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23/12/07

資産運用・経済

保有中の株や投資信託は売って新NISAで買い直すべきなのか

保有中の株や投資信託は売って新NISAで買い直すべきなのか

2024年1月から新NISA制度が始まります。旧NISAより年間投資枠および非課税保有限度額が増え、非課税保有期間も無期限になったことで、さらに効率よく資産形成できるチャンスが広がりました。そのような新NISAが始まるにあたって、現在持っている株や投信を新NISAの口座で買い直すべきか迷っている方もいるでしょう。

今回は現在保有している株や投信を新NISA開始にあたってどう扱うべきか、いくつかのパターンに分けて解説します。運用状況や保有目的などのパターンに応じて好ましいアクションが違ってくるので、ご自身の状況にあてはまるパターンの解説を参考にしてみてくださいね。

課税口座で株や投信を保有している場合

まずは課税口座(特定口座や一般口座)で株や投信を保有している場合にどう扱うべきか、3つのパターンでそれぞれ解説します。

●パターン1:利益が出ている、または損失が少額である

課税口座で保有している株や投信に利益が出ている場合、または損失が出ていても少額である場合は現在保有している銘柄を売って、新NISA口座で買い直すとよいでしょう。新NISAで買い直すことで、これまでは利益に対してかかっていた税金が期限の定めなく非課税で運用できるようになるためです。

課税口座の資産を新NISAに移管できる仕組みはないため、新NISA口座で新たに買い直す場合は、いったん現在課税口座で持っている銘柄を売却する必要があります。ただし新NISA口座で買い直す場合は、今後の業績予想や値上がりの見込みをリサーチしたうえで行いましょう。

●パターン2:ある程度の損失が出ている

ある程度大きな損失が出ている場合、今後価格が回復しそうであれば、それを待って売却するとよいでしょう。値下がりが一時的なものなのか、今後も低迷しそうなのか、業績や市場の状況から判断することが大切です。

逆に今後も回復が見込めないようなら、思い切って損切りするのが得策です。売却する機会を逃して損失を抱えたまま持ち続けるより、早めに他の有望な銘柄に投資したほうが将来的に利益を得られる可能性は高くなるでしょう。

●パターン3:株主優待目的で株を保有している

課税口座で保有している株が株主優待を目的としている場合、もし長期保有で優遇される銘柄であれば、先に新NISA口座で買って、その後現在保有している課税口座で売るとよいでしょう。先に現在保有している株を売ってしまうと株主番号が変更になり、保有期間がリセットされる可能性があるためです。

ただし株主優待目的で保有している株であっても、業績の動向をチェックしておくことは大切です。業績悪化により株主優待が廃止されたり内容が改悪されたりするケースもありますし、株主優待の廃止が原因で値下がりするリスクも考えられます。そのため新NISA口座で買い直す場合は、株主優待の内容だけでなく今後の業績もふまえて判断することをおすすめします。

旧NISAで株や投信を保有している場合

旧NISAの口座で株や投信を保有しており、今後も値上がりが期待できる場合や、株主優待目的で保有し続けたいなら、旧NISAの非課税期間内にいったん売却して新NISAで買い直すとよいでしょう。

課税口座と同様、旧NISAも新NISAへ資産を移管できる仕組みはありません。そのため同じ銘柄を新NISAでも保有したい場合は、旧NISAで保有している銘柄をいったん売却する必要があります。もし旧NISAの非課税期間終了時に新NISAの非課税保有限度額が残っていなければ、課税口座で引き続き運用することを検討しましょう。

旧NISAの制度自体は2023年で終了しますが、一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間非課税で引き続き保有できます。長期的に保有することで値動きのリスクが抑えられ、複利の効果(投資で得た利益を再び投資にまわすことで利益が膨らんでいく効果)も得やすくなるため、特別な理由がない限り旧NISAでじっくり運用を続けるのが得策です。

また新NISAの非課税保有限度額は旧NISAとは別枠となるため、旧NISA口座で持っておいたほうが非課税で運用できる枠を増やすことができます。

もちろん旧NISAで売却するタイミングを自分なりに決めておくことも大切です。「目標金額まで貯まったら」「資産が2倍になったら」というように、自分の決めたルールに沿って一時的な値動きに惑わされずに投資を続けるよう心がけましょう。

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保有中の銘柄を新NISAで買い直す際の注意点

保有中の銘柄を新NISAで買い直す場合は以下の点に注意しましょう。

●旧NISAの一部の銘柄は新NISAでは対象外となる

現行の「つみたてNISA」の対象となっている銘柄は新NISAの「つみたて投資枠」でも引き続き対象となります。ただし現行の「一般NISA」の対象となっている以下の銘柄は新NISAの「成長投資枠」では対象外となるため注意が必要です。

【新NISAで対象外となる銘柄】
・整理銘柄または監理銘柄に指定された上場株式
・信託期間20年未満または毎月分配型の株式投資信託
・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等

もし現行の一般NISAで上記に該当する銘柄を保有している場合は、引き続き現在保有している口座で運用することを検討しましょう。

●NISA口座の開設には時間がかかる

これから新たにNISA口座を開設する場合、手続きに2~3週間がかかる場合があります。そのため現在保有している銘柄を新NISAですぐに買い直したい場合は注意が必要です。数週間で大きく値動きする可能性もあるので、口座開設している間に利益を狙えるチャンスを逃してしまうことも。早めに口座開設をおこなったうえで、買い直すタイミングを見極めましょう。

なお旧NISAの口座を開設している場合、その金融機関で自動的に新NISAの口座が開設されるため特に手続きは必要ありません。しかし、なかには「旧NISAの口座を開設したか忘れてしまった…」という方もいるでしょう。そのような方は最寄りの税務署かe-Taxのマイページで旧NISA口座を開設済みかどうか調べられます。NISA口座の開設手続きをする前にチェックしておくことをおすすめします。

新NISAを最大限活用できるよう準備しよう

すでに保有している株や投資信託を新NISAで買い直すべきかどうかは、運用状況や保有目的、保有している口座によって異なります。今回紹介したパターンのうち、ご自身に当てはまる方法で今後の扱いを検討しましょう。新NISA制度では非課税で運用できる金額も期間も拡充されるので、最大限有効活用できるよう今のうちから準備しておくことをおすすめします。

鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com

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