20/12/04
「夫婦別の財布」でうまくやっていく3つのポイント
マネー相談の中で、「家計の管理はどんな方法が一番いいですか?」と言う質問を受けます。
共働きの場合、夫婦それぞれの財布に加えて共通の財布を作って管理する「3つの財布」がよくすすめられますが、夫婦で分担を決めて管理する「2つの財布」の家庭も多くあります。そこで今回は、夫婦別々の財布でもしっかりと家計を管理し、さらに貯蓄もできるポイントをお伝えします。
みんな家計管理はどうしている?
夫婦の家計管理の方法は大きく分けて3つあります。
・片方の収入のみでやりくりする「1つの財布」
・共働きでそれぞれ分担を決めて支出を負担する「2つの財布」
・お互い決まった金額を一つの口座や財布に入れて管理する「3つの財布」
どの方法がいいかは、それぞれの家庭によって異なります。結果、うまく家計が回っているのであれば、その方法を続ければいいでしょう。
家計管理のセオリーとしてよく語られるのは、「夫婦共通の財布を作って、お金の流れを見える化しましょう」ということ。つまり、3つの財布で管理することです。筆者も、それぞれのお小遣い以外は共通の財布で管理することをおすすめしています。
しかし、実際は収入や支出を明らかにしたくないからと、2つの財布でなんとなく家計を分担している家庭が多いようです。たとえば、金額の大きなものや公共料金、固定費を夫が負担し、食費や雑費など生活にかかる費用を妻が負担する、といった具合です。
2つの財布のメリット
家計を2つの財布で管理する最大のメリットは、自分の収入やお金の使い方を相手に知られることがないことです。夫婦であってもお金の使い方など全てを相手に知られてしまうのは抵抗があるという人もいるでしょう。その点、必要な費用をそれぞれが分担する管理方法なら、ある程度自分の自由に使えるお金は手元に残ります。趣味に使うお金や、旅行する費用、投資する資金などお互いに干渉されることなく使うことができます。夫婦と言ってもお金の価値観は異なるので、お金のことで揉めるストレスも軽減できるでしょう。自由に使えるお金があることで、心にも余裕ができます。
また、お金の管理を一人ですべて行うのは負担が大きいですが、この方法なら自分の担当分だけお金を出せばいいので、比較的簡単です。
2つの財布の問題点を解決する3つのポイント
ストレスをあまり感じず、自由にお金が使える「2つの財布」ですが、じつは問題点もあります。解決のポイントとともに紹介します。
① 急な出費や大きな出費があるとき、どちらが負担する?
→あらかじめ出費のルールを決めておこう。緊急時の資金を貯めておくのもOK
2つの財布の場合、通常の生活をしている分には問題ないですが、予定外のことが起こったときのことも考えておかなければなりません。冷蔵庫や洗濯機といった家電製品が動かなくなったり、冠婚葬祭などが相次いで急な出費があったりするかもしれません。そんなとき、お互いに「相手が出すだろう」と思っていたら、どちらもその分のお金がなかった…なんてことになると、困ってしまいます。
ですからあらかじめ、毎月の負担分だけではなく、大きな出費をどちらが負担するのか、決めておくと良いでしょう。また、緊急資金を日頃からお互い少しずつ貯めておくルールを作ることも効果的です。
② 収入に変化があったときの負担金額はどうする?
→負担する項目を相談して見直そう
お互いの収入に変化があったり、育児や介護で休職したり、共働きでなくなったりすると、家計の負担が難しくなるかもしれません。さらに、今までなかった支出が増えるときなどもあるかもしれません。
そんなときは、お互い話し合って負担する項目や費用を見直しましょう。費用ごとに分担はしますが、家計は一つなのでお互いの理解と協力が必要です。なんとなくで済ましてしまうともめる原因にもなりますし、お金も貯まりません。
③ 将来に向けての貯蓄はどうする?
→貯蓄も夫婦で分担しよう
夫婦でそれぞれ家計を分担するときに、一番気になるのは教育費や老後の資金などといった、将来の貯蓄です。お互いの収入がわからないと、いくら貯蓄をしているのかわからないでしょう。「相手が貯蓄している」と思っていたものの、まったくしていなかったという話はよく聞きます。これでは、いざ子どもが大学などを受験するときや老後を迎えたときに困ってしまいます。
家計だけでなく貯蓄も、「たぶん貯蓄しているだろう」と相手任せにせず、収入の割合などからきちんと分担をきめておくと良いでしょう。生活にかかる費用はそれぞれの口座から負担するとしても、貯蓄だけは「貯蓄用口座」を作って、そこにお互い分担した金額を貯蓄するというルールにするのもいいですね。
まとめ
「夫婦で別財布にするとお金が貯まらない」と言われますが、たとえ2つの財布でお金を管理するとしても、急な出費や収入の変化、貯蓄などのルールをきちんと決めておけば、お金の使い方に干渉されることもなく、家計管理の手間や労力が少なくてすみます。2つの財布だとしても、普段から相談しあえる関係を築いておくことが大切です。
【関連記事もチェック】
・20代・30代・40代夫婦の平均貯蓄額はいくらなのか
・「お金が貯まる夫婦」と「お金が貯まらない夫婦」を分ける、決定的な違い3選
・夫婦でiDeCo•つみたてNISAをやる場合、資産配分や使い分けはどうすべき?
・年収500万円・700万円・900万円の共働き夫婦、無理のない住宅ローンの返済額はいくらが妥当か
・遭遇率9割! お金がない夫婦の特徴
黒須 かおり ファイナンシャルプランナー(CFP)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう