22/02/01
「投資してみたい」子どもでも開設できる未成年口座、どんなことができる?
2022年4月より高校の家庭科授業で金融教育が開始されます。今後は、学校でも株式・債券・投資信託といった、資産形成に役立つ金融商品の特徴を教えるようになると考えられます。「投資してみたい」と思う子どもも出てくるでしょう。実は、子どもでも証券会社に「未成年口座」という口座を作ることができます。今回は、未成年口座の仕組みや口座開設の条件について解説します。
未成年口座の仕組みとは?
証券会社の未成年口座とは、満20歳未満の未婚の方を対象とした口座のことです。まずは未成年口座の仕組みや特徴を紹介します。
●0歳でも口座開設ができる
未成年口座は、小学生〜高校生はもちろん、戸籍があれば0歳からでも作れます。ただし、未成年本人が取引をするのは難しいため、親権者が取引や口座の管理をしなければなりません。なお、2022年4月より成年年齢が引き下げになるため、未成年口座も満18歳未満が対象となります。
●資産を自由に引き出せる
未成年口座に入れたお金は自由に好きなタイミングで引き出すことができます。たとえば子どもの習い事や塾の費用のために貯蓄・投資したお金を引き出すこともできます。
ただし、未成年口座にあるお金を親権者名義の銀行口座に出金するのは不可能です。出金したいときは、振込先金融機関口座を未成年本人の名義にする必要があります。
●2023年までならジュニアNISAが使える
未成年口座を開設すればジュニアNISAの利用もできるようになります。ジュニアNISAとは、投資を行う際に最大年80万円の非課税投資枠が設定される制度です。株式や投資信託で得た配当や譲渡益などが投資をした年から最長5年間非課税になります。
ただし、ジュニアNISAで投資できる期間は2023年までとなっています。
・ジュニアNISAの概要
金融庁のウェブサイトより
なお、ジュニアNISAの投資可能期間は2023年まで。2022年から投資した場合、非課税で投資できる金額は最大で160万円です。
また、ジュニアNISAで投資したお金は、18歳まで引き出しできないという制限があります。しかし2024年以降はこの制限がなくなり、必要な時期に引き出しができるようになります。
●未成年口座もIPOや株主優待の対象になる
未成年口座でもIPO(新規公開株)を買い付けることが可能です。IPOはほとんどの場合抽選になります。抽選に通りやすくするために未成年口座でも応募する、という方法もあります。また、未成年口座でも株主優待の対象になります。株主優待がもらえる株式を一定期間所有していれば、優待品がもらえるのでお得です。
未成年口座を利用する際の注意点
未成年口座は、20歳以上向けの総合取引口座(証券総合口座)とは異なる点がいくつかあります。未成年口座ではできないこともあるので注意しましょう。
●未成年口座の開設には原則親の同意が必要
未成年口座を開設する際には、原則として親権者の同意が必要です。口座開設時に以下の手続きを求められます。
・同意書に親権者全員の署名・捺印が必要
・親権者と未成年本人の続柄を確認できる書類を提出
また、未成年本人と親権者が日本在住でなければ口座を開設できません。さらにほとんどの証券会社では、親権者がその証券会社の口座を持っていなければ口座開設ができないので注意が必要です。口座開設時には世帯全員が記載された住民票の写しやマイナンバー、戸籍謄本などが必要です(必要な書類は人により異なる場合があります)。
●子どもが15歳未満の場合、親が取引を口座の管理を行う
未成年口座では、原則親権者が取引や口座の管理を行います。したがって、子どもは自分の意思で取引できず、必ず親が取引する必要があります。
なお、子どもが15歳以上になった場合は、自分の意思で取引ができるようになります。
●投資できる商品に制限がある
未成年口座では現物株式や投資信託の購入などが可能です。しかし、未成年口座では一部の商品の取引が制限されます。たとえば、信用取引や外国為替保証金取引(FX)のように、入金したお金以上に損失が発生するリスクのある商品には投資できません。
未成年口座がある証券会社の特徴
未成年口座の口座開設方法や取引できる商品は証券会社によって多少異なります。主な証券会社の口座開設手順、特徴や取引できる商品などを解説します。
●楽天証券の場合
1. 口座名義人である未成年者の情報を入力
2. 必要書類のアップロード
3. ID・パスワードが郵送で届く
4. Webサイトからログインして取引開始
楽天証券では、Webからの申し込みだけで手続きが完結します。申込みから取引開始まで5日〜1週間ほど(一般的には2〜3週間かかる)とスピーディですし、書類の郵送の手間もかかりません。
楽天証券では、国内株式(現物)だけでなく、外国株式、投資信託、債券、金・プラチナなどの取引もできます。もちろん、ジュニアNISAも利用可能です。取引の内容に応じて楽天ポイントが貯まります。
●SBI証券の場合
1. Webサイトから申し込み
2. 口座開設申込書が郵送で届く
3. 必要な書類を添えて口座開設申込書を返送する
4. 口座開設手続完了のご案内が届く
5. Webサイトからログインして取引開始
SBI証券では、国内株式(現物)、単元未満株、外国株式、投資信託、債券などの取引ができます。ジュニアNISAも利用できます。反面、信用取引や外国為替保証金取引(FX)、eワラントなどの取引はできません。ジュニアNISAなら国内株式の売買時や海外ETFの購入時にかかる手数料が無料になります。
●PayPay証券の場合
1. Webサイトから未成年者の個人情報を入力して申し込み
2. PayPay証券から同意書が届く
3. 同意書に記入・捺印。必要書類を添えて返送する
4. 口座開設完了の案内が届く
5. Webサイトからログインして取引開始
PayPay証券では、株価に関わらず1,000円から国内株式と米国株式に投資ができます。米国株式はd払いの残高でも購入ができるので、わざわざPayPay証券の銀行口座に振り込む必要がありません。また、15歳以上であれば、親権者がPayPay証券の口座を保有していなくても口座開設ができます。
さらに取引可能な米国企業を理解する目的で、コカ・コーラやテスラの創業者や歴史について紹介する漫画を読めるコンテンツを提供しています。ただし、1回の取引金額は10万円までに制限されています。
子どもの将来に備えるなら未成年口座の開設がおすすめ
未成年口座は、子どもが将来高校や大学に通う際の教育費や成人するまでの養育費目的で開設するのにおすすめです。教育費を日常使う口座と別の子どもの口座にしておけば、うっかり使ってしまうことも防げます。また2023年まで限定ですが、ジュニアNISAを併用すれば、配当や譲渡益などに課税されないため、より多くの資産を残しやすくなります。未成年口座は0歳から利用できますし、将来子どもが「投資してみたい」といったときにも役立ちますので、活用してみてはいかがでしょうか。
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小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター
地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。
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