21/06/20
65〜69歳と80歳代の平均年金月額は2万円以上違う? 年齢別の平均受取額をチェック
国民年金・厚生年金がどのくらいもらえるかが気になる方は多いでしょう。そこで今回は、厚生労働省のデータから、年齢別の受取額を紹介します。公的年金がもっとも多いのは何歳なのでしょうか。
また、年金額を上乗せできる主な制度についても解説します。
年齢別の厚生年金の受取額を比較!
国が運営する公的年金には、国民年金と厚生年金の2種類があります。どちらも、条件を満たせば原則として65歳から生涯にわたって受け取ることができます。この年金の受給額は、年齢ごとに異なります。
●年齢別の老齢年金の受給者数と平均年金月額
厚生労働省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
国民年金の平均年金月額を見ると、年齢はあまり関係がなさそうです。データ上、国民年金がもっとも多いのは65歳で5万7440円ですが、65歳〜84歳の年齢帯は、5万6000円〜5万7000円前後と大差がありません。国民年金は、40年加入していれば満額受け取ることができます。また、満額はみな同じですので、それほど差がつかないというわけです。
それに対して厚生年金は、総じて年齢が上がるほどに受け取れる金額が増えています。65歳〜69歳の平均年金月額の小計は14万2972円なのに対して、85歳〜89歳までの平均年金月額の小計は16万3489円と、2万円以上の違いがあるのです。もっとも平均年金額が多いのは89歳の16万6406円となっています。このように差がつくのは、年金制度の改正で支給額が引き下げられているからです。
また、年金の支給開始年齢も、60歳から65歳へと段階的に引き上げられています。1961年4月2日以降生まれの男性と1966年4月2日以降生まれの女性については、どちらも原則として65歳から年金の支給が開始されます。今後も引き上げが続く可能性は十分にあるでしょう。
日本は将来的に高齢者の割合が増え、若年層の割合が減るといわれています。そのため、将来も年金の支給開始年齢が引き上げられれば、受取額が減るかもしれません。
年金の繰上げ受給をすると受取額がさらに減る
なお、年金は60歳〜64歳の間に受け取ることもできます。これを繰上げ受給といいます。繰上げ受給では、1か月繰り上げるごとに0.5%(2022年4月以降は0.4%)受取額が減るので注意してください。仮に、60歳になった時点から受け取った場合、30%(2022年4月以降は24%)も受取額が減ります。
実際、上の表で見ても、60歳から64歳までの平均年金月額は厚生年金で7万6681円、国民年金で4万2023円と、65歳以降よりずっと少なくなっています。
年金の上乗せをして将来に備える
将来的に年金の受取額が減ることを考えた場合、定年を迎えるまでにもらえる年金額を増やすための対策をしなければなりません。将来の受取額を増やすためには、次のような方法があります。
●iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
iDeCoは自分で出したお金を自分で運用し、60歳以降に受け取る制度です。iDeCoを利用すれば、毎月積み立てたお金が全額所得控除の対象になるため、所得税と住民税の節税が可能になります。さらに、運用益が非課税になるうえ、受け取るときにも税金の優遇が受けられます。税金を安くしながらお金を貯められるので、年齢が若いうちからはじめるのがおすすめです。
●国民年金基金
フリーランスや個人事業主といった国民年金第1号被保険者の方がお金を出して、国民年金の上乗せ部分にあたる年金を用意する制度です。フリーランスや個人事業主には厚生年金がないので、手厚い保障が用意できると心強いですね。iDeCo同様、毎月積み立てたお金が全額所得控除できます。
●付加年金
国民年金基金と同様、国民年金第1号被保険者の方が、国民年金保険料に毎月400円を上乗せすることで、受け取れる年金額が「付加保険料の納付月数分×200円分」上乗せされる制度です。たとえば、付加年金に20年間加入した場合の総支払額は400円×20年で9万6000円です。そして、毎年上乗せされる受給額は200円×20年で4万8000円。つまり、付加年金を支払えば、2年で元が取れる計算です。なお、国民年金基金と付加年金は併用できないので、どちらかを選ぶ必要があります。
●年金の繰下げ受給
上で紹介した繰上げ受給とは逆に、年金の受給開始を66歳以降にすることを繰下げ受給といいます。繰下げ受給では、1か月繰り下げるごとに0.7%受取額が増えます。70歳まで繰り下げると42%、2022年4月以降は75歳まで繰り下げると84%増額できます。
まとめ
公的年金の受取額が最も多いのは89歳です。特に、厚生年金は年齢が上がるほど、受取額が増える傾向にあります。しかし、年金の支給開始年齢はたびたび引き上げられており、将来的に受け取れる年金が減る可能性もあるでしょう。なるべく、早い時期に付加年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)で年金対策をすべきかもしれません。
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小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター
地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。
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