25/11/14
5年前からビットコインに月1万円投資していたら今いくら?

暗号資産の代表、ビットコインが近年大きく値上がりしています。本稿執筆時点(2025年11月5日)で約1570万円ですから、「もっと安いときに買っておけばよかった」と思われる方もいるかもしれません。
もし5年前からビットコインに月1万円投資していたら、今いくらになっているのでしょうか。
値動きの激しいビットコイン
ビットコインは2008年に世界で最初に誕生した暗号資産です。当初は「仮想通貨」と呼ばれていました。日本では、個人投資家による取引が活発になった2017年が「仮想通貨元年」です。ビットコインで1億円以上稼いだ「億り人」(おくりびと)が誕生したことも話題になりました。
今や暗号資産の数は数千種類とも数万種類ともいわれていますが、ビットコインは今でも暗号資産の代表。暗号資産はビットコインとそれ以外(アルトコイン)の2つに分けて語られるほどですから、暗号資産にとっていかにビットコインが特別かわかります。
ビットコインは銀行を介さずにやりとりができるため、送金にかかるコストや時間を大幅に削減できるメリットがあります。しかし、ビットコインの値動きは激しく、実用性には乏しいのが現状です。
<ビットコインの値動き(2014年〜2025年11月5日)>

coinmarketcapのデータより(株)Money&You作成
ビットコインは、誕生時にはほとんど無価値だったのですが、激しく値動きしながら右肩上がりで上昇してきました。
暗号資産は各国の中央政府が発行する「法定通貨」ではないこと(政府が介入しない通貨であること)で注目されましたが、近年はその値上がりを背景に、個人投資家だけでなく国や企業もビットコインの保有に乗り出しています。
日本は現状ビットコインを保有していませんが、米国をはじめ、中国、英国、ウクライナ、ブータン、エルサルバドルなどがビットコインを保有しています。また、日本の企業ではメタプラネット(3350)、コンヴァノ(6574)、リミックスポイント(3825)などがビットコインを保有。株や債券などといった伝統的な資産に代わる資産(オルタナティブ資産)として投資されています。
5年前からビットコインに月1万円投資していたら、今いくら?
本稿執筆の5年前、2020年11月30日のビットコインの価格は1BTC(ビットコイン)=204万5665円でした。2020年11月末から2025年10月末まで、5年間にわたってビットコインに月1万円積立投資していたら、今いくらになっているのかを試算しました。ビットコインは毎月末の終値で1万円分購入することとし、手数料(スプレッド)は考慮しておりません。
<ビットコインの値動きと購入数量(2020年11月末〜2025年10月末)>

(株)Money&You作成
青の折れ線グラフは2020年11月末〜2025年10月末までの5年間の毎月末のビットコインの価格(終値)だけを結んで作成したものです。オレンジの棒グラフは、毎月購入できたビットコインの数量を表しています。購入額は常に1万円ですので、終値が安いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わなくなります。
ビットコインは1BTCで数百万円、千万円以上しますので、1万円で購入できるビットコインの量は多いときでも約0.0049BTCです。さらに直近になると、0.001BTCも購入できていません。現状、ビットコインは1万円では本当に少ししか購入できなくなっています。ビットコインの取引所によっても取り扱いが多少異なりますが、ビットコインの最低取引単位は小数点第8位としていることが多いようです。
2020年11月末から2025年10月末までビットコインに月1万円投資した結果は、次のとおりです。
・ビットコインへの投資額合計…60万円
・購入できたビットコインの合計…0.11735948BTC
・ビットコイン円換算額(1BTC=1570万円として計算)…1570万円×0.11735948BTC=184万2544円
今回の試算では、5年間・60万円の投資を行った結果、184万2544円になったことがわかりました。資産額は約3.07倍に増えています。積立投資によって特に2020年末や2022年ごろに比較的多く購入できたことが、値上がりによる資産増に大きく貢献しています。
近年、値上がりが著しい資産に金(Gold)がありますが、ビットコインの価格の値上がりは金の価格の値上がりを凌駕しています。
<ビットコインと金価格の月次推移(2020年11月末〜2025年10月末)>
※2020年10月末時点を100として指数化

(株)Money&You作成
グラフはビットコインの値動きと、金価格に連動する金ETF(上場投資信託)である「SPDRゴールド・シェア(GLD)」の値動きです。それぞれ2020年10月末時点を「100」として指数化しています。
金価格は最近値上がりしたことを受け、指数も100から、2025年10月末時点で220.9まで上昇しています。しかし、ビットコインはそれよりもはるかに上昇し825.9となっています。
ビットコインに限らず、値動きのある商品を購入するときには、積立投資が威力を発揮します。積立投資では、定期的に一定額ずつ投資を行います。一定額の積立投資を続けると、商品の価格が安いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わなくなるため、平均購入単価を下げることができます。これをドルコスト平均法といいます。
ドルコスト平均法では、平均購入単価が下がるほど、値上がりしたときに利益を出しやすくなります。
暗号資産の取引所のなかには、暗号資産の積立投資サービスを用意しているところがあります。たとえばbitFlyerの「かんたん積立」では、毎日1回・毎週1回・毎月2回(1日と15日)、毎月1回(1日から28日のなかから選択)のタイミングでビットコインの積立投資をすることができます。
ビットコインに関する税制が変わる?
現状、暗号資産の取引で得た利益は、「雑所得」という所得になり、「総合課税」の対象です。総合課税では、給与など他の所得を合算し、そこに最大45%の税率をかけた金額が所得税額になります。加えて、住民税(一律10%)もかかります。
株・投資信託・FXなどの取引で得た利益は「申告分離課税」です。申告分離課税の税率は所得税・住民税・復興特別所得税(2037年末まで)合わせて一律20.315%です。
現状は、株・投資信託・FXよりも、暗号資産のほうが高額の税金がかかってしまう可能性があるのです。
しかし、これが今後見直されるかもしれません。
2024年末に出された政府の税制改正大綱には、暗号資産への課税は法律や報告義務などの整備をすることで見直しを検討する旨が記載されています。金融庁の「令和8(2026)年度税制改正要望について」でも、暗号資産取引の課税の見直しについて触れられています。暗号資産の利益も申告分離課税となれば、すでに多数保有している人も売却しやすくなりますし、これから暗号資産に投資する人も投資に取り組みやすくなるでしょう。
また、米国ではビットコインやイーサリアムなどの暗号資産に連動するETF(上場投資信託)が株式市場に上場しています。しかし日本では現状、暗号資産に連動するETFに投資することができません。今後、税制改正とともに、暗号資産ETFの販売が日本でも認められれば、価格上昇の要因になりえるでしょう。
ただし、ビットコインの価格は値動きが激しいことに留意が必要です。実際、本稿執筆の前日(2025年11月4日)からビットコインは急落。1650万円程度だったビットコイン価格は一時安値1510万円まで下がっています。
リスクを踏まえたうえで、投資するかを検討しましょう。
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頼藤 太希 経済評論家・マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャルプランナー(AFP)。住宅ローンアドバイザー。教員免許も保有。趣味はランニング。
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