23/11/29
新NISAでお金を減らす4つの間違った考え方
2024年からはじまる新NISA。旧NISAと比べて投資可能な限度額が増えたり、非課税期間が無期限になったりと、より使いやすくなりました。
しかし、制度をよく理解しないで間違った投資をしていると、お金を増やすどころか減らすことに繋がってしまいかねません。今回は、新NISAでお金を減らしてしまいかねない4つの間違った考え方を紹介します。
新NISAの間違いその1:つみたて投資枠で選べる商品はすべて安全・安心
新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があります。そのうち、つみたて投資枠で投資できる商品は、旧NISAのつみたてNISAで投資できる商品と同じです。2種類の枠があることから「つみたて投資枠はリスクが低い安全な投資枠で、選べる商品もすべてリスクが低くて安心」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
たしかに、つみたて投資枠で投資できる商品は、金融庁が定めた要件を満たした長期・積立・分散投資に向いているものに限られています。しかし、だからといってすべて安全・安心というわけではありません。一般に、投資のリスクは「国内<先進国<新興国」「債券<不動産<株式」の順に高くなるといわれています。そして、つみたて投資枠の対象商品のなかには、新興国株式に投資している投資信託もあるのです。リスクが高いと、大きい利益が期待できる一方で、大きく値下がりする可能性もあります。
「つみたて投資枠の商品はリスクが低いから何を選んでもいい」と思うのではなく、ご自分の投資スタイルやリスク許容度に合った商品を選びましょう。
新NISAの間違いその2:成長投資枠では上場株式やアクティブファンドを選ばなければならない
その1とは逆に「成長投資枠はつみたて投資枠と異なり、上場株式やアクティブファンドを選ばなければならない」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、上場株式やアクティブファンドを選んでもいいのですが、つみたて投資枠と同じ商品を選ぶことも可能です。
つまり、つみたて投資枠120万円に成長投資枠240万円を加えて、年間360万円まで同じ商品に投資する、という方法を取ることもできるのです。
また、成長投資枠は必ず使わなければならないものでもありません。つみたて投資枠だけでコツコツと積立投資をして、1800万円の生涯投資枠を使い切ることもできます。つみたて投資枠では、月10万円まで投資ができますので、投資額が少額ならばまずはつみたて投資枠だけで十分でしょう。
新NISAの間違いその3:非課税枠は使い切った方がいい
旧NISAに比べて非課税限度額が増えた新NISA。「せっかく非課税枠があるのだから、毎年すべて使いきらなきゃ」と考えている方も多いのではないでしょうか。もちろん、投資に回せる余裕資金がたくさんあれば問題ありません。しかし、非課税枠を使い切ることを目的に、無理に投資額を増やすのは本末転倒です。
新NISAで投資を行う目的は何でしょうか。将来の資産形成のためであれば、数年以内に使う予定のないお金だけを投資に回すべきでしょう。教育資金や車の購入資金など、数年以内に使う予定のあるお金は、投資せず別で持っておくことをおすすめします。
新NISAの間違いその4:旧NISAで持っていた商品は売却しなければならない
新NISAを始めるにあたって「旧NISAで持っていた商品は先に売っておかないと非課税枠が減ってしまう」と思っている方もいるようですが、そんなことはありません。旧NISAと新NISAは別枠ですから、別々に運用できます。
例えば、2023年に一般NISAの口座で投資した商品は、5年後の2027年まで非課税で運用できます。また、2023年につみたてNISAの口座で投資した商品は、20年後の2042年まで非課税で運用できます。
これとは別に、2024年からは新NISA口座で毎年最大360万円、生涯投資枠1800万円の非課税投資が可能となります。
旧NISAで投資した商品を早く売ってしまうと、残りの非課税期間が使えなくなってしまいます。特に売却する理由がないのであれば、少なくとも非課税期間が終わるまでは保有しつづけたほうがよいでしょう。
自分の投資目的を整理し、自分に合った投資方法で新NISAを活用しよう
新NISAでお金を減らしかねない投資方法や考え方について解説してきました。最も重要なのは、自分に合った投資方法は何か考えることです。
「つみたて投資枠の商品だから低リスク」「非課税枠はすべて使いきったほうがいい」と決めつけてしまうのではなく、自分の投資目的や投資スタイルを整理し、それをかなえるために新NISAを活用することを考えましょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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