21/08/11
世界のトップ「GAFAM」と日本のトップ「トヨタ」の従業員の平均年収はどのくらい違う?
「GAFAM」(ガーファム)とは、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの頭文字を取った呼び名。「ビッグ・テック」「ビッグ・ファイブ」などとも呼ばれる超大企業です。何しろこの5社で、日本の東証1部2170社の株式時価総額より多く、世界の株式時価総額の5分の1を占めるというのですから驚きです。
そんな世界のトップ企業の従業員の年収は、どのくらいなのでしょうか。また、日本のリーディングカンパニー「トヨタ自動車」の平均給与とどのくらい違うのでしょうか。紹介します。
年収3000万円超えも! GAFAMの従業員の年収はどのくらい?
GAFAMに入社するのは、狭き門です。高い専門性や実力が必要なのはもちろん、柔軟な思考力や問題解決能力、豊かな人間性などが求められるでしょう。しばしば、ユニークすぎて回答に悩む入社試験の問題が話題になることもあります。その狭き門を乗り越えて入社したあかつきには、どのくらいの年収が受け取れるのでしょうか。
ここでは、GAFAM各社のIR情報(有価証券報告書・アニュアルレポート・株主招集通知など)に掲載されている「従業員の総報酬の中央値」を紹介します。
米国の上場企業には、「Pay Ratio」(ペイレシオ)と呼ばれる、経営者の報酬が従業員の年収の何倍かを示す倍率を公表するルールがあります。そのため、各社の従業員の中央値とCEOの総報酬、そしてペイレシオがわかるというわけです。なお、中央値は、全体を数字(ここでは、年収)の順に並べたときに、ちょうど真ん中にくる人の金額を表します。
金額はすべて2020年のもの。円建ての金額は1ドル=110円として筆者が計算した金額(千円単位四捨五入)です。
●グーグル (Google、親会社はAlphabet)
・従業員の年間報酬の中央値 $273,493(約3008万円)
・CEOの総報酬 $7,425,547(約8億1681万円)
・ペイレシオ 27:1
●アマゾン(Amazon)
・世界中の正社員と臨時社員の年間報酬の中央値 $29,007(約319万円)
・米国のフルタイムの従業員の年間報酬の中央値 $37,930(約417万円)
・ベゾス氏の総報酬 $1,681,840(約1億8500万円)
・ペイレシオ 58:1
●フェイスブック(Facebook)
・従業員の年間報酬の中央値 $262,633(約2889万円)
・CEOの年間総報酬 $25,288,265(約27億8171万円)
・ペイレシオ 96:1
●アップル(Apple)
・従業員の年間報酬の中央値 $57,783(約636万円)
・CEOの年間総報酬 $14,769,259(約16億2492万円)
・ペイレシオ 256:1
●マイクロソフト(Microsoft)
・従業員の年間報酬の中央値 $172,142(約1894万円)
・CEOの年間総報酬 $44,321,788(約48億7540万円)
・ペイレシオ 257:1
GAFAMのなかで年間報酬の中央値がもっとも高いのはGoogleで約3008万円。日本人の平均給与が436万円(国税庁「民間給与実態統計調査」2019年)ですから、年収は実に約6.9倍です。しかも、これが「中央値」ですから、同社社員の半数は3000万円以上の報酬を受け取っていることがわかります。
ついでFacebookが約2889万円、Microsoftが約1894万円と、年間報酬が1000万円をゆうに超えています。おもしろいのがAppleで、こちらは中央値が約636万円と、最大の(?)ライバルであるMicrosoftのおよそ3分の1となっています。意外と少ないと思われるかもしれませんね。
そして、ひときわ年収が低いのがAmazon。世界中の正社員と臨時社員の年間報酬の中央値は約319万円となっています。Amazonは言わずと知れたネットショップの最大手。多くの商品運送スタッフをパートやアルバイトなどの形で雇っているため、中央値が下がってしまうものと考えられます。米国のフルタイムの従業員の年間報酬の中央値も約417万円ですから、商品運送スタッフが相当多いのではと推測できます。
もっとも、ここに含まれる金額はあくまで給与のみ。会社によっては、ストックオプション(自社株を決まった価格で購入できる権利。株価上昇後に行使すれば利益が大きくなる)が得られるなど、給与以外の報酬が得られることもありますので、あくまで参考程度にとどめておいてください。
なお、各社のCEOの総報酬額・ペイレシオも記載しました。AppleやMicrosoftのペイレシオは250倍以上です。米国ではCEOは「プロの経営者」。業績がすべてで、厳しい環境に立って経営するため、その分高い報酬を受け取るようになっています。
日本のトップ「トヨタ」の平均年収は?
さて、目線を日本に移してみましょう。日本を代表する会社といえば、やはりトヨタ自動車。時価総額約30兆円の規模を誇ります。
トヨタ自動車の有価証券報告書(2021年3月期)によると、社員の平均年間給与は858万3267円となっています。先に紹介した日本人の平均給与よりはずいぶん高めではあります。しかし、単純にGAFAMと比較すると、Google・Facebook・Microsoftよりは少なく、Apple・Amazonよりは多い、といえます。
ただし、GAFAMの金額は「中央値」、トヨタ自動車の金額は「平均」になっている点は注意が必要です。一般的に平均は、一部の数字の大きな人(ここでは、高い報酬をもらっている人)が押し上げてしまうため、中央値よりも高くなる傾向があります。トヨタ自動車の報酬を中央値ベースで比較した場合、おそらくAmazonよりは多いとは思いますが、もしかするとAppleより少ないかもしれません。
まとめ
米国を代表する大企業、GAFAMの従業員の年収と、日本のトップカンパニー、トヨタ自動車の年収を紹介しました。どの会社も、優秀な人材を確保したいはず。そのためのモチベーションとして、報酬額の底上げは必要でしょう。日本の企業も、事業だけでなく報酬も世界基準に変化させる時期にきているのではないでしょうか。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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