24/01/17
2024年1月から「産前産後の国民健康保険料」が免除に!免除金額はいくら?
子育て支援がひろがっています。すでに2019年4月から、産前産後の国民年金保険料が免除されていますが、それに続くかたちで、2024年1月からは国民健康保険の保険料にも、産前産後に免除される制度ができました。
今回は、産前産後の国民健康保険料免除についてお伝えします。
産前産後の国民健康保険料が免除される対象者は?
産前産後の国民健康保険料が免除される対象は、フリーランスなどで国民健康保険に加入している人で、2023年11月1日以降に出産した方です。妊娠85日(4カ月)以上の分娩が対象で、死産、流産、早産、人工妊娠中絶も含みます。
なお、国民健康保険に加入している人が対象なので、たとえば、会社員や公務員の夫に扶養され、夫の社会保険に加入している妻は含まれません。ただし、被扶養者として夫の社会保険に加入していれば、そもそも健康保険料の負担はありません。
産前産後の国民健康保険料が免除される期間は?
産前産後の国民健康保険料が免除されるのは、産前産後の4カ月。出産(予定)日が属する月の前月から、出産(予定)日が属する月の翌々月までです。
双子など多胎の場合は6カ月です。出産(予定)日が属する月の3カ月前から、出産(予定)日が属する月の翌々月までとなっています。
<国民健康保険料の免除期間>
筆者作成
これらの期間の国民健康保険料は、国・都道府県・市町村で負担することになります。国や地域をあげて子育て支援をする、ということでしょう。
また、免除の期間は、国民年金の保険料免除期間と同様です。産前産後は何かと物入りですから、免除の制度は助かりますね。
産前産後の国民健康保険料が免除される金額は?
では実際、産前産後の国民健康保険料はいくら免除になるのでしょうか。
国民健康保険の保険料は、所得や世帯人数などによって決まります。
計算は、次の4種類の金額を合計して算出します。
所得割・・・世帯の所得に応じた金額
均等割・・・世帯の人数に応じた金額
平等割・・・世帯ごとの金額
資産割・・・世帯の固定資産税額に応じた金額
2024年1月から免除になるのは、所得割と均等割です。
では、夫(35歳)は会社員で社会保険、妻(33歳)はフリーランスで国民健康保険、東京都世田谷区在住の場合で考えてみましょう。
妻の国民健康保険の保険料は次のように計算します。
保険料賦課基準額=400万円-住民税基礎控除43万円=357万円
所得割・・・(357万円×7.17%)+(357万円×2.42%)=34万2363円
均等割・・・(4万5000円×1人)+(1万5100円×1人)=6万100円
平等割・・・なし
資産割・・・なし
※保険料率は2023年度のもの
世田谷区では、平等割、資産割はありません。
年間保険料は合計で40万2463円です。
そして、免除されるのはそれぞれの4カ月分の合計です。
(357万円×7.17%)×(4カ月÷12カ月)=8万5323円
(357万円×2.42%)×(4カ月÷12カ月)=2万8798円
(4万5000円×1人)×(4カ月÷12カ月)=1万5000円
(1万5100円×1人)×(4カ月÷12カ月)=5033円
合計、13万4154円が免除される、という計算になります。
なお、国民健康保険の保険料は、自治体によって計算のもとになる割合や金額が異なります。
そのため免除される金額も、地域によって違いがあります。
世田谷区より、所得割の率や、均等割の金額が大きいところもあれば小さいところもあります。
また、平等割がある地域もあります。
<所得割・均等割・平等割の料率・金額例>
自治体ホームページより筆者作成
2024年1月からの産前産後の保険料免除は、所得割と均等割が対象ですので、平等割や資産割のある地域では、まったくの無料になるわけではありません。
また、免除されるのは出産をした方の保険料です。本人以外にも国民健康保険に加入していたり、生まれた赤ちゃんが国民健康保険に加入したりすれば、その分の保険料は発生します。
つまり、産前産後の期間には、保険料の通知書が来ていても払わなくてよい、というわけでありません。もし払い過ぎてしまっても、あとから戻ってきます。
未払いにならないように、気を付けてください。
産前産後の国民健康保険料免除の申請方法は?
保険料の免除制度はありがたいものですが、他の制度と同様に申請が必要です。
申請の受付は2024年1月からはじまっています。出産予定日の6カ月前から届出ができるので、早めに届けておくといいのではないでしょうか。
ただし、自治体によっては、出産一時金制度の利用などがあれば、自動的に免除となる場合もあります。
申請に必要な書類は、以下のとおりですが、自治体によって異なる場合があります。
・届出書
・母子手帳など出産予定日、出産日を確認することができる書類
・世帯主及び出産被保険者のマイナンバーがわかるもの
・届出人の顔写真付きの身分証明書
・死産などの場合は、死産証書など死産等の日及び身分関係を明らかにできる書類
対象になる人は、まずはお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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