21/03/08
給料が振り込まれる時間はいつ?給料日に給料が振り込まれていないときの対処法
給料日は誰もが待ち遠しいものです。しかし、ATMで口座をチェックしたら「あれっ、残高増えてない!どうして?」という経験をされた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
会社で働く大きな目的に、給料を得て安定した生活を送ることが挙げられます。そのため、給料日に給料が振り込まれていなければ困ってしまうのは当然のことです。そこで、今回は給料の振込時間についての説明をしながら、もし給料が支払われていなかったときの対応方法などを詳しく解説します。
給与日に給料が振り込まれる時間はいつ?
給料は決まった日に振り込む必要があるため、会社は、給料日に従業員が確実に給料を受け取れるよう、振込予約をします。給与口座のある金融機関には、給料日の2~5日前にはお金を振込み支払いの準備をします。というのも、給料は、会社で働く人々が安定した生活を送るための基盤になるものであり、企業は従業員の生活を守る義務があるからです。
大企業またはある程度の規模の中小企業であれば、給料日の給料は銀行の営業開始と同時に振り込まれるため、午前9時に引き出すことができます。
また、24時間いつでもお金の引き出しができる大手都市銀行やネット銀行を利用していれば、日付が変わったと同時に給与が振り込まれ、深夜0時に給料を引き出せます。
一方で、中小企業などでは、大企業などのように資金的な余裕がないことや、振込予約を導入していないため、事前に給料を振込む準備が整っていない場合があります。そうなると、給料日当日に銀行へ給料手続きをするので、場合によっては社員の口座に給料が入金されるのが遅れてしまうことがあります。
というのも、銀行の窓口が混んでいたり、電子決済エラーなどが起こったりなどがあれば、実際の振込みは午後になることも考えられるからです。該当企業に勤めている方は、給料日には、まずは9時に給料が振り込まれているのか確認してみましょう。そして、まだであればお昼休みにも確認し、自分の口座にいつ給料が振り込まれるのか押さえておくようにしましょう。
なお、給料日が土曜日・日曜日・祝日や年末年始などの連休と重なった場合、ほとんどの会社では休日の前営業日に給料を支払います。しかし、そうならず週明けまたは、祝日や連休明けに振込を行う企業もあります。給与がいつ支払われるのかについては、入社時、契約更新時などに、雇用契約書や就業規則のなかの給与規定などで確認しておくと安心です。
●賃金支払いの5原則
給料の支払いについての法律を確認しておきましょう。
労働基準法第24条の「賃金支払いの5原則」では、賃金は、
(1)通貨で、
(2)直接労働者に、
(3)全額を、
(4)毎月1回以上、
(5)一定の期日を定めて、
支払わなければならないと明確に定められています。しかし、何時まで支払わなければならないという具体的な時間についての記載はありません。
給料が振り込まれる時間については行政通達で、「給与は、給料日当日の朝10時までに引き出せるようにしなければならない」とあります。
この行政通達が出されたのは1975年(昭和50年)。当時、給料は主流の現金手渡しから銀行振込へと移行された時期です。この通達でいうところの「10時」というのは、銀行口座で、社員が確実に給料を受け取るための目安を指しています。つまり、給料の受取は、10時を目安にしておけば、システムトラブルが発生しても、当日中に受け取ることができると考えられるからです。
もし給与が振り込まれなかったら?
給料日に、もしも給料の振込がなかったら、どうすればよいのでしょうか。どんなことがあっても落ち着いて対応できるよう、状況を区切って詳しく説明します。
●会社の規模が中小企業の場合
多くの会社では給料日に着実に会社員の口座へ給料を振込むため、事前に金融機関へ資金を送金し、振込予約をします。しかし、中小企業であれば、給料日当日に金融機関へ直接振り込む場合もあります。そうなると、給与担当者や金融機関の窓口などの諸事情で、給料が振り込まれる時間が遅れてしまうこともあるでしょう。
給料日なのに、毎回いつ給料が振り込まれるのかをやきもきしながら待っているようなことがあるようであれば、会社の給料を担当している部署に「給料日の9時に引き出せるようにして欲しい」と伝えてみても良いでしょう。一般的に給与に関する窓口として考えられるのは、経理部もしくは人事部などです。
●給料日の15時を過ぎても振り込まれない場合
口座を確認して、給料が9時に振り込まれていなくても、15時までに振り込まれていれば、先述の労働基準法第24条の賃金支払いの5原則の違反にはなりません。しかし、給料日の15時を過ぎても入金がない場合は、賃金支払いの5原則でいうところの「一定の期日を定めて支払わなければならない」が守られていないことになります。
このように、給料の支払いが遅れる会社側の理由としては、資金繰りの問題があると推測できます。たとえば、昨今のコロナ禍での業績の悪化に伴い、資金繰りが厳しい業種があります。そのため、会社側は給料を支払いたいけど、お金がないため支払えないなど事情があるかもしれません。
もし、15時を過ぎても給料の支払いがないのであれば、勤務先の給料担当部署へ問い合わせをしてみましょう。給料のことを直接聞くのは、ちょっと言いにくいと感じるため、「そのうち支払ってくれるだろう」と、様子を見たくなる気持ちがあるかもしれません。しかし、労働の対価として給料が支払われることは、労働基準法に定められているのですから、遠慮せずに、早めに確認するようにしましょう。
●会社に給料が振り込まれないことを伝えても振り込まれない場合
実際に会社の給料を担当している部署へ給与が振り込まれない理由を尋ねても、理由を説明してくれないし、給料が支払われないなどの場合は、給料の未払いを書面にして、請求を行います。
その際、未払いの根拠となる、タイムカード、シフト表、過去の給与明細、就業規則、給与規定などを準備します。そして、それらの情報を基に、未払い給料請求書を作成します。
出来上がった請求書は、郵便局から差出人、日付、あて先、郵便物の内容の存在を証明してくれる「内容証明郵便」で会社に送ります。請求書の宛名は、会社の給与支払い担当部署となる経理部、人事部などです。
また、勤務先の管轄をしている労働基準監督署へも相談しましょう。その際、未払い給与の証拠となる内容証明郵便や以前に給料が振り込まれていた通帳などを忘れず持っていきましょう。
もし、万が一にも会社が倒産して給料が支払われなかったときは、「未払賃金立替払制度」を申請することで、未払い賃金の8割までが立替払いされます。立替払いは独立行政法人労働者健康安全機構が行います。同機構によると、令和元年度は2万3992人、約86億円が立替払いされています。詳しくは、勤務先を管轄する労働基準監督署でご相談ください。
まとめ
給料は法律によって給料日に支払われなければならないという明確な決まりがあります。もし、給料が振り込まれなかったという事実があれば、速やかに勤務先を管轄する労働基準監督署へ相談しましょう。給料が支払われないことがあっても、焦らず落ち着いて相談することで、解決の糸口が見えてきます。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー
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