21/08/02
米国株投資で知っておきたい「S&P500」、ダウ平均やナスダックとどう違う?結局どの指標が良いのか
S&P500は、米国株投資をするうえで知っておきたい株価指数です。でも、名前は聞いたことはあっても、どんなものなのかがよくわからないという方も多いのでは。そこで今回は、S&P500をはじめ、ダウ平均株価、ナスダック総合指数などの株価指数についてご紹介。合わせて、S&P500などの株価指数を生かす投資の方法も紹介します。
そもそも株価指数ってなに?
株価指数は、株式市場全体や、特定の業種全体の株価の増減を表すデータです。1つひとつの銘柄の値段(株価)は、その会社の業績やニュースなどで上がったり下がったりしますが、それとは別に、市場や業種全体の動向にも影響を受けます。そこで、市場全体・業種全体の値動きをつかむために、株価指数が利用されるのです。
もし、自分が持っている銘柄が株価指数よりも大きく値上がりしていたら、その銘柄は今調子のいい銘柄かもしれません。逆に、株価指数ほど値上がりしていない、あるいは下落しているという場合は、何かしらの問題を抱えているかもしれないと判断できます。
日本でも、ニュースを見ていると「本日の株式市場」などといって、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価が紹介されます。これらは、日本の株式市場を代表する株価指数です。そして米国にも、これと同じような株価指数がさまざまあります。
米国株の株価指数を一挙公開
米国株の代表的な株価指数には「S&P500」「ダウ平均株価」「ナスダック総合指数」があります。
●米国株の代表的な株価指数1:S&P 500
S&P500は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)といった米国の証券取引所に上場する銘柄の中から、時価総額の大きな500社のデータをもとに算出される株価指数です。時価総額は、会社の規模を示す金額。「株価×発行済み株式数」で示されます。
S&P500は、対象の銘柄の時価総額の合計を、過去の基準日の時価総額で割って計算します(時価総額加重平均型といいます)。ですから、比較的時価総額の大きな銘柄(大型株)の値動きの影響が出やすいのが特徴です。
S&P500は、米国株式市場の時価総額の大部分、約80%を占めているため、米国市場全体の値動きを大きく反映している指標といえます。
●米国株の代表的な株価指数2:ダウ平均株価
ダウ平均株価は米国を代表する30銘柄の平均株価をもとに算出される株価指数です。正式名称は「ダウ工業株30種平均」。「NYダウ」などとも呼ばれます。
「工業株」とついていますが、中身は工業株だけではありません。アップル・マイクロソフト・ナイキ・ウォルトディズニー・マクドナルドなど、日本はもちろん世界中でおなじみの会社が並びます。ダウ平均株価は、これらの銘柄の株価を合計して、30で割ることで求められます(株価平均型といいます)。したがって、比較的株価の高い(値がさ株)の影響を受けやすいといわれています。
とはいえ、構成銘柄は30銘柄ですから、米国市場全体を反映しているとはいえません。しかし、米国を代表する大企業の動向を知るために役立つ指標です。
●米国株の代表的な株価指数3:ナスダック総合指数
ナスダック総合指数は、NASDAQ(ナスダック証券取引所)に上場しているすべての銘柄の時価総額をもとに計算されている指数です。S&P500と同じく、時価総額加重平均型の株価指数です。1971年2月5日の時価総額を100として計算されています。なお、本稿執筆時点(2021年7月29日)のナスダック総合指数は14,762.58。50年あまりの歳月をかけて、米国が大きく成長してきた様子がうかがえます。
ナスダック証券取引所に上場しているのは、アップル、アマゾン、フェイスブック、アルファベット、アドビなど新興企業やハイテク企業が中心。それらの企業の成長により、ナスダック総合指数も上昇します。
米国株の株価指数は他にもある
上にあげた3つの株価指数のほかにも、米国の株価指数はいろいろあります。簡単に紹介します。
●CRSP USトータルマーケットインデックス
CRSP USトータルマーケットインデックスは、米国株式市場の大型株から小型株まで約4000銘柄をもとに算出される株価指標です。米国で投資可能な銘柄をほぼ100%網羅しています。ETFで人気の高いバンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI)がベンチマークにしている指標です。
●ラッセル2000
ラッセル2000は、ニューヨーク証券取引所やナスダックなどに上場する銘柄のなかから、時価総額が上位1001位〜3000位までの200銘柄の時価総額をもとに算出される指標です。S&P500が大型株を対象にするのに対し、ラッセル2000は中小型株を対象にしています。なお、時価総額の上位1000銘柄までを扱う「ラッセル1000」という指標もあります。
●フィラデルフィア半導体指数
フィラデルフィア半導体指数は、米国の半導体関連30銘柄で構成された株価指数です。SOX指数とも呼ばれています。半導体は、情報通信産業の成長に欠かせない素材です。半導体業界が好調ならば、今後の景気もよくなると判断されます。
米国の成長に合わせてお金が増える投資信託・ETFがおすすめ
米国は経済の中心。この数十年間、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックなどで一時的に値を下げることはありましたが、総じて右肩上がりに成長を続けています。S&P500もダウ平均株価もナスダック総合指数指数も、多少の差はあれ同様です。ですから、最近米国株投資が話題になっているのも頷けます。購入した銘柄の値動きとともに、これらの指標を見ることで、今後の値動きの傾向を考えることができるでしょう。
しかし、米国株はリスクがわりと高い投資です。もちろん、お金が2倍・3倍になるような銘柄も出てくるでしょうが、反対に株価が大きく下落し、大きく損をする可能性もあるのです。
そこでおすすめは、米国の株価指数に連動する投資信託・ETF(上場投資信託)を購入することです。米国の株価指数に連動する投資信託は、1本で数十〜数百の米国株に投資しています。この投資信託を1本買うだけで、自分の資産を分散することができます。米国の株価指数に連動する投資信託ならば、組み入れている銘柄のどれかが仮に値下がりしても、他のどれかの値上がりでカバーする期待ができます。しかも、長期間、積立でコツコツと投資をしていけば、値下がりのリスクを押さえて、堅実にお金を増やすことができます。
さらに、運用益が非課税にできるつみたてNISAを活用すれば、税金を支払う必要もなくなります
指標と連動する成果を目指すインデックス型の投資信託はさまざまですが、
・なるべく多くの資産に分散投資できる
・つみたてNISAでも利用できる
という観点で考えると、上記の「S&P500」か、「CRSP USトータルマーケットインデックス」に連動する投資信託がおすすめです。
2021年7月29日時点で、該当する商品には次のものがあります。
【S&P500に連動するつみたてNISA対応商品】
・米国株式インデックス・ファンド
・iFree S&P500インデックス
・農林中金<パートナーズ>つみたてNISA米国株式 S&P500
・NZAM・ベータ S&P500
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・つみたて米国株式(S&P500)
・SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
・Smart-i S&P500インデックス
・上場インデックスファンド米国株式(S&P500) (ETF)
【CRSP USトータルマーケットインデックスに連動するつみたてNISA対応商品】
楽天・全米株式インデックス・ファンド
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
まとめ
S&P500・ダウ平均株価・ナスダック総合指数といった米国の株価指数を紹介してきました。これらは、米国株投資の際に、市場全体の動向を把握するのに役立ちます。また、これらの株価指数と連動する投資信託やETFを購入することで、米国の成長の力を生かしてお金を増やすことができます。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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