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24/02/02

相続・税金・年金

「年金特別徴収」でいくら天引きされる?初年度は予想外に多い可能性

「年金特別徴収」でいくら天引きされる?初年度は予想外に多い可能性

原則65歳から支給される公的年金は、老後の生活を支える重要なお金となります。ところで、公的年金からは税金や社会保険料が差し引きされるので、その分手取りが減ってしまうことをご存じでしょうか?
今回は、年金から引かれるお金について説明します。老後の毎月の生活をイメージする参考にしていただければ幸いです。

年金は手取り額で考えることが大切

老後の生活設計を考えるにあたって、もらえる公的年金の額を把握しておくことは重要です。将来の年金額がどれくらいかは、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」でも確認できます。しかし、実際には公的年金からは天引きされるお金があります。振り込まれる額(手取り額)は額面上の年金額よりも少なくなることに注意しておきましょう。

●年金から天引きされるお金とは?

年金から天引きされるお金とは、主に税金と社会保険料です。この場合の税金とは、所得税・住民税のこと。社会保険料とは、公的医療保険(国民健康保険または後期高齢者医療制度)及び公的介護保険の保険料です。所得税は「源泉徴収」という形で天引きされ、住民税と社会保険料は「特別徴収」という形で天引きされます。

以下、年金から天引きされるお金について、具体的に説明します。何がどれくらい差し引きされるのかを知っておき、年金の手取り額を計算するときに役立ててください。

年金から天引きされるお金①所得税

働いて得た収入に所得税がかかることは誰もが認識していると思います。しかし、公的年金も所得となり所得税がかかることは、知らない人も多いのではないでしょうか?

公的年金は、所得の種類としては「雑所得」となります。なお、雑所得のうち公的年金や一定の企業年金については「公的年金等控除」が受けられるという優遇があります。そのため、公的年金をもらっても、一定額までは課税されません。課税される金額以上の年金を受け取る場合に、所得税の源泉徴収が行われます。

●年金額がいくらから源泉徴収される?

年金からの源泉徴収の対象者は、原則として次のような人です。

【年金からの源泉徴収の対象者】
・65歳未満…年金額が108万円を超える人
・65歳以上…年金額が158万円を超える人

所得税には基礎控除(48万円)もあります。公的年金等控除と基礎控除を合わせると、65歳未満の人は年金額108万円まで、65歳以上の人は年金額158万円まで所得税は課税されません。それを超える年金をもらう人が源泉徴収の対象になります。

ちなみに、老齢基礎年金(国民年金)の満額は約80万円です。収入が老齢基礎年金のみしかない人には所得税はかからず、源泉徴収もされないことになります。

なお、源泉徴収される税額は、年金額から各種控除を差し引きした所得の5.105%(復興所得税含む)です。

●控除の適用もある

所得税を計算するときには、社会保険料控除や配偶者控除などの各種の所得控除が受けられます。これらの控除分を差し引いた所得が最終的に課税対象になるので、年金額が上記の金額を超えていても、源泉徴収されないこともあります。

源泉徴収するとき、社会保険料控除については自動的に適用してくれます。一方、配偶者控除や扶養控除については、扶養親族等申告書を提出して適用を申請しなければなりません。扶養親族等申告書の用紙は、毎年9月頃日本年金機構から郵送で届きます。定められた期限までに必要事項を記入して郵送するかもしくは年金事務所に提出すれば、源泉徴収にあたって各種控除が受けられます。

2024年分(令和6年分)の扶養親族等申告書からは、マイナポータルを利用した電子申請も可能になりました。マイナポータルとねんきんネットを連携していれば、紙の申告書を出す代わりに、スマートフォンやパソコンから控除の申請ができます。

扶養親族等申告書を出し忘れた場合には、確定申告して控除の適用を受けることも可能です。

●確定申告はどうなる?

所得税はその年の所得にかかるものなので、1年終わらないと税額が確定しません。源泉徴収される税額は仮の金額であるため、本来なら確定申告が必要です。ただし、年金受給者が毎年確定申告するのは負担になるため、公的年金については確定申告不要制度が設けられています。

確定申告不要制度により、以下の①②の条件をいずれもみたす場合には、確定申告をしなくてもかまいません。

【確定申告をしなくてもいい人】
①公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
②公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

●年金以外に給与ももらっている場合には?

年金と給与の両方をもらっている人の場合、給与にかかる所得税は給与から源泉徴収されます。給与から所得税が源泉徴収されていれば、年末調整があるはずです。しかし、年末調整では、年金所得も含めた精算はしてくれません。

年金と給与の両方をもらっている人は、会社での年末調整後に、自分で確定申告を行う必要があります。ただし、確定申告不要制度により、給与収入75万円(給与所得20万円)以下の人は、確定申告しなくてかまいません。

年金から天引きされるお金②住民税

住民税も所得税と同様、個人の所得に対して課税される税金です。所得税は国から課税されますが、住民税は自治体から課税されます。公的年金には所得税だけでなく住民税もかかります。

●住民税は前年の所得を基準に計算

所得税は今年度の所得を基準に計算しますが、住民税は前年度の所得を基準に計算します。所得税は源泉徴収される時点では税額が確定していませんが、住民税は確定した税額を納税することになります。退職した翌年に収入が減っていても、支払う住民税は退職した年の所得をもとに計算されるため高くなりがちな点には注意が必要です。

●住民税の納税方法

住民税の納税方法には、「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。それぞれの違いは次のとおりです。

・普通徴収
役所から納税者に納税通知書と納付書が送られ、納税者自らが納付書や口座振替で納税する方法です。普通徴収の場合、1年分の税額を年4回に分けて納税します。納期は、6月、8月、10月、1月に設定されています。

・特別徴収
所得税を源泉徴収するのと同様、給与などから直接税金を差し引いて徴収する方法です。給与は毎月支払われるため、1年分の税額を年12回に分けて納税します。年金受給者も、住民税は原則として特別徴収となります。年金支給は年6回行われるため、住民税も原則的に年6回に分けて納めます。

●年金特別徴収はなぜ行われる?

高齢者のほとんどは、何らかの公的年金を受け取っています。年金から特別徴収を行えば、高齢者が自分で納税する手間は発生しません。市区町村においても、年金特別徴収により事務の効率化が図られます。こうしたことから、2009年(平成21年)以降、住民税の年金特別徴収が行われているのです。

●年金特別徴収の対象者

年金から住民税が特別徴収される人は、次の要件をすべてみたす人です。

①その年の4月1日現在において65歳以上
②その年の老齢基礎年金等の支給額が年18万円以上
③前年に住民税が課税されるだけの年金所得がある人
④介護保険料が年金から特別徴収されている

なお、年金担保貸付制度を利用して年金に担保が設定されている場合には、年金特別徴収の対象外となります。年金担保貸付制度の新規受付は2022年(令和4年)3月末で終了しましたが、借入額が残っている場合には年金特別徴収はされません。

●年金以外の所得がある場合

年金から特別徴収される住民税は、年金所得のみで計算した税額です。年金と給与の両方をもらっている人については、給与に対する住民税は給与からの特別徴収になります。年金以外に事業所得や不動産所得などがある人は、その所得に対する住民税は普通徴収により支払うことになります。

●年金生活初年度の住民税はどうなる?

年金生活初年度は、前年度に年金所得がありません。住民税の年金特別徴収は行われないため、給与をもらっていなければ、普通徴収で納める必要があります。
会社を退職して年金生活に入った場合、年金生活初年度の住民税は、前年の給与所得から計算した金額です。会社員から年金生活になれば、収入が大きく減ることが多いでしょう。年金生活初年度は、収入が少ないのに住民税が高くなってしまいます。住民税の納付書が届いてから慌てないよう、納税資金を準備しておきましょう。

●年金特別徴収の仕組み

前年度の年間所得から算出された住民税は、4月から翌年3月までの1年間に徴収されます。公的年金は偶数月に2か月分ずつ支給されますが、その際に住民税が差し引きされます。

●特別徴収される金額

住民税の特別徴収額は、毎回均等ではありません。住民税は前年の所得を基準に計算するとはいえ、年税額が確定するはその年の6月頃です。年度初めの4月には今年度の税額がまだ確定していないため、4月、6月、8月については仮の金額を差し引きする仕組みになっています。
また、特別徴収が開始した初年度については、特別徴収の準備にも時間がかかります。そのため、特別徴収初年度は、4月の特別徴収がありません。
以上のような事情から、年金受給者の住民税の納税金額は、次のようになっています。

(1) 特別徴収初年度
・年税額の2分の1を、6月と8月の2回に分けて普通徴収
・年税額の残り2分の1を、10月、12月、2月の3回に分けて特別徴収

(2) 特別徴収2年目以降
・前年度の税額の2分の1の額を、4月、6月、8月の3回に分けて特別徴収(仮徴収)
・今年度の税額から仮徴収した金額を差し引きした額を10月、12月、2月の3回に分けて特別徴収(本徴収)

具体的なケースでみてみましょう。年金特別徴収が開始した初年度の住民税の年税額を6万円とすると、年金特別徴収の額は次のようになります。

<特別徴収初年度の住民税(年税額6万円)>

筆者作成

上の表からわかるとおり、特別徴収初年度の6月と8月は、少し納税金額が大きくなってしまいます。10月になると納税金額が減り、12月、2月も同じ金額になります。

特別徴収初年度に6万円だった年税額が、2年目に6万6000円になったとすると、2年目の特別徴収額は次のとおりです。

<特別徴収2年目の住民税(年税額6万6000円)>

筆者作成

●普通徴収や給与からの特別徴収にできない?

年金にかかる特別徴収税額は、普通徴収により払うことはできません。給与をもらっている場合、年金にかかる住民税を給与から差し引いてもらうことも不可能です。

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年金から天引きされるお金③社会保険料

年金受給者が負担する社会保険料とは、公的医療保険料と介護保険料です。年金受給者も、公的医療保険や公的介護保険に加入し、保険料を納めなければなりません。

●65歳以上の人が加入する社会保険

公的医療保険は国民全員が加入するものですが、65歳以上75歳未満の人は主に国民健康保険に加入することになります。ただし、会社で働いている人は、会社の健康保険にも加入できます。75歳以上になると、会社で働いている人も含め、全員が後期高齢者医療制度加入となります。
公的介護保険には、40歳以上の人全員が加入する必要があります。40歳以上65歳未満の人は第2号被保険者ですが、65歳以上の人は第1号被保険者になります。

<加入する社会保険の違い>

筆者作成

●社会保険料の特別徴収も住民税と同様

介護保険及び公的医療保険(国民健康保険または後期高齢者医療制度)の保険料は、年金から特別徴収されます。住民税と同様、4月、6月、8月は仮徴収、10月、12月、2月は本徴収となります。初年度の仮徴収は普通徴収で支払うことになりますが、普通徴収の支払回数は自治体によって異なります。

特別徴収の対象者も、住民税と同様、その年の4月1日現在で年金受給額が18万円を超える65歳以上の人です。ただし、介護保険料と公的医療保険の保険料の合計額が年金額の2分の1を超える場合、公的医療保険の保険料の特別徴収はされません。

●介護保険の第1号と第2号の保険料の違いは?

40歳以上65歳未満の第2号被保険者については、介護保険料は公的医療保険料に上乗せされて一括徴収されることになっています。保険料の計算方法も加入している公的医療保険によって異なり、会社の健康保険に入っていれば事業主と折半します。
これに対し、65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は市町村が計算するため、市町村によって多少異なります。第1号被保険者の介護保険料は、市町村が原則として年金から特別徴収する仕組みになっています。
なお、介護保険の第1号と第2号では、介護サービスを利用できる条件が違います。第2号では加齢に伴う疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた場合が対象ですが、第1号で要介護・要支援認定を受けた場合には原因を問わず対象となります。

●65歳以上75歳未満で健康保険に加入している人は?

健康保険には75歳になるまで加入できます。会社で勤務を続けている人の場合、国民健康保険に加入せず、会社の健康保険に入る選択肢もあります。また、退職後も任意継続制度や特例退職被保険者制度により、継続して健康保険に加入するケースもあるでしょう。
65歳以上75歳未満で会社の健康保険に加入している場合、健康保険料は給与天引き等で払うことになります。そのため、年金からの社会保険料の天引きは、介護保険料のみです。65歳以上75歳未満で家族の健康保険の被扶養者になっている人も同様に、社会保険料としては介護保険料のみが年金から天引きされます。

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年金特別徴収が中止される場合とは?

年金特別徴収をされると、年金の手取りが減ってしまいます。納付書を使って払いたい人もいるかもしれませんが、希望により特別徴収を中止してもらうことは原則的にできません。
一方、本人の意思とは関係なく、年金特別徴収が中止される場合があります。年金特別徴収が中止された場合には、特別徴収される予定だった税額は普通徴収に切り替えて徴収されます。
年金特別徴収が中止されるのは、次のようなケースです。

●特別徴収されている年金の支給が停止された場合

たとえば、年金の現況届を期限までに提出しないと、年金の支払いが停止になることがあります。複数の年金受給権があり、いずれかを選択しなければならない場合にも、選択しない年金の支給が停止されます。このように、年金の支給が停止された場合には、特別徴収も停止します。

●特別徴収の対象となる税額が変更された場合

年度の途中で特別徴収税額が変更になった場合、特別徴収は中止され、普通徴収に切り替わることがあります。

●年金受給額が減った場合

年金の受給調整などで年金受給額が減って、特別徴収額を下回るようになった場合には、特別徴収が中止されます。

●介護保険料が特別徴収されなくなった場合

住民税の特別徴収は、介護保険料が特別徴収されている人を対象に行われることになっています。介護保険料の特別徴収がなくなると、住民税の特別徴収も行われません。

年金からも税金が天引きされる点に要注意

年金からは税金などが差し引きされるため、額面と手取りには差があります。年金をもらうようになっても税金はかかるということを認識しておき、あらかじめ資金を準備しておきましょう。

森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー

Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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