26/03/25
【知らないと大損】賃金の未払いを確実に取り返す「未払賃金立替払制度」

突然のイランへの攻撃は、遠く離れた日本においても大きな影響を与えています。日本の原油の9割以上は中東から運ばれており、ホルムズ海峡の封鎖により、すでにガソリン価格が値上がりしています。
こうした状況は企業経営にも悪影響を与え、倒産を招く原因になるかもしれません。企業の倒産や事業停止に陥った場合には、労働者とその家族の生活の安定を図るために「未払賃金の立替払制度」があります。今回は、もしもに備えて利用するために知っておくべきことを確認していきます。
未払賃金の立替払制度の概要
未払賃金の立替払制度は、企業が倒産したことにより賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、法律に基づき、国の労働者健康安全機構がその未払賃金の一定範囲を事業主に代わって立替払する制度です。
2024(令和6)年度の立替払の総額は約110億円になっており、前年度比で28.1%増加しています。
帝国データバンクの調査によれば、2025年の全国企業倒産件数は1万261件と12年ぶりに1万件を超え(前年比3.6%増)、2026年に入り増加傾向が続いています。中東情勢の回復が長引けば、今後は想定外の倒産が増えるかもしれません。
未払賃金の立替払制度を利用できる要件には、事業主に関わる要件と労働者の要件があります。
【事業主に関わる要件】
・労災保険の適用事業の事業主として1年以上の事業活動を行っていること
・倒産したこと(法律上の倒産・事実上の倒産)
労災保険の適用事業とは、労働者災害補償保険法が適用される事業をいい、労働者を1人でも使用する事業であれば、農林水産業の一部を除いて該当します。
また、倒産は2つに分けられます。法律上の倒産では、破産法、会社法、民事再生法、会社更生法に基づく倒産のいずれかに該当しなければなりません。中小企業事業主の場合には、労働基準監督署長の認定があった場合には、事実上の倒産と認められます。
【労働者の要件】
・倒産した会社に労働者として雇用されていたこと
・退職日が倒産の日の6か月前の日から2年間であること
・事実上の倒産の認定の日の翌日から2年以内に立替払請求をすること
未払賃金の立替払制度を利用できる労働者は、倒産した事業主に雇用され、賃金の支払いを受けていた人をいいます。正社員だけでなく、パートやアルバイト等も含みます。なお、内職等に従事していた人は対象になりません。
退職日については、破産手続開始等申立日または労働基準監督署長に対する事実上の倒産の認定申請日の6か月前の日から2年の間に退職した人になります。
立替払の請求できる期間は、法律上の倒産の場合は破産手続開始決定または命令の翌日から起算して2年以内、事実上の倒産の場合は労基署から倒産の認定を受けた日の翌日から起算して2年以内です。
いくら立替払が受けられるのか
立替払の対象になる未払の賃金は、退職日の6か月前の日から立替払請求の日の前日までの間に支払期日がきている定期賃金と退職手当です。ボーナスなどの臨時の賃金や慰労金・祝い金などの福利厚生上の給付、年末調整の還付金などは含まれません。ただし、未払賃金の総額が2万円未満のときは対象外になります。
立替払される金額は、未払賃金総額の80%です。立替払の対象となる未払賃金総額には、退職日の年齢によって限度額があり、限度額を超えるときは、立替払される金額は限度額の80%になります。
<立替払される金額>

労働者健康安全機構「未払賃金の立替払制度のご案内」をもとに筆者作成
立替払の請求手続きと注意点
立替払の請求手続きは、法律上の倒産をした場合には倒産の区分に応じて破産管財人や清算人といった証明者に対して立替払請求の必要事項について証明を申請します。証明書が交付されたら、証明書と立替払請求書を労働者健康安全機構に送付します。
事実上の倒産をした場合には、労基署へ認定申請書を提出して認定通知書の交付を受けます。認定通知書が交付されると立替払請求の必要事項について確認申請を行います。労基署から確認通知書が交付されたら、確認通知書と立替払請求書を機構に送付します。
請求書が提出された後は、審査が行われ、支払いが決定すれば指定された口座に立替払金が振り込まれるしくみになっています。
注意点として、立替払請求書は「証明書」または「確認通知書」と一体になっているので、切り離さないで機構に提出します。立替払金は、定期賃金、退職手当分のいずれも退職所得として取り扱われます。請求書下欄の「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」にも記入をしておきましょう。
会社が倒産して賃金が未払いで困っていても救済される方法はありますが、立替払の請求には期限があります。できる限り速やかに手続きをしましょう。詳細をお知りになりたい場合には、最寄りの労働基準監督署または労働者健康安全機構の立替払相談コーナーで確認をしましょう。
【関連記事もチェック】
・【知らないと大損】ゆうちょ銀行にしかない6つのメリット
・【絶対確認】ねんきん定期便(年金定期便)を放置した人が辿る悲しい末路
・退職後の健康保険「特例退職被保険者制度」が任意継続より得は本当か
・貧乏人は買うけど、お金持ちは買わないもの7選
・【知らないと大損】年金定期便に載らない4つの年金とねんきん定期便の確認方法【Money&YouTV】
池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
























