18/10/09
離婚後の子どもの教育費。離婚時に決めておくべき3つのこと
離婚してシングルマザーになる女性が特に気になるのは、お子さんの教育費ではないでしょうか?今回はこれから離婚する女性が、教育費確保のために夫と話し合って取り決めしておきたいことをピックアップしてご紹介します。
(1) 私立学校在学・進学予定なら標準的な養育費では足りない
離婚の際に養育費の金額を決めるときには、裁判所が用意している養育費算定表を基準にし、1か月あたりの金額を決める方法が一般的です。養育費算定表では、夫、妻それぞれの年収と子どもの年齢・人数から、標準的な養育費の月額が示されています。
「養育費算定表」
資料:裁判所 HP
養育費算定表では、公立小学校・中学校・高校でかかる費用については考慮されていますが、私立学校で公立よりも余分にかかる費用については考慮されていません。つまり、子どもが私立に通っている場合や、私立に進学予定である場合には、算定表の金額では少ないということです。
たとえば、中学校の場合、文部科学省が行っている「子供の学習費調査(平成28年度)」によると、1年間にかかる学習費(学校や塾でかかる費用)総額は公立中学で47万8,554円、私立中学で132万6933円です。私立中学の場合、年間約85万円余分にかかることになりますから、これをどう負担するかを夫婦で話し合い、標準的な養育費に上乗せする必要があります。なお、入学金については一時的にまとまった金額の支払いが受けられるようにしておくとよいでしょう(次項参照)。
(2) 高校・大学進学費用は毎月の養育費とは別に取り決めしておく
中学までは公立に行かせる選択ができますが、高校からはやむを得ず私立ということもあると思います。私立高校の入学時には、入学金等まとまったお金を払わなければなりません。
私立高校の入学金の平均額は全国平均では16万2356円ですが、地域によってかなり差があります。たとえば、東京都では平均額は24万9745円です(文部科学省「平成29年度私立高等学校(全日制)の授業料等の調査結果」より)。高校の授業料は無償化されている都道府県もありますが、入学金は対象ではありません。
また、大学進学時には、入学金と初年度の授業料が合わせて80~100万円以上かかります。専門学校に進学する場合にも、同様の費用がかかることがあります。
私立高校で余分にかかる学費や、大学でかかる学費については、養育費算定表ではカバーされていません。特に、私立高校の入学金や大学の初年度納付金は、一度にまとまった金額を支払わなければなりませんから、毎月の養育費とは別に支払時期や支払金額を決めておくのがおすすめです。
なお、進学費用については、進学先がわからないため、具体的に決められないこともあると思います。この場合には、「初年度納付金の6割」のように割合を決めておきましょう。また、支払時期については入学直前の3月では間に合わないことがありますから、可能な範囲内で早めに設定しておくのが安心です。
(3) 学資保険は子どもを引き取る側に契約者変更するのが安心
学資保険は財産分与の対象になりますから、解約して夫婦で2分の1ずつ分ける方法もあります。しかし、学資保険は最初から子どもの教育費として準備しているものですから、進学費用に使うことを条件に、解約せず子どもを引き取る側が引き継ぐのがおすすめです。ただし、契約者(保険料を払う人)及び受取人(満期保険金を受け取る人)については、離婚する際に、子どもを引き取る側に変更しておきましょう。
たとえば、妻が子どもを引き取る場合、夫が契約者のままでは、勝手に保険を解約されてしまう可能性がないとも限りません。また、夫が契約者、妻が受取人とすると、満期保険金を受け取るときに、贈与税を課税されるおそれもあります。
妻が子どもを引き取るけれど、学資保険の保険料は夫に負担してほしい場合には、妻に契約者変更した上で、夫に月々の保険料分を上乗せした金額の養育費を払ってもらう形が安心です。
夫から妻への契約者・受取人変更ができない場合には、満期時に満期保険金相当額を支払うことを夫に約束してもらいましょう。支払いの約束を公正証書にしておくと、約束どおり支払われなかった場合に強制執行も可能になるため、支払いを確保しやすくなります。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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