに用意された投資信託・定期預金・保険で行います。iDeCoでは運用益も非課税なので、投資信託の値上がりの恩恵も効率よく得られます。しかし、値下がりリスクが苦手な方は、定期預金を選ぶと安心です。
●副業を始める
投資は今すぐお金を増やす目的に向いていません。60代になると年収も下がる傾向にあるため、損をしてしまった場合、家計を圧迫してしまう危険があるためです。そこで副業で収入源を増やすことに目を向けていきましょう。
休日にアルバイト勤務でもいいですし、自分で事業を起こすことも考えられます。本業を辞めたとしても副業を続ければ、収入を得ることができるので今後の安心にもつながります。副業を通して人と繋がることは、生きがいにもつながり、お金以外の効用も生まれます。
副業で得た収入は忘れずに確定申告を忘れずに行いましょう。また、事業を起こす場合はパソコンの購入など、収入を得る前に出費が増えます。いくらまでなら副業のために貯金を使えるか、予算を決めておくといいでしょう。そして何より、副業の疲れを本業に持ち込まないよう、健康には十分気を付けましょう。
まとめ
いかがでしたか、厚生労働省の2021年の「簡易生命表」によると日本の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳だそうです。今から約30年前の1990年と比べると、男性が75.92歳、女性が81.90歳で、男女それぞれ6歳ほど寿命が延びました。つまり65歳以降も人生はまだまだ続きます。これまで積み上げてきた年金を基に、趣味や副業など生きがいを見つけて楽しく暮らせるよう、今から対策をしていきましょう。
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金子圭都 ファイナンシャルプランナー(CFP︎®︎)
学生の頃、親族の死をきっかけにお金について学び、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。お金の勉強をする女性コミュニティでイベントの企画・運営に3年間携わり、のべ200人以上のお金の悩みに寄り添う。その後独立し、お金の不安を安心に変えるマネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。
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