18/11/26
なぜ、上がると思った銘柄の株価は上がらないのか
多くの企業が中間決算発表を迎えるこの頃、投資初心者のお客様から、こんな声をよく聞きます。「決算発表が好調なので購入した株なのに、株価が上がらないどころか、下がるなんて・・・」
今回は、個人投資家の皆さんがよく思うであろうこの疑問にフォーカスしてみたいと思います。
マーケットの7割は海外投資家による売買
まず、投資初心者の人が株式売買を行う上で、知っておかなければいけない事実があります。
それは、国内株式の売買は、そのほとんどが海外投資家によって支えられているということです。
東京証券取引所の「投資部門別売買動向」によると、東証第一部の取引の約7割は、海外投資家によるものです。
東京証券取引所HP 株式週間売買状況2018年11月第1週 東証一部(株数)
この事実を知った以上、海外投資家の動きは無視できないどころか、基本的に市場は海外投資家の心理によって動いている、ということが分かりますね。
つまり、いくら個人が買っても、海外投資家が売れば下がる、ということ。その逆も然りです。
では、国内の個人と海外投資家(プロ)の考えの差は、どこにあるのでしょうか。
決算発表は過去の数字、アナリストは先を予測している
冒頭の話で、投資初心者のお客様は、購入した理由を、「決算発表が好調だったから」としています。
しかし、マーケット情報などのラジオやテレビ番組を視聴している人であればよく知っている事でしょうが、市場が注視しているのは決算発表そのものの数値ではなく、「予想との乖離(かいり)具合」です。
アナリストは常に、半年後、1年後、更にその先の企業業績を予測しています。目下の決算発表はその予測の進捗度合いを測るものであり、既に作られた数字との「差」を、売買の材料としています。
ですので、発表内容が好調だったとしても、その数値が予測よりも下回っていれば、「売り」の材料となり、海外投資家が大量の売注文を出せば、株価は下がるという事です。
口で理屈を言うのは簡単ですが、実際に売買をプロの目線で行うなど困難です。
普段お仕事をしながら、売買を行う読者の皆さんのような個人投資家が、株式投資を行う上で失敗を極力避ける方法としては、筆者が普段から推奨している、「長期運用」であろうと改めて思います。
海外投資家と個人投資家は逆に動く
さて、市場を「牛耳っている」海外投資家と、一般投資家の個人との売買傾向は、どのようなものでしょうか。
東京証券取引所HP 株式週間売買状況2018年10月第5週 東証一部(金額)
この図をご覧いただければ一目瞭然、実は海外投資家と個人投資家は、よく逆の動きをするのです。
10月22日~26日の一週間は、個人投資家が約3220億円の買い越しだったのに対して、海外投資家は約3087億円の売り越しです。その翌週は、個人投資家が約1442億円の売り越しだったのに対して、海外投資家は約74億円の買い越しとなっています。
市場で7割という「量」をもっている海外投資家と、逆の動きをしている個人投資家は、「勝ち・負け」でいえば、短期的には後者になりやすい傾向が、これでお分かりいただけたでしょうか。
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佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。
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