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23/12/15

家計・ライフ

定年後、年金以外の5つの収入源

定年後、年金以外の5つの収入源

定年退職まであとわずかでも、具体的な老後の過ごし方がイメージできていない人は、理想とはかけ離れた老後を過ごすことになるかもしれません。昔とは違って退職すると同時に年金をもらうことはできないし、退職金も大きく増えていません。定年後のことは、会社を辞めてから考えても何とかなっていたのは昔の話です。豊かな老後を過ごすためには、公的年金では足りない部分をどう補い準備していくかどうかで、心配なく暮らせるかが決まります。
今回は、定年後の年金以外の収入源を考えていきましょう。

高齢者の暮らしぶりはどうなっている?

老後の暮らしがなかなか想像できないという人は、総務省の「家計調査報告(家計収支編)2022年」の統計を参考にしてみましょう。

この調査の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均は、毎月26万8507円の支出に対して、公的年金が22万418円、その他の収入が2万5819円で、不足分が2万2270円になっています。一方、65歳以上の単身無職世帯の平均の場合は、毎月の支出が15万5495円に対し、公的年金が12万1496円、その他の収入が1万3419円、不足分が2万580円です。いずれにおいても、毎月年金だけでは暮らせていない実状が見えてきます。そうなると年金で足りない分は、自分でどうにかしなくてはなりません。

●65歳以上の夫婦のみの無職世帯

総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年」より

●65歳以上の単身無職世帯

総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年」より

また、内閣府「令和5年版高齢社会白書」によれば、公的年金、恩給が家計収入のすべてとなっている世帯が約4分の1となっています。平均的な暮らしぶりでも公的年金だけでは賄えていません。となると、年金だけの生活では、かなりつつましいカツカツ生活をせざるを得ないということになります。
そこで、年金以外の収入源を考えておきましょう。年金以外にも収入があれば、単純に生活が安定します。年金以外の収入源には、たとえば次のものがあります。

老後の収入源1:再雇用制度

会社が定年を定める場合には、60歳以上とする必要があり、定年の年齢を65歳未満にしている会社は、65歳までの安定した雇用機会を確保しなければなりません。
再雇用制度は、一度退職した従業員を再雇用する制度です。本人が希望する場合には、定年後も引き続き働くことができます。最近では、2割程度の会社で65歳定年を導入しています。

定年まで働いた従業員は、その会社で長年にわたって培った専門知識やスキル、経験などを持っています。新たに採用したり、教育したりするコストがかからず、人手不足の解消になります。しかし、再雇用制度では正社員から契約社員・嘱託社員などに雇用形態を変えて働くため、給与水準は前の50~70%程度になることが多いようです。もっとも、健康保険や厚生年金保険に加入することができるので、給与をもらいながら年金を増やせるメリットがあります。

老後の収入源2:パートやアルバイト

働くといっても、現役世代のように仕事中心ではなく、自分の趣味や余暇を楽しみながら週2~3日働いたり、1日3時間だけ働いたりするという具合に、すきま時間で働くパートやアルバイトという就業形態もあります。時間給で働くことが多いので大きな金額の給与は望めませんが、社会とのつながりを持ちながら、体力的に負荷がかからずに働けるメリットがあります。

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老後の収入源3:シニア起業

老後は自分の得意とする分野や技能を活かして、起業するという選択肢もあります。会社に雇われるのではなく、自分のペースで働くので、ストレスが比較的少ない働き方ができます。開業するために資格が必要な場合は、定年前から資格取得のために勉強を始めておく必要があります。事業が軌道に乗るまでに時間を要しますし、開業資金も準備しなくてはならないので、定年前からの計画的な準備が必要になります。

老後の収入源4:自分の時間やスキルを売る

インターネットの発達により、いろいろなプラットホームが登場しています。「ココナラ」「クラウドワークス」「ランサーズ」などのように、自分の知識・スキル・経験を気軽に時間単位で売り買いでき、仕事や相談につなげるサービスがあります。在宅ワークできる案件も多く、「愚痴を聞きます」「話を聞きます」といった単発案件から業務委託までさまざまな仕事が集まります。ガッツリ稼ぐのも、ムリのない範囲で働くのも自分の裁量次第で決められます。

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老後の収入源5:自分年金を用意する

公的年金で老後の生活費をまかなえないのなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA、個人年金保険で自分年金を用意するという考え方もあります。長い時間をかけて積立を行いながら運用していけば、分散投資ができるのでリスクを抑える期待ができます。

iDeCoは税制の優遇が大きい制度で、毎年の掛金を全額所得控除して所得税や住民税を安くすることができます。またNISAは2024年1月から生涯1800万円までの投資元本における運用益、利金・配当金に税金が無期限でかからなくなりますので、ぜひ利用したい制度です。

老後の収入源を得るにあたって注意すること

老後の主な収入源は、公的年金以外には勤労収入と資産収入に分けられます。元気に働けるうちはいいのですが、年齢や体力によっては働けなくなる可能性があるので、複数の収入源を得ることが大切になります。勤労収入に頼り過ぎずに、健康面に気をつけながら身体にムリのない範囲で働きましょう。

また、投資で不労所得をねらって、投資初心者が退職金をつぎ込んでしまうケースがあります。退職金が入ると気が大きくなりますが、退職金は大切な生活資産です。生活資産でハイリスクな投資に挑戦しないことも重要です。不動産投資での家賃収入や株式の配当金に憧れるなら、それなりの勉強をして退職金以外の別のお金で準備しないと大やけどを負かねません。

いずれの方法で公的年金の意外の収入を得るにせよ、どんな生活をしたいのか40代前後から理想を描き、イメージに近づくための行動を取らなければ思いどおりを叶えることはできません。意識して人生100年時代のプランを思い描いておきましょう。

池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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