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19/11/02

家計・ライフ

キャッシュレス還元を無視して現金主義を続けると3万円以上損! キャッシュレス賢者になろう

2019年10月1日からの消費税増税に合わせて、2020年6月末までの9か月間に渡り「キャッシュレス還元」が行われています。
キャッシュレス決済の対象は、スマホ決済だけでなく、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネーも対象です。ポイント還元は5%または2%が受けられます。

キャッシュレス還元のお金の原資は、国のお金。国のお金は元をたどれば私たちの税金です。キャッシュレス決済をすれば、ポイント還元を受けられるので、現金主義の方々もこの機会にキャッシュレス生活に少しずつ切り替えていくのが良いかと思います。

一方で、「キャッシュレスなんか絶対しない!」と固執する人もいることでしょう。
今回は、このキャッシュレス還元を9か月間受けないと、どれくらい損をするのかをシミュレーションしてみたいと思います。

ポイント還元の対象店舗や、2% or 5%の還元率かどうかは決まっている

ポイント還元の対象となるのは、中小事業者が運営している店舗、コンビニ、レストラン、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンも対象となっています。
対象となる店舗には、ポイント還元の対象店舗であることと、2%なのか5%なのかの還元率が記されたポスターが、店頭に貼り出されています。

●還元率5%の店舗:小売・飲食・サービスなどの中小の小売店

小売・飲食・サービスなどの中小の小売店では5%の還元を受けることができます。実店舗だけでなく、楽天やAmazonといったECサイトでの買物も対象となっています。
ただし、楽天やAmazonの商品すべてが対象となるわけではなく、ポイント還元事業の対象となるのは、中小事業者が販売する商品です。

●還元率2%の店舗:コンビニ、レストラン、ガソリンスタンド

コンビニ、レストラン、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンでは2%の還元を受けることができます。
また、コンビニでも、鉄道駅構内のコンビニの一部では対象外となっています。利用する際には入り口やレジ前のポスターを確認しましょう。

経済産業省のページや「zaimキャッシュレス還元マップ」を利用すれば、対象店舗を検索することができます。

キャッシュレス還元の上限は「月1万5000円」が基本だが…

キャッシュレス決済の還元ですが、各社還元の上限を定めているところが一般的です。中には、Suicaや楽天ペイなど上限を設定していないものもあります。

クレジットカード・デビットカードの多くは、1ヵ月あたりの還元額上限が月1万5000円となっています。仮に5%の還元を受ける場合は、1カ月の利用代金が30万円までということです。月30万円使うのは、ある程度収入が高い世帯でないと厳しいですし、あまり現実的ではありません。

PayPayは月2万5000円、LINE Payやd払いは月3万円を還元額の上限としています。
クレジットカード・デビットカードの月1万5000円分の還元上限は「カード1枚あたり」ですので、複数枚カードを持っている人や、電子マネーやスマホ決済も使える人はその分、還元額上限を大きくできます。

このように、還元の上限については気にする必要はないでしょう。

キャッシュレス還元の9か月間を現金だけで生活すると3万円以上損!

「9か月間のキャッシュレス還元でいくらお得になるのか」をシミュレーションするにあたり、総務省「家計調査報告(2018)」のデータを参考にしました。
使用している数値は、二人以上の世帯の「消費支出」の年平均です。

総務省「家計調査報告」を元に筆者作成

上の図で黄色くハイライトしているのが、キャッシュレス還元の対象となりうる支出かと思います。
「食料」と「被覆及び履物」については、大手の店舗で購入した場合キャッシュレス還元を受けられないので、今回の試算では半分の金額としました。

ハイライト部分を合計してみると、約11万5000円となります。
キャッシュレス還元は5%もしくは2%なので、平均3.5%で還元を受けられた場合、月4000円の還元になります。これが9か月間続けば、3万6000円という試算結果です。こう考えてみると、キャッシュレス生活を始めるか、現金主義を貫くかで、意外と差は大きいのではないでしょうか。


なお、今回の試算では、キャッシュレスサービス独自のポイントは考慮しておりません。例えば、PayPayは5%のキャッシュレス還元に対して、独自に最大5%を上乗せして還元するキャンペーン「まちかどペイペイ」を10月1日から11月30日までの2か月間実施しています。つまり、PayPayで支払えば最大10%のPayPayポイントが還元されることに。なお、2%還元の対象店舗はキャンペーンの対象外です。

独自のポイント還元を踏まえれば、キャッシュレス還元の9か月間を現金だけで生活すると、3万6000円よりももっと損するかもしれません。

キャッシュレス決済を避けるのは損です。現金払いに固執せずに、税金が還元されるチャンスをしっかり掴んでいただきたいと思います。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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