23/01/30
冷蔵庫、エアコンなど高額家電の購入時「金利ゼロキャンペーン」は使っても問題ないのか
冷蔵庫やエアコンなどの家電は、いまや生活必需品。なくてはならないものですが、高額なので製品の比較検討は十分にしたいところです。お得な買い物をするには、スペックの比較も大切ですが、支払い方法のチェックも重要です。今回は、家電量販店などで見かける、「金利ゼロキャンペーン」はお得なのか、一緒に考えてみましょう。
金利ゼロキャンペーンとは
大型家電は数十万円することも珍しくありません。そうすると、一括払いより分割払いのほうが家計への影響は少なくてすみます。
ただし、通常のショッピングローンやクレジットカードの分割払いであれば金利がかかることは避けられません。分割払いの金利は年8~15%程度。分割払いを利用すれば、月々の支払いの負担は減るものの、合計の支払い額は増えてしまいます。
このような金利負担がゼロになる、というのが金利ゼロキャンペーンです。
通信販売などで、たくさん買うと送料無料になることがありますよね。「送料は当社負担」とうたっているところもあります。それと同じように、分割払いにしてもお客様の金利負担はゼロ、当社で負担します、というわけです。
金利ゼロはお得なの?
たとえば10万円の家電を年利10%のショッピングローンで購入し、20回払いで返済するとします。この場合の返済額をあるローン会社のサイトでシミュレーションしたところ、1回目6379円、2回目以降月々5400円、総額10万8979円と算出されました。それが、仮に金利ゼロなら月々5000円の20回払い、合計10万円の支払いになるというわけです。
これなら、一括で払うよりだんぜんお得ですね。
金利ゼロキャンペーンがあるならば、たとえ貯蓄が充分にあって一括で払える場合でも、あえて分割払いにしたほうがお得です。大きな出費を防げますし、支払わなかったお金を金融機関に預けておくだけでわずかでも利息がつきます。
クレジットカードで一括払いにするとポイントがつきますが、それも多くは0.5%です。0.5%のポイントと10%の金利がゼロのキャンペーン、どちらを選ぶか迷うまでもないと言えそうです。
金利ゼロキャンペーンの「金利」は価格に上乗せされている?
とはいえ、金利ゼロキャンペーンにまったく注意点がないわけではありません。それは、金利分が製品価格に上乗せされている可能性があることです。
ローン会社は、顧客側の金利をゼロにしてしまうと、もうけがなくなってしまいます。そこで、家電量販店から金利分を受け取ることで、ローンを提供しています。
金利ゼロキャンペーンをしているのは、ほとんどが大手家電量販店です。資金的な余力があり、薄利多売でもうけを出せるビジネスモデルと言えるでしょう。大手家電量販店は、多少の金利を負担してでも、商品を売ってしまった方がもうけを出すことができます。そのため、金利ゼロキャンペーンを実施して、多くの方に買ってもらおうとしているのです。
しかし、本当に金利を全額負担してしまうと、今度は家電量販店側の利益が減ってしまいます。そこで、製品代金にローンの金利分を上乗せして、利益を確保している可能性がある、というわけです。
もちろん、金利分がまるまる製品代金に上乗せされているとは思えませんが、金利ゼロキャンペーンを利用した結果、割高な商品を買っている可能性があることは、押さえておいたほうがいいでしょう。
家電のお得な購入方法は?
家電を購入するには、まずはインターネットで各店の価格を比較して最安値を探しましょう。同等の製品が他のお店ではいくらで売っているのか、しっかり比較検討をすることが大切です。そうして価格に納得したうえで、金利ゼロキャンペーンがあるならば、たとえ一括で購入できる資金があっても利用するほうがお得です。
ただし、金利ゼロキャンペーンが利用できる対象商品や利用金額などは、家電量販店ごとに異なる場合があるので、利用前によく確認しましょう。
それから、買い過ぎにも要注意です。金利ゼロキャンペーンだからと言って買い過ぎると、月々の支払いは厳しくなりますので気を付けてください。
また、一括で購入できる資金がある場合は、現金で購入するかわりに割引してもらう交渉するのも一つの手です。
今は家電の価格の比較もインターネットでできるので、店に足を運んで店員さんと値段交渉、ということはほとんど見なくなりました。しかし、売る側としては、金利の負担は決して軽くはありません。また、クレジットカードを利用した場合、販売店がカード会社に払う手数料がかかります。そのため、「現金で買うから値引きして」という交渉ができる場合があるというわけです。
ただし、この提案で最安値を引き出したらその場で購入するのが暗黙のルールです。
まとめ
金利ゼロキャンペーンは一見金利の負担がないのでお得なようですが、製品価格に金利分が上乗せされている可能性もあります。製品価格を複数店舗でよく比較してから利用するようにしましょう。
もっとも、家電の故障はいつ起きるかわかりません。もしもに備えて貯蓄がきちんとあれば、「金利ゼロキャンペーン」などに頼ることなく家電を購入できるはずです。慌てず対処できるよう、計画的に貯蓄を増やしておきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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