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25/01/30

家計・ライフ

銀行の振込手数料が1000円目前、手数料対策3選

銀行の振込手数料が1000円目前、手数料対策3選

大手銀行が相次いで振込手数料の見直しを発表しています。100円、200円ならまだしも、500円以上値上がりするケースも。1回1,000円近くになる場合もあり、気になるところです。今回は、大手3行の振込手数料と見直しの背景、今日からできる3つの対策について見ていきましょう。

大手銀行の振込手数料が1000円近い?

2025年1月14日、みずほ銀行が振込手数料の見直しを行いました。実は三菱UFJ銀行も2023年、三井住友銀行でも2024年に見直しをしています。
大手3行の振込手数料は、以下のとおりです。

<三菱UFJ銀行の振込手数料(2023年10月2日~)>

<三井住友銀行の振込手数料(2024年10月1日~)>

<みずほ銀行(2025年1月14日~)>

各行のニュースリリースより著者作成

各行の提供するサービスが異なるため、一見すると、手数料はばらばらのように見えますが、方向性は似通っており、以下のような共通項が見られます。

●各行の振込手数料に共通する点

①金額による振込手数料の区分を一部を残し撤廃
今回の見直しにより、金額により振込手数料が違うのは

・三菱UFJダイレクトでの他行宛て振込
・三井住友銀行のATMでカードを使った他行宛て振込
・SMBCダイレクトの他行宛て振込

のみとなりました。それ以外は各行金額による振込手数料の違いがなくなりました。しくみとしてはわかりやすくなったものの、これまでの金額と比較すると一部で500円を超える引き上げもあり、3万円未満の振込で引き上げ幅が大きくなっています。

②窓口での振込手数料を引き上げ
各行とも窓口での振込手数料を880円もしくは990円に引き上げています。同じ銀行あての振込であれば880円で、他行あての振込では990円といったかたちです。唯一、三井住友銀行では銀行内での口座振込の場合には、窓口であっても手数料は220円としていますが、各行とも窓口での振込手数料は高い水準に足並みを揃えています。共通して窓口での振込が高くなりました。

③現金での振込手数料を引き上げ
各行ともATMでの現金での振込手数料を金額にかかわらず550円もしくは880円に揃って引き上げています。同じ銀行あての振込であれば550円で、他行宛ての振込では880円です。一方、各行とも現金を使わないオンラインでの振込手数料は0円を維持、もしくは引き下げを行っています。
オンラインバンキングでは、各行とも他行宛ての振込は振込手数料がかかるのが基本となっていますが、0~200円程度の水準です。比較すると最大で990円の大きな差が生まれています。

振込手数料が値上がりした理由は?

振込手数料を見直した理由として、先に挙げた3行では以下の様な点を挙げています。

・銀行界全体でのデジタルシフト推進の流れ
・キャッシュレス決済のニーズと利用の高まり
・詐欺・マネーロンダリング対策の必要性の一層の高まり

環境が変化しデジタルへの移行が求められる中、詐欺やマネーロンダリングなどの課題も同時にあり、設備増強を行うにあたって資金が必要です。デジタルの流れを推し進め効率化をはかり、投資資金を確保するための収益力の向上というのが各行のねらいということなのでしょう。

銀行の振込手数料は高すぎる?

銀行が振込手数料を上げると聞くと、「銀行の機械を数分使い、数分の振込作業を代行しているだけなのに高すぎる」。内心こんな風に感じる方も多いのではないのでしょうか。

ただ、今回の振込手数料の引き上げは、前に述べたとおり、窓口と現金での振込を中心とするものです。代行コストを転嫁した値上げではなく、デジタルの流れを推し進め効率化を図ることと、設備増強の必要性にひもづく資金の確保がねらいと言えます。

過去には他行あて振込手数料の引き下げも

今回3行が発表した振込手数料の見直しが、振込にかかるコストを転嫁することをねらったものではない、ということは過去の各行の対応をふまえても推察されます。実は2021年10月には、今回とは反対の流れ、他行あて振込手数料の引き下げが行われていました。
その際の引き下げ幅の水準は、各行とも窓口・ATM・オンラインバンキングといった経路にかかわらず以下の様なものでした。

(3万円未満の振込について)約60円引き下げ
(3万円以上の振込について)約110円引き下げ

今回の引き上げの発表とは異なり、各行がそろって他行宛ての振込手数料の引き下げを発表していたわけですが、そのきっかけは国からの要望を受けたことでした。先だって、公正取引委員会がQRコード決済を用いたキャッシュレス取引の実態調査を行っていました。その報告書の中で、QRコード決済の普及にあたって、コード決済を提供する事業者にとって振込手数料が経営課題となっている現状を指摘し、その上で全銀ネットを利用した銀行間取引の手数料の見直しの必要性をあげたのです。その結果、銀行間手数料は廃止、あらたに内国為替制度運営費がもうけられたことで、相次いで、他行あての振込手数料が引き下げられました。

このような流れからも、もし今回の振込手数料の見直しが振込にかかるコストを転嫁することをねらいとするものとすれば、過去の他行あて振込手数料引き下げと辻褄が合いません。したがって、今回の見直しはやはり、デジタル化の推進と効率化、資金の確保のための収益力向上がねらいということなのでしょう。

今からできる振込手数料見直しへの対応

各行の振込手数料の見直しを受け、わたしたちはどのような対策がとれるのでしょうか。

①オンラインバンキングを利用する
今回、振込手数料の見直しを発表した各行に共通するのは、オンラインでの振込を優遇しているという点です。各行ともオンラインバンキングサービスを提供しており、オンラインバンキングを利用すれば他行あての振込であっても手数料は100円~200円程度に抑えることができます。オンラインバンキングをこれまで使ったことがなかった、という方はこれを機にオンラインバンキングに挑戦してみましょう。

②オンライン送金サービスを利用する<>br/ 今回あげた3行とも、自前のオンラインバンキングによる振込だけではなく、アプリを使った以下のようなオンライン送金サービスに対応しています。

・ことら送金
・J-Coin Pay

いずれもできるのは個人間の送金で、1回あたり10万円を超える送金はできませんが、手数料無料で行うことができます。
各行の対応方法は以下のとおり異なります。

・三菱UFJ銀行:Bank Payアプリを利用してことら送金に対応。口座から送金。
・三井住友銀行:三井住友銀行アプリを利用してことら送金に対応。口座から送金。
・みずほ銀行:J-Coin Payアプリでの送金、Bank Payアプリを利用したことら送金に対応。J-Coin Pay内の残高もしくは口座から送金。

送金する相手が送金に対応している銀行などのアプリを利用していないと利用することはできませんが、相手先の口座番号がわからなくても携帯電話番号やメールアドレスがわかればお金を送ることができます。
ただし、銀行振込と異なり、送金の取り消しはできません。利用前には利用方法や送金内容をしっかりと確認しましょう。

③銀行口座の使い方を見直す
各行では取引内容によってサービスを優遇するしくみを採り入れています。具体的には、日頃の取引内容によってステータスが決まり、ATM手数料や振込手数料無料といったおトクな優遇をうけることができるようになるというものです。

給与・年金の受取りやクレジットカード利用、ローン利用など、各行でもうけられた条件は異なりますが、条件をクリアすればオンラインでの他行あて振込手数料が月〇回まで無料になるといったしくみです。他行あての振込が多い方は、各行の優遇内容を確認した上で、銀行口座の使い方を見直してみるといいでしょう。

ただ、こういったサービスをわかりにくい、と感じる方は多いはずです。そういった方は、メインバンクを思い切ってネット銀行に切り替えるのも1つの選択肢です。ネット銀行でも、他行あて振込手数料が無料になるには条件が設けられているのが一般的ですが、条件を満たせば10回程度他行宛て振込手数料が無料になるものもあります。ことら送金だけではなく、SNSを使った送金に対応しているものもあります。そのうえ、条件を満たせず無料にならなくとも、基本の振込手数料の水準は100円程度と安くなっています。紙の通帳は発行されませんが、オンラインでの使い勝手とセキュリティ対応にはアドバンテージがあります。

今回発表された振込手数料の改定は、コストの転嫁ではなくデジタル化の推進と効率化、資金の確保のための収益力向上をねらいとしています。今後地方銀行をはじめとし、他行もならって同様の動きをしてくる可能性はあります。今後の動きに注目しましょう。

内田英子 FPオフィスツクル 代表

教育費から保険、住宅、資産形成、キャリア、相続までライフプランと照らし合わせながら幅広い視点で家計を診る家計の総合医。ライフワークは金融教育。ライフプランシミュレーションで課題を整理し、望まない資金流出を避け、合理的な資産配置で生涯可処分所得を増やしながら望ましい未来をつくるお手伝いをしています。

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