18/10/04
憧れの海外移住 その時年金はどうなるの?
海外移住、憧れますよね!
でもちょっと待って。海外移住をした時、せっかく今までかけてきた年金はどうなるのでしょうか?
今回は、住所を海外へ移す場合の年金手続について説明しましょう。
海外で国民年金保険料を支払うには
日本に住所があれば、20~ 60歳までの40年間、国民年金保険料を支払うのが義務とされています。けれども日本に住所がない場合は任意となります。
つまり、「国民年金に加入しなくてもいいけど、その代わり65歳からの年金もその分少なくなるよ」というものです。
もし、国民年金と厚生年金の加入期間が10年に達してない場合は、将来年金が1円ももらえなくなり、今まで払った保険料は掛け捨てとなってしまいます。それはもったいないですよね。なので10年に足りない期間は任意で加入しておきましょう。
さらに、期間が10年以上あっても、できるだけ老後のために年金を増やしておきたいので、引き続き任意加入しておきたいものです。
任意加入は、日本にいる間に、最後の住所地の市役所などで、国内の自身の口座から保険料を引いてもらう手続きをしておかなければなりません。任意加入はあくまでも「任意」なので、さかのぼって加入できません。出国前に忘れずに手続します。さらに出国後は、保険料引き落とし口座の残高チェックも忘れずに。
また、国内にいる親族などを協力者として指定し、その協力者に保険料を払ってもらうこともできます。
海外で年金を受取るためには
受給要件を満たしていれば、海外に住んでいても年金を受け取ることはできます。そのためには、年金請求書に必要書類を添えて日本年金機構に提出しなければなりません。
年金は請求しないと受給できないのは日本在住の人も同じですが、日本在住なら日本年金機構から事前に案内が送られてくるので気付きます。しかし、日本に住所がない人には年金請求書は送られてきません。注意しておいてください。
年金の請求は、日本年金機構のホームページから年金請求書を印刷して、必要事項を記入したものを郵送または持参します。とはいえ記入内容が複雑で、間違いや不備が起こりがち。その他、戸籍謄本など必要書類の取り寄せや年金請求書以外にも提出しなければならない書類もあり、自分で全てをするのはとても困難です。日本に在住している親族や社会保険労務士に手続き一切を委任するのが現実的でしょう。
年金の受け取り口座は、日本の口座でも海外の口座でもどちらもOKです。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)のことも忘れずに
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入している場合は、どのような手続きが必要でしょうか。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、日本に住所がある人しか、掛金の積み立てを続けることはできません。かといって60歳未満では、商品を解約して資金化もできません。
海外移住したあとは「運用指図者」として、資金の運用だけを続けていくことになり、口座管理手数料だけがかかることになります。商品ごとの残高を定期的にチェックして、適正な分散投資となっているように、保有商品のリバランスを行いましょう。
まとめ
海外へ住所を移すときは市役所で、「海外転出届」を必ず提出しておきます。年金を受給し始めたら提出しなければならない、「現況届」が来ないと困るからです。
日本にいれば誕生月に「ねんきん定期便」が送られてきますが、海外に住所を移すと自動では送られてきません。ねんきん定期便が欲しいタイミングに、その都度申し込みをしてください。
また、海外で仕事をすることが決まっているなら、移住先の国によっては、日本と社会保障協定を結んでいる場合もあります。その場合は必ず出国前に年金事務所で相談してください。
社会保障協定とは、保険料の二重負担を防止するために、加入するべき制度を二国間で調整したり、年金加入期間の通算ができるという協定です。例えばアメリカやイギリスなど、現在18ヵ国と結んでおり、今後も増えていく予定です。
小野 みゆき
中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社勤務を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆、家計・年金・労務相談などを中心に活躍中。FP Cafe登録パートナー
記事提供:moneliy
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moneliy マネリー
「すべての女性を笑顔にする、マネーケア。」
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