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24/04/11

相続・税金・年金

障害年金は「がん」になったらもらえるのは本当か

障害年金は「がん」になったらもらえるのは本当か

公的年金は老後にもらうものと思っている方が多いと思いますが、公的年金は人生の万が一に備える総合保険でもあります。不慮のけがや病気で障害を負ってしまったときには、障害年金をもらうことができます。障害年金の受給者数は、2022年度末時点で約269万人います。
では、日本人のおよそ2人に1人がかかるといわれる「がん」になったら、障害年金をもらうことができるのでしょうか。今回は、障害年金のしくみを解説した上で、がんで障害年金をもらう条件、障害年金をもらううえで注意すべき3つのポイントを紹介します。

障害年金は「初診日に厚生年金保険に加入している」と受給のハードルが下がる

障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日のことを「初診日」と言います。障害年金の場合、初診日において国民年金に加入している人は「障害基礎年金」、厚生年金保険に加入している人は「障害厚生年金」の請求がそれぞれ可能です。

●障害厚生年金は障害等級3級までをカバー

障害年金は、初診日から1年6ヶ月を過ぎた日あるいは1年6ヶ月以内にその病気やけがの症状が固定した日(障害認定日)において、法律が定める「障害の状態」であれば、障害認定日から受給権が発生します。

障害年金の対象となる障害の程度を定めたものが、「障害等級表」です。最も程度が重い1級から3級まで、各等級の基本的な考え方は次のとおりです。

<障害年金の障害等級の考え方>

厚生労働省「第5回社会保障審議会年金部会資料(2023年6月26日)」より筆者作成

障害基礎年金は、「日常生活能力」における制限に着目して、1級もしくは2級の障害の程度でなければ受給できません。一方で、障害厚生年金は、「労働能力」の喪失にも着目した3級でも認定を受けられるため、障害年金を受給できる可能性が広がります。
なお、障害年金の障害の程度は、身体障害者手帳の等級とは異なります。

●障害等級3級より軽い障害が残っても一時金が出る?

初診日において厚生年金保険に加入していた人は、障害等級3級に満たない場合でも、初診日から「5年以内」にその病気やけがの症状が治っていれば(固定されていれば)、一時金をもらうことができます。これが「障害手当金」です。

障害手当金をもらうためには、労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度の障害が要件とされています。労働に「著しい制限」を加える程度の障害が要件とされていた障害等級3級と比べて、障害手当金では単なる「制限」にとどまっている点がポイントです。

●障害等級1・2級なら障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受給できる

障害等級が1級もしくは2級で、障害厚生年金の受給資格を満たしている場合は、次のとおり障害基礎年金と障害厚生年金の両方が支給されます。

<障害年金の支給額(2024年度)>

政府広報オンライン「障害年金の制度をご存じですか?」より筆者作成

もし厚生年金保険に加入していた期間が300月(25年)に満たない場合でも、300月とみなして報酬部分が計算される点は、障害厚生年金の大きな特徴の一つです。

初診日において厚生年金保険の被保険者だったかどうかが、障害年金における分かれ道であることに、みなさんもうお気づきでしょう。例えば、退職等で厚生年金保険の加入者でなくなる人は、加入している間に健康診断や医師等による診察を受けておくことが、思わぬ備えになるかもしれません。

がんによる障害も障害年金の対象になる

障害年金の対象は眼や聴覚、手足といった外形的な障害だけでなく、精神・知的障害、呼吸器や循環器といった身体内部の障害も対象です。障害年金の対象となる具体的な基準は「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」で定められています。がん(悪性新生物)による障害もこの基準の項目に含まれています。したがって、がんも障害年金の対象です。

2022年度の障害年金の新規受給者のうち、内部障害で障害年金をもらい始めた人は全体の12.4%。がんによる障害で障害年金をもらい始めた人は、内部障害のなかに含まれます。

<新規受給者の診断書種類別件数(2022年度)>

日本年金機構「障害年金業務統計(2022年度決定分)」より筆者作成

●がんで障害年金がもらえるかは「一般状態区分表」で決まる

がんによる障害の程度は、「組織所見とその悪性度、検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定する」とされています。これだけではまだ、がんで障害年金がもらえるのか、よく分かりませんね。

そこで次の「一般状態区分表」に基づいて、がん障害の程度がより明確化されています。一般状態区分表は、内部障害(一部)における共通の認定基準を表したもの。がんによる障害の程度を示す診断書(血液・造血器・その他の障害用)では、このなかから該当するものが1つ選ばれます。

<がんによる障害の程度を示す一般状態区分表>

日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」より筆者作成

がんで障害年金が受け取れるかどうかは、診断書で上のア~オのどれに該当しているか(〇がされているか)が非常に重要です。具体的には、
・障害の程度1級(障害年金1級):オに該当する場合
・障害の程度2級(障害年金2級):エまたはウに該当する場合
・障害の程度3級(障害年金3級※):ウまたはイに該当する場合
※障害年金3級は障害厚生年金のみ
に相当することが示されています。

「障害年金受給者実態調査(2019年)」によると、がん(新生物)で障害年金を受給している人の割合は、障害基礎年金と障害厚生年金を合わせた全体のわずか1%にすぎません。一方で、障害等級3級で、障害厚生年金のみを受給している人に占める割合は5.9%であることからも分かるように、初診日に厚生年金保険に加入していた人はがんで障害年金を受給できる可能性が一気に高まります。

●がんの場合は障害年金が専門の社会保険労務士に相談しよう

がんで障害認定を受けられ、障害年金を受け取れるかどうかは、実際に申請をしてみないと分かりません。最後は「総合的な判断」です。逆に言えば、がんによる障害は、認定基準があいまいです。したがって、がんで障害年金をもらうなら、障害の状態が具体的に分かる書類を用意することが、何より重要となります。

がんによる障害年金の申請は、年金事務所で相談をしながら、みずから行うことも可能ですが、受給をより確実なものにしたい人は特に、障害年金を専門に取り扱っている社会保険労務士に一度相談してみるとよいでしょう。

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「障害年金がもらえない!」3つの落とし穴

がんでも障害年金をもらえる可能性が分かったところで、確実に障害年金を受給するために注意すべき3つのポイントを紹介します。

●障害年金の落とし穴①:保険料を払っていない

障害年金を受け取るためには、初診日の前日において、次の2ついずれかの保険料の納付要件を満たしておかなければなりません。

(1)国民年金保険料の納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること
(2)初診日において65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(保険料納付要件の特例)

つまり、国民年金保険料の未納期間を作らないことが大切です。経済的事情などで国民年金保険料を納めることができない人も、免除もしくは納付猶予(学生納付特例を含む)の手続きをしておくことで、いざというときに障害年金を受け取ることができます。

<受給資格期間および老齢基礎年金額への反映(納付状況別)>

日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」より筆者作成

●障害年金の落とし穴②:初診日が65歳に到達した後になってしまった

障害年金は原則として、老齢年金の受給権が発生する65歳に到達するまで(具体的には65歳の誕生日の2日前まで)に請求を行わなければなりません。

しかし、初診日が65歳に到達するより前で、65歳を過ぎてから障害認定日が到来、その認定日において障害等級に該当する場合には請求(認定日請求)ができます。さらに、前からの傷病と後発の傷病によって、65歳到達前に初めて2級に該当する人は、65歳を超えていても請求が可能です。

障害年金は、通常は加齢に伴って起こる「稼ぐ力を失うこと」が早期に到来するリスクに対応しています。65歳以降も国民年金に特例任意加入をしている人や厚生年金保険に加入している人は、初診日が65歳以降でも障害年金請求はできますが、「65歳に到達するより前に初診日があるか」は障害年金で後悔しないための重要なポイントと言えるでしょう。

なお、65歳以降に老齢年金と障害年金を受給できる場合、次の3つのパターンから選択することになります。

<老齢年金と障害年金の組み合わせ(65歳以降)>

①老齢基礎年金+老齢厚生年金
②障害基礎年金+老齢厚生年金
③障害基礎年金+障害厚生年金

障害年金には所得税や住民税はかかりません。一方で、障害年金は有期認定がほとんどで、定期的に診断書の提出が必要です。そのようなメリットやデメリットを踏まえて、みずからに合った形で選択しましょう。この選択は、「年金受給選択申出書」の提出を通じて、将来に向かっていつでも変更できます。

●障害年金の落とし穴③:老齢年金を繰り上げ受給している

障害認定日には障害等級に該当しなくても、その後障害等級に該当する状態まで症状が重くなることは、よくあるケースです。そこで障害年金では、65歳に到達する日の前日(65歳の誕生日の2日前)までに請求が行われた場合には、その請求日をもって受給権が発生する「事後重症による請求」というルールがあります。

<事後重症による請求のイメージ>

厚生労働省「第5回社会保障審議会年金部会資料(2023年6月26日)」より

しかしながら、老齢年金の受給開始を、60~64歳の間に繰り上げた場合、繰り上げ請求をした時点で65歳になったとみなされ、その時点から「事後重症による請求」ができません。繰り上げ請求は、一度手続きを行うと取り消しができないため、このようなデメリットも踏まえた慎重な判断が求められます。

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がんでも障害年金がもらえる可能性がある

今回は、「がんで障害年金をもらえるのか」をテーマに、障害年金の仕組みについて解説をしました。がんでも障害年金がもらえる可能性はあります。それだけでなく、障害年金が不慮のけがや病気を幅広くカバーしている点は、みなさんにとって意外な真実だったかもしれません。めったに起きないけれども、いつ起こるか分からず、起きた場合に補てんする金額が大きくなるリスクに対応することが保険の役割です。私たちは年金保険料の「負担」ばかりに注目しがちですが、現役世代の万が一にも応えている公的年金の価値に今一度向き合ってみませんか。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®︎)、1級DCプランナー

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの決算や内部統制、DX等の業務に従事。2022年10月に兵庫県で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。NISAやiDeCoを活用した資産形成など、金融系に関する記事をオンラインメディアでも多数執筆。特に、現役世代が今日からできる老後資金対策に力を入れており、「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘中。
Twitter→https://twitter.com/lifehawker

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