23/11/15
年代別・年収別「手取りからの貯蓄割合」はいくら?
物価が上がり、給与が上がらないなか、家計のやりくりが大変と思われる方も多いでしょう。こんなときに気になるのは、「周りはどのくらい貯蓄をしているのか」ではないでしょうか。そこで、今回はデータをもとに、年代別、年収別の手取りからの貯蓄割合を紹介します。
年代別の年間手取り収入からの貯蓄割合は?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」では、単身世帯・二人以上世帯の年間手取り収入からの貯蓄割合がまとめられています。
●年代別、貯蓄割合の平均
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2022年)より筆者作成
数値の多少の違いはありますが、50代まではおおよそ手取りの15%前後、60代以降は10%程度を貯蓄に回しているようです。みなさんはいかがでしょうか。
しかし、平均は一部の極端なデータに引きずられてしまう傾向があります。そこで、貯蓄割合を5%刻みで分けたデータを見てみましょう。
●年代別、年間手取り収入からの貯蓄割合(単身世帯)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2022年)より筆者作成
●年代別、年間手取り収入からの貯蓄割合(二人以上世帯)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2022年)より筆者作成
手取り収入の貯蓄割合は、意外に思われるかもしれませんが、どの年代も「貯蓄しなかった」が最多です。
貯蓄しなかった人の割合は、20代よりも30代・40代のほうが少なくなります。20代のときよりも収入が増え、貯蓄できる余裕ができた人が多いと考えられます。しかし、50代、60代、70代と年代が上がるほど、再び貯蓄しなかった人の割合は増えていきます。60代以降は再雇用による勤務や、年金生活のため収入が減り、貯蓄できる割合が減っているように見えます。
また、二人以上世帯の方が、単身世帯より貯蓄しなかった人の割合が少なくなっています。二人以上世帯は、教育費や住宅などまとまったお金が必要となるタイミングのために貯蓄をして準備しているように見えます。また、年収のほとんどを年金に頼る65歳以降は、世帯人数が多い方が、収入が多くなるためと考えられます。
年収別の年間手取収入からの貯蓄割合は、年収が上がるにつれて貯蓄率が高まる傾向
続けて、年間手取り収入からの貯蓄割合を年収別に見てみましょう。こちらも、まずは平均から紹介します。
●年収別の平均貯蓄割合
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2022年)より筆者作成
年収別の平均貯蓄割合は、「収入はない」世帯を除いて、単身世帯の方が二人以上世帯より多くなっています。単身世帯では「300万円~500万円未満」以降の世帯は手取り収入に対する貯蓄割合が15%を超えるのに対し、二人以上世帯で貯蓄割合が15%を超えるのは「1,000~1,200万円未満」の世帯からです。
これを年収別の分布で見ると、次のようになります。
●年収別、年間手取り収入からの貯蓄割合(単身世帯)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2022年)より筆者作成
●年収別、年間手取り収入からの貯蓄割合(二人以上世帯)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2022年)より筆者作成
単身世帯も二人以上世帯も、平均で見たデータと同様、全体的には年収が高くなるにつれて「貯蓄しなかった」割合が少なくなります。しかし単身世帯の場合は1,000万円以上を境に「貯蓄しなかった」割合が増加しています。また二人以上世帯でも、貯蓄ができていない人もいます。
確実にお金を貯める方法
ここまで紹介したデータから明らかなのは、年代や年収にかかわらずどの年代でも貯蓄ができる人とできない人がいるという事実です。
家計の金融行動に関する世論調査には、「臨時収入等からの貯蓄割合」のデータもあります。これによると、単身世帯は臨時収入の平均33%、二人以上世帯も平均26%を貯蓄に回しているのですが、一方で貯蓄しなかった人も各年代・年収で10〜20%くらいいます。
貯蓄できるかどうかは年代や年収ではなく、確実にお金を貯める方法を取り入れているかによって決まります。
たとえば、給与から貯蓄用口座に天引きをして、貯めるお金を先取りしておけば、仮にそれ以外のお金をすべて使ったとしてもお金が確実に貯まります。貯蓄先の銀行口座はキャッシュカードを持たないようにし、引き出しにくい環境にするといいでしょう。
また、老後資金を貯めるのであればiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を活用する方法もあります。iDeCoは 原則60歳まで引き出せずに積立投資ができる制度です。iDeCoには、投資による収益が非課税になったり、所得税・住民税も控除されたりする税制メリットがあります。投資商品は値動きするため元本の保証はありませんが、10年、20年と長期的に積立続けることで、元本割れのリスクが軽減されます。
貯蓄する意識と仕組みを取り入れよう
何気なく毎日を過ごしていると、お金は貯まりません。貯蓄意識を持ち、早くから明るい老後のためにお金が確実に貯まる仕組みを取り入れていきましょう。お金が貯まると、海外旅行、リカレント(学び直し)、住宅購入など、将来の選択肢が広がります。老後のお金を貯めつつ、その過程も楽しめるようお金の管理をしていきましょう。
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金子圭都 ファイナンシャルプランナー(CFP︎®︎)
学生の頃、親族の死をきっかけにお金について学び、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。お金の勉強をする女性コミュニティでイベントの企画・運営に3年間携わり、のべ200人以上のお金の悩みに寄り添う。その後独立し、お金の不安を安心に変えるマネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。
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