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22/11/30

家計・ライフ

定年後の勤労収入は「10万円」も稼げれば十分な理由

定年後の勤労収入は「10万円」も稼げれば十分な理由

2021年における日本人の平均寿命は 男性が81.47 年、女性は87.57年です。寿命が延びるとその分、生活していくための支出が増えます。支出が増えるのであれば、その分収入を増やさなければいけません。
定年後には、いったいお金がいくら必要なのでしょうか。年金だけでは不足するとしたら、いくら稼ぐべきなのか、必要な収入の額はどれくらいなのかをご紹介します。

家計の収入と支出の差額は60歳を境に縮小する

定年後の支出額は、定年前と比較して大きく減少します。40代、50代では子供の教育費や住宅関連費用などで出費がかさみますが、60代になるとそういった支出は少なくなるのが一般的だからです。また、65歳以降になれば年金をもらえるようになるため、 収入と支出の差額はさらに縮まります。

総務省の家計調査によると、65歳から69歳までの収入額はひと月24万8000円(そのうち、年金が約20万円)、一方支出額は32万1000円で、毎月7万3000円の不足が生じていることになります。裏を返すと、月8万円程度を働いて得ることができればいいということです。年金に加えて月10万円ほどの労働収入があれば家計は十分に回るという計算になります。

月10万円は、時給1000円なら月100時間働けばいい

毎月の不足額7万3000円に少し余裕をもって月10万円を稼ぐとすると、どのくらい働けばいいのでしょうか。例えば、時給1000円の仕事であれば月100時間です。週4日勤務なら1日6時間、1日8時間働けるのなら週3日の勤務で足りることになります。このように計算してみると、月10万円稼ぐのはそれほど難しくないといえるのではないでしょうか。

また、もし仮に時給1500円で月100時間働くことができるのであれば、月15万円の収入を得られます。そこまで稼げれば平均的な世帯と比べても十分に裕福な暮らしができます。また、働けなくなる頃に備えてさらに貯蓄を積み立てることも可能です。

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夫婦で稼げば年金の繰り下げ受給もしやすくなる

さらにいえば、夫婦でそれぞれ月15〜16万円ほどを稼ぐことができれば世帯で月30万円超の収入となるため、年金をもらわなくても生活できる水準になります。
老齢年金は65歳からもらうことができますが、受け取り開始時期は本人の意思で繰り上げあるいは繰り下げすることが可能です。繰り上げる場合は早くもらう分、1カ月につき0.4%減額になりますが、繰り下げる場合は遅くもらう分、1カ月につき0.7%増額されます。最長75歳まで繰り下げると84%も増額になります。
現状、繰り下げ受給を選択する人はごくわずかですが、65歳以降も一定額の収入を無理なく稼ぐことができるのであれば、年金の繰り下げ受給を積極的に検討してみてもよいでしょう。

60代になると非正規雇用が増える

50代までは会社等で正規の従業員として勤める働き方が一般的といえますが、正規雇用者として働く人の比率は歳を重ねるごとに減っていきます。その代わりに増えるのが非正規で働く人たちです。パート・アルバイト、契約社員等の非正規雇用は、定年後の最も一般的な働き方になっています。
非正規雇用で働くことで、長時間労働やストレスから解放されるのであれば、むしろ定年後において非正規雇用は好ましいものになるといえるでしょう。

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無理のない範囲で働き、月10万円ほど稼ぐ生き方を目指す

総務省の労働力調査(2021年)によると、65歳以上の非正規の職員・従業員の割合は75.9%と、他の年代と比べても突出しています。

●年齢階級別非正規の職員・従業員の割合の推移

総務省「労働力調査(2021年)」より

これには、定年後の人は短い時間で無理なく働くことを望んでいるという一面があります。仮に月10万円ほど稼ぐことができれば、あとは年金収入で家計を回すことが可能なので、無理をして長時間働く必要がないともいえます。
定年後は年金をもらえる年齢に差し掛かかっているため、多くのお金を稼ぐ必要はありません。年金をもらいながら、自身のストレスがない範囲で短時間働くという生き方を選ぶのもいいのではないでしょうか。

まとめ

定年後も現役時代と変わらずに働き続けるのはなかなか難しいといえるでしょう。しかし、定年後は、年金をもらいながら月10万円程度を稼げれば十分です。健康に留意して無理のない範囲で働き、ストレスのない生活を送りましょう。

目黒 桂 ファイナンシャルプランナー

税理士事務所勤務後、企業にて経理・経営企画業務に従事。その後、出版社に転職し雑誌編集に携わる。金融・税務関連の執筆を中心に雑誌やWEB媒体でも活動中。

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