25/09/08
2024年の暴落で株を売ってしまった人は想定以上に多い

株式投資をしていると、市場の暴落を経験することがあります。株価が暴落すると、これ以上資産が減ってしまうのを恐れてすべて売却し、株式投資を辞めてしまう人もいるでしょう。しかし、暴落時に投資を辞めてしまうのは、実はもったいないことかもしれません。
今回は、2024年8月に起こった市場の暴落を例に、暴落がきっかけで資産を売却してしまった人はどのくらいいるのか、また暴落時にどんな行動を取ればいいのか紹介します。
2024年8月の暴落とは?
2024年8月に株式市場の暴落が起こりました。7月15日に5669ポイントだった米国の株価指数「S&P500」は、半月後の8月5日に5119ポイントまで下落しました。暴落の理由はさまざまですが、7月末に日銀が追加利上げを発表したこと、8月初めに発表されたアメリカの景気指数が予想より悪かったことがおもな原因と考えられています。
<S&P500の推移(2024年1月〜2025年8月28日)>

筆者作成
株価の暴落は今回が初めてではありません。ブラックマンデーやリーマン・ショックなど、これまでの歴史で何度も株価の大暴落がありました。しかし、株価はそのたびに回復し、長い目で見ると上昇し続けています。今後も世界経済が成長し続ける限り、株価は上がっていくことでしょう。
市場が暴落している時に慌てて売却してしまうのは非常にもったいないことといえます。とくに、投資の王道とされる「長期・積立・分散」投資をしているのであれば、そのまま投資を続け、長い目で見て回復を待ったほうがよいでしょう。
2024年8月の暴落で株式を売却した人はどのくらいいるのか
市場が暴落している局面で慌てて売却せず、回復を待ったほうがよいと解説しました。しかし、そうはいっても、急な暴落で自分の資産が大きく減ってしまったことにショックを受け、「やっぱり投資は怖いからやめよう」とすべて売却してしまった人もいるかもしれません。
2024年8月の暴落で株式を売ってしまった人はどのくらいいるのでしょうか。
実は、暴落で株式を売ってしまった人はそれほど多くないと考えられます。
金融庁が発表したレポート「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について(2024事務年度)」によると、2024年1月〜9月における新NISA成長投資枠の解約率は、ほとんどの金融機関で10%以下でした。つまり、2024年8月の株式暴落時にも、多くの人が解約せずに投資を続けていたことがわかります。
「長期・積立・分散」という資産運用の考え方が、多くの投資家に広まってきていると考えられるでしょう。
2025年のトランプショックで売買をやめた人も
2025年4月にトランプ大統領が新しい関税政策を発表したことにより株価が急落した「トランプショック」は記憶に新しい方も多いと思います。上のS&P500の推移にも示していますが、2024年8月の下落よりも一時的に大きく値下がりしています。
トランプショックで株式を売却した人の割合は調べた限りではわからなかったのですが、興味深いアンケート結果がありました。
オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」が個人投資家を対象に行ったアンケート調査「個人投資家800人の意識調査」によると、トランプショックにより株取引に影響があったと答えた人が56.5%(452人)いました。また、具体的にどのような影響があったか(複数回答)については、次のようになっています。
<トランプ関税ショックによる株取引への影響>

株の学校ドットコム「個人投資家800人の意識調査」より
もっとも多かったのが「売買に慎重になった」で166人(36.7%)。次いで「今は売買をやめている」で145人(32.1%)となっていました。調査対象や質問が大きく違うので一概に比較はできませんが、2024年8月の暴落よりも影響を受けた投資家が多そうです。
ただし、アンケート結果を20代に限定すると、売買に慎重になった人が26%なのに対し、売買に積極的になった人が35%と、むしろ多くなっていました。トランプショックのタイミングで積立金額を増やした人も、他の世代と比べてかなり多い結果となりました。
20代は老後までの期間が長く、今後も長い時間かけてお金を増やしていけるため、暴落をチャンスととらえて積極的に投資する人が多いようです。
市場暴落局面で投資を辞めてしまうのはもったいない
暴落時に株を売ってしまった人がどのくらいいるのか、具体例として2024年8月の暴落を挙げつつ解説してきました。
株式市場が暴落すると、資産が減ってしまったことを不安に感じ、すべて売却して投資を辞めてしまう人もいます。しかし、暴落のタイミングで売却してしまうと、その資産は減ったままで、今後回復することはありません。
長期投資であれば、慌てて売却せずに回復を待つことで、自分の資産が戻ってくる可能性があるでしょう。市場が暴落することはこれまでにもありましたが、下落し続けることはなく、時間はかかっても必ず回復しているためです。
本記事を参考に、市場の暴落時にはどんな行動を取るべきか考えてみてください。
【関連記事もチェック】
・50代から考える「幸福の最大化を目指すお金の減らし方」【Money&YouTV】
・【激ヤバ】129万人が企業型DCで大損!手数料だけ取られ続け、資産が減り続ける地獄
・【新NISA】1株だけで株主優待がもらえる20銘柄
・新NISAの積立日は何日がベスト?損する日はいつ?過去データで徹底検証してみた【Money&YouTV】
・【申請しないと大損】60歳以降の手取りを最大化する定年前後の「手当&給付金」9つの手続き【Money&YouTV】

木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう