24/04/25
50代の貧乏を招く予期せぬ出費5選 どう備える?
40代のころまでは、急な支出に焦ったこともあるでしょう。50代はさまざまな社会経験を重ね、多少のことには動じない自信がにじみ出てくる頃ではないでしょうか。予想外の冠婚葬祭や、家電の故障、自動車の買い替えなど、その都度乗り切ってきた経験が、これからにも活かされるはずです。
今回は、50代ならではの予期せぬ出費を5つご紹介。どう備えていけばいいのか、備え方についても考えてみましょう。
50代の予期せぬ出費1:自分や家族の医療費
20代の頃は元気で病気知らずだった人も、年齢とともに病気やケガのリスクは高くなっていきます。
厚生労働省の調査によれば、50~54歳までの年間医療費は23.9万円、55~59歳は30.3万円、60~64歳は37.7万円、そして65~69歳は47.0万円です。
<年齢階級別1人当たり医療費>
厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費、自己負担額及び保険料の比較(年額)」
(令和3年度実績に基づく推計値)より
50代はまだまだ元気とはいえ、グラフを見ると増加の割合が増えはじめる頃。だからこそ予期せぬ医療費には困ってしまうかもしれません。
医療費の備えは、民間の生命保険会社による医療保険が心強いですが、公的医療保険の制度も見逃せません。
たとえば、高額療養費制度は、医療費の自己負担に上限額が設定されている制度です。一定以上の自己負担額がかかった場合には払い戻されます。一般的な年収の世帯でひと月に100万円の医療費がかかっても、自己負担は9万円に満たない程度で済みます。
また、勤務先で社会保険に加入していると、傷病手当金が受け取れることも。最長で通算1年6か月にわたり給料のおよそ3分の2が受け取れます。
公的な制度もしっかり活用していきましょう。
50代の予期せぬ出費2:子どもの教育費
50代になると、子どもは成人。子育て、教育費もそろそろ卒業と考えている人も多いのではないでしょうか。ところが、大学院に進学したい、外国に留学したい、と考える子もいるかもしれません。文部科学省の資料によると、国立の大学院は2年間で約135万円、私立の大学院は2年間で約180万円かかります。
子どもの希望はできるだけかなえてやりたいところですが、教育費の支出が増えすぎると、自分自身の老後資金の不足にもつながりかねません。
給付型の奨学金が利用できるといいですね。子ども本人にもしっかり調べさせるとともに、親も情報収集につとめましょう。
貯蓄で対応しきれなければ、貸与型の奨学金や、教育ローンを利用することになるでしょう。
その場合には、将来の返済見込みまで考えて決めることが大切です。
50代の予期せぬ出費3:親の介護費用
また、親の介護も考えておかなくてはなりません。
50代の親は、80代前後が多いでしょう。介護は、早ければ70代から必要になる人もいますが、個人差が大きく予想がつきにくいものです。生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(2021年度)によると、介護のための一時的な費用の合計は平均74万円、月々の費用が平均8.3万円、介護期間は平均5年1か月。ここから単純計算すると、介護費用は約580万円となります。
子どもにとって親はいつまでも元気でいるもの、との思い込みもありがちです。
しかし、親の介護の備えは、親が元気なうちにはじめておきましょう。
はじめの一歩は、親の希望を聞いておくことです。
そして、年金額など収入についても知っておくと、先々の予定を立てやすくなります。
親の介護は、親のお金の範囲でまかなうことが基本です。
子どもの経済的負担が大きくなると、自分の老後資金不足につながります。
できるだけのことをしたい気持ちは、お財布とは切り離して考えましょう。
50代の予期せぬ出費4:自宅の修繕費
20~30代に購入した住宅は、そろそろ修繕が必要になってくる頃かもしれませんね。
屋根や外壁、門扉、給湯器などは、計画的な貯蓄で備えておきたいところです。
また、家族構成の変化や、身体の具合によっては、手すりをつけたり、浴室をリフォームしたりする必要があるかもしれません。
とはいえ、そのためのお金が計画通りに貯まっていないことも考えられます。
そういった場合には、お住まいの自治体の助成や補助金を調べてみましょう。
補助金が使えれば、貯蓄はそのまま貯めておけますね。
また、自己資金でリフォームしたときの「リフォーム促進税制」では、リフォーム費用の10%、最大20万円の控除が受けられます。リフォーム促進税制は当初、2023年末までの予定でしたが、2年延長されて2025年末までの工事・入居が対象になりました。
50代の予期せぬ出費5:住宅ローンの返済額アップ
2024年3月、長らく続いたマイナス金利政策が解除されました。
その影響で金利は上昇、景気回復につながっていくと見られています。
景気回復で収入が増えるのは嬉しいことですが、住宅ローンなどの変動金利が上がれば、返済金額も上がります。
変動金利の住宅ローンの場合、毎月の返済金額がすぐに上がるわけではありません。
住宅ローンの返済をはじめてから5年間は、金利が上昇しても返済額は変わりません。しかし、返済額の内訳が、金利によって変わることに要注意です。
つまり、金利があがれば、返済額のうち元金分が減って、金利分が増えるので、返済期間が長くなり総返済額が増える可能性があるのです。
さらに、返済額だけでは金利分に足りない場合、不足額はそのまま繰り延べられ、後から一括で払うことにも。
金利の上昇局面にあっては、住宅ローンは固定金利が安心です。
住宅ローンの残債額や返済期間、今後の収入の見込みなど、総合的に考える必要があります。
住宅ローンの借り換えも選択肢に入れていきましょう。
いざとなれば、「もらう・稼ぐ・借りる」で乗り切る
予期せぬ出費は、いつどこからやってくるかわかりません。
そのため、普段から「緊急予備資金」の貯蓄をしておくことが王道です。
金額は、生活費の半年~1年分が目安です。
しかし貯蓄があっても、助成金や補助金など、もらえるお金はしっかり活用しましょう。
貯蓄がない場合も、もらえるお金は優先的に探します。
それでも足りなければ稼ぐ、そして借りることを検討するとよいのではないでしょうか。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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