20/10/09
積み立てた投信はいつ売ればいいの? いつまで積立を続けるべきなのか
積立投資はコツコツと将来に向け長期継続することを前提とした投資です。たとえば投資信託(投信)の積立投資をすると、良い運用成果を得る可能性が高まる分散・長期投資のメリットを活かすことができ、資産形成の方法としては有効です。とはいえ、いつかは売って積立資金を使うことも考えておかなければいけません。
今回は、積み立てた投信をいつ売るのか、売る時の判断材料を紹介します。
積立資金が順調に増えている時って売るべき?
積立投資は相場が上がっている時も下がっている時も粛々と継続することができます。これから長期視点で将来のために手元資金を増やしながら貯めていきたい投資初心者はもちろん、長期間投資する時間がある若い世代にも積極的に活用いただきたい投資手法です。
投資は下がっている時に買って、上がって売ることができれば成功することは簡単にイメージできるかと思いますが、それが出来れば誰も苦労しません。投資のプロでも常に投資で勝ち続けることは難しく、素人となるとなおさらです。
人気が出て高くなった時に買い、何か経済的なマイナス要因で大きく下がった時に怖くなって売ってしまうということも、多くの方が陥りがちです。
その点、積立投資を活用することで高い時には購入数を少なく、安い時にはお得にたくさん買うことができるため、無理なく効率的に投資ができます。
でも、積立投資開始後に悩みどころとなるのが、積立資金が順調に上がりすぎている場合です。値上がりして利益が出ていると、今のうちに利益確定したくなる気持ちもわかりますが、将来のためのゆとり資金作りとして始めている積立投資の売り時の判断としては適切とはいえないと思います。その理由は、まだ使いたい時期が来ていないからです。そして必要な金額にも届いていないかもしれないからです。
積立投資は、積立期間中に上がっても下がっても動じることなく粛々と継続しましょう。
積立投資の売りを検討すべきタイミングは?
積立投資の資産を売るのは、積立投資を始めた目的とそのために必要な金額に到達しているかを基準に決めるのがベストでしょう。具体的には、次のようなタイミングがあります。
●売りを検討すべきタイミング①老後資金などの資金ニーズ到来時
積立投資を始めるきっかけはいろいろあると思います。しかし、多くの場合は「今まとまったお金はないけど、コツコツと将来の老後資金などのライフイベントのために預貯金よりも高い利回りを期待して貯めたい」というものではないでしょうか?
目標となるライフイベントは老後生活だけではなく、結婚、住宅購入、子どもの教育、親やご自身の介護などもありますね。これらのライフイベントには個人差がありますが、まとまったお金が必要になるものです。そこで、積み立てた資産をライフイベントに活用するために売るのはいいかと思います。
ただ、目標としていたライフイベントの時期がきたとしても、積み立ててきたお金が一度に必要にはならないという状況もあるかもしれません。たとえば老後資金などは、毎月の生活資金として数万円ずつ取り崩していくという使い方もあるでしょう。そのような場合は、お金が必要な時に都度引き出し、残りの積立資金は運用を継続するという選択肢もありです。この方法は、積立時とは逆に売り時を分散させることにもつながります。売却価格を平均化できるため、安値で売ってしまうことを避ける効果が期待できます。
もっとも、順調にお金が増えるなどしていて、ここから積立資金を減らしたくない場合には、全て売って預貯金に預けるのも選択肢の1つです。
●売りを検討すべきタイミング②目標金額に到達した時
「積立資金が1000万円になったら売却」といった売り時の決め方もおススメです。
積立投資の売り時判断で大切なのは目標です。目標としていたライフイベントに1000万円が必要で積立投資の活用を始めたのであれば、その目標金額を売りタイミングの区切りに決めてしまうのです。目標金額達成で躊躇なく売ります。躊躇なくがポイントです。
必要とする1000万円に到達しているのに、「まだ上がるかも?」と売りタイミングを観察しているうちに逆に減ってしまうのは辛いですよね。
目標金額での売り時の設定は何百万円、何千万円という明確な数字が目安になるので、売る判断をしやすくなる効果は大きいかと思います。
まとめ
積立資金を有効に使うためにも、積立開始と同時に売り時も決めておくことは投資の成否のカギを握るといってもいいでしょう。積立投資はしっかり目標を明確にすることで将来の資産形成に有効に活用していただきたいと思います
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小林 裕子 ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士
2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。
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