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25/04/19

相続・税金・年金

ねんきん定期便(年金定期便)の「年金見込み額」より、実際もらえる金額が少なくなる理由

年金定期便「老齢年金見込み額」の金額が実際はもらえないのはなぜ?

毎年の誕生月(1日生まれの人は前月)に届く「ねんきん定期便」(年金定期便)は、加入記録のもれや誤りの確認はもちろん、50代の人は将来の「老齢年金見込み額」を知る絶好の機会です。しかしながら、ねんきん定期便の見込み額を老後の家計に反映させるにあたっては、この見込み額の前提や限界を理解しておかなければなりません。そこで今回は、50代がねんきん定期便を見るうえで押さえるべき6つの重要なポイントを紹介します。

老齢年金の見込み額が記載されるのは「50歳以上」のねんきん定期便

納めている年金保険料と年金給付の関係を実感し、年金制度に対する理解を深めてもらうために発行されるねんきん定期便は、年金加入記録の詳細をお知らせする35歳・45歳・59歳は封書、それ以外の年齢ではハガキで届きます。ねんきん定期便の内容は、年金給付を示す金額の前提が、「50歳未満」と「50歳以上」で異なる点に注目です。

<35歳、45歳を除く50歳未満のねんきん定期便(裏面)>

日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド」より

50歳未満のねんきん定期便には、これまでの年金加入実績に応じた年金額が記載されています。例えば、40歳の誕生日を迎えた人の場合、その年金額に反映されているのは39歳までの加入記録であり、未来の前提は考慮されません。

<59歳を除く50歳以上のねんきん定期便(裏面)>

日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド」より

それに対して、50歳以上のねんきん定期便では、「現在の加入状況が60歳まで続いた場合」という未来形のシナリオが考慮されたうえで、65歳からもらえる老齢年金の種類と見込み額が示されます。

しかし、老齢年金見込み額で示された年金額が実際にもらえるわけではありません。その理由は、次の6つの盲点にあります。

「老齢年金見込み額」の盲点(1):税金および社会保険料

ねんきん定期便における老齢年金の見込み額は、「額面」上の金額です。実際には、税金や社会保険料が引かれます。「家計調査年報(家計収支編)2023年」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯(2人以上)における非消費支出(直接税や社会保険料等)の平均は月33,248円で、実収入の約13%。実際の金額は、収入(所得)や年齢、家族構成、居住地によって異なりますが、老後の家計を見通すうえで考慮しておかなければなりません。

「老齢年金見込み額」の盲点(2):50代の加入状況・収入の変化

2階部分の老齢厚生年金の見込み額は、現役時代の平均年収と厚生年金保険の加入期間によって決まります。早期退職や役職定年のほかにも、さまざまな形でキャリアの変化に直面する機会も多い50代。厚生年金保険の加入者ではなくなった、収入が下がった場合には、翌年のねんきん定期便に新たな見込み額が反映されることになるので、かならず毎年確認するようにしましょう。

逆に、50代でキャリアの再構築を行い収入が増加した人や、パートタイムやアルバイト等で厚生年金保険に新たに加入した人などは、老齢年金の見込み額が昨年よりも増えていることに気づくかもしれません。

「老齢年金見込み額」の盲点(3):60歳以降の加入状況

ねんきん定期便の見込み額は、60歳以降の加入状況が考慮されていない点にも注目です。60代を迎えても厚生年金保険に加入しながら就労を続ける、もしくは基礎年金を満額もらうために国民年金に任意加入する人は、現時点の見込み額を超えて年金収入を最大化できる可能性が十分にあります。

「老齢年金見込み額」の盲点(4):今後の給付水準

ねんきん定期便の見込み額は、作成された年度の給付水準に基づくものです。実際の年金額は、賃金や物価の変動率に応じて毎年度見直しが行われるほか、年金財政の収支バランスを長期的に確保するために給付額を抑える「マクロ経済スライド」の影響を受けることになります。

したがって、老齢年金の見込み額は現時点での目安にすぎないものの、老後のくらしに必要なお金を年金でどのくらい用意できるのかを知るきっかけとしては、十分にその役割を果たしてくれると言えるでしょう。また、(2)や(3)で示した働き方による年金額の変化を、定点観測する機会となります。

「老齢年金見込み額」の盲点(5):繰り上げ・繰り下げ受給

実際の年金額は、これからの「働き方」に加えてもう一つ、「受け取り方」によっても人それぞれです。ねんきん定期便の「裏面」で示される見込み額の詳細は、老齢年金の標準的な受給開始年齢である65歳からもらい始めることを前提としていますが、実際は60歳から75歳までの間で自由に受給開始を選ぶことができます。

ねんきん定期便の「表面」には、受給開始を70歳に繰り下げた場合の見込み額と、75歳に繰り下げた場合の見込み額が示されているので、そちらもあわせて確認するようにしましょう。例えば、65歳の見込み額が180万円の場合、70歳受給開始で255.6万円(増額率:42.0%)、75歳受給開始で331.2万円(増額率:84.0%)が、亡くなるまで毎年支給されることになります。

<59歳を除く50歳以上のねんきん定期便(表面)>

日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド」より

「老齢年金見込み額」の盲点(6):在職老齢年金による支給停止ルール

最近は、賃金を得ながら年金を受給する人も増えてきました。在職老齢年金とは、加給年金を除く老齢厚生年金(報酬比例部分)と月額給与(1ヶ月あたりの賞与額を含む)の合計額が、月51万円(2025年度)の基準額を超えていると、老齢厚生年金の一部または全額の支給を停止とするルールです。「月額給与:50万円+老齢厚生年金:月11万円」のケースでは、基準額を上回る10万円のうち2分の1に相当する5万円が支給停止となりますが、この試算はねんきん定期便の見込み額では示されません。

見込み額は通過点!年金の「のびしろ」を可視化しよう

今回は、50歳以上のねんきん定期便の大きな特徴である「老齢年金見込み額」について解説しました。老後の家計の土台となる年金額を定期的に把握するにあたって、この見込み額は貴重な手がかりとなりますが、6つの前提と限界を理解することで、より正確な金額を老後の家計に反映できるようになります。

実際には、ねんきん定期便の概略的な情報を補完し、より具体的かつ現実的な計画をサポートしてくれる「ねんきんネット」もしくは「公的年金シミュレーター」を使えば簡単です。そして、実際の受取額が見込み額から変わることは、少なくなることだけを意味するものではありません。

働き方や受け取り方次第で、まだまだ見込み額を超えて年金額を増やすことができる50代。これら2つのツールも使いながら、年金を最大化させるための戦略を前向きに考えてみませんか。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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