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25/05/05

家計・ライフ

公務員の「定年延長」で給与・退職金は増える?減る?

公務員の「定年延長」で給与・退職金は増える?減る?

定年退職の年齢を引き上げる企業が増えています。民間企業では65歳までの雇用確保が義務付けられ、70歳までの就業確保が努力義務となっています。定年制を廃止する企業や、定年を70歳まで引き上げる企業もあります。一方、公務員の定年は令和5年度(2023年度)以降、段階的に引き上げられます。
公務員の定年延長について、60歳を境に適用される制度が大きく変わるので、給与や退職金がどうなるのか気になるところです。
今回は、公務員の定年延長について解説していきます。

公務員の定年は今後どうなる?

年金の受給開始年齢は、65歳からです。しかし、60歳で定年となると、年金開始期間までの間無収入になります。公務員はこれまで一部の職種を除いて60歳定年であったため、60歳以降も働く場合には今までと違う職種や職場で働かざるを得ませんでした。定年が延長されれば、慣れた環境で安心して働くことができ、経済的にも安定が期待できます。

公務員の定年の引き上げは、2023年度(令和5年度)にスタートし、2031年度(令和13年度)までに段階的に行われます。具体的には、以下のように2年に1歳ずつ延びていき、最終的には65歳まで延長されます。

<公務員の定年>

筆者作成

60歳以降の公務員の働き方

最終的に公務員の定年は65歳となりますが、60歳から定年退職までの働き方は、フルタイムで働く方法と短時間勤務でゆとりを持って働く方法があります。主に、次のような選択肢があります。

(1)フルタイム(役職定年制を経て定年まで働く)
管理監督職(課長や部長などのように、部下を育てる立場にある役職)に就いている人は、60歳の誕生日からその後最初に来る4月1日までの異動期間に、非管理監督職に降任してその後定年まで働きます。異動期間以後は、管理監督職に就くことはできません。

(2)フルタイム(非管理監督職のまま定年まで働く)
非管理監督職に就いている人は、そのまま非管理監督職で定年まで働くことができます。

(3)一旦退職をして、定年前再任用短時間勤務制度によって働く
60歳に達した日以後の定年前退職者が対象で、本来の定年退職相当日まで働くことができる制度です。勤務時間は週15時間30分~31時間までの範囲内で、原則1日の勤務時間は7時間45分以内としています。1日の勤務時間を短くしたり、週休日を増やしたりするなど、多様な勤務体系を選択することができます。

(4)暫定再任用制度
定年の引き上げ期間中において、定年退職後に65歳まで再任用できる制度です。定年退職者や定年前再任用の任期満了の退職者、25年以上勤務で退職後5年以内の人などが対象です。任期は1年以内で、あらかじめ本人に同意を得たうえで更新することができます。勤務時間は、定年前再任短時間勤務制と同じです。この制度は、65歳まで働き続けられるように設置されたものなので、令和14年3月末までの制度になります。

2025年4月時点では、定年の引き上げ期間中で定年が62歳となっています。
65歳まで公務員として働くには
・定年まで働いて、暫定再任用制度を使う
・60歳以降定年前に退職をして、定年前再任用短時間勤務制度を使った後、暫定再任用制度を使う
などのパターンが考えられます。

定年延長で基本給はどう変わる?

定年延長によって、基本給は減ります。ただし、常勤職員は再任用制度職員よりは多くなる模様です。

定年延長によって、60歳に達した日以後の最初の4月1日から定年までの俸給月給(基本給)は、役降り前の60歳のときの7割相当の水準になります。給与が7割水準になるタイミングは、60歳の誕生日を迎えた日以後に最初に来る4月1日以降になります。この日を「特定日」といいます。

諸手当については、7割水準になる手当と7割水準にならない手当に分けられます。7割水準とするものは、以下のものです。なお、手当額は50円未満切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げされます。

【7割水準になる手当】

・地域手当
・夜勤手当
・期末・勤勉手当
・超過勤務手当
・休日給
・広域異動手当、特地勤務手当 など

【7割水準にならない手当】

・扶養手当
・住居手当
・通勤手当
・単身赴任手当
・宿日直手当
・寒冷地手当 など

ここまで解説してきた給与の7割措置は、当分の間のものなので、将来的には60歳前後で賃金カーブを連続するように給与の上昇を抑制させる方向に動くことが予想されます。

公務員の定年延長で退職金はどうなる?

定年退職で最も気になるのは、退職金ではないでしょうか。60歳以降も働くことによって、退職金を算定する基本給が下がるとなれば、不安になりますね。
ただ、結論からいうと、定年延長をしても退職金は減りません。

退職手当の退職事由は、退職金の額を計算するのに用いられ、退職金の支給率に影響します。自己都合退職にくらべて、定年を理由に退職した方が多く退職金がもらえるしくみになっています。また、給与の額が高ければ高いほど、退職金も高くなります。

●公務員の退職金の計算方法

退職手当の額=基本額 + 調整額
基本額:退職時の給料月額×支給率×調整率
調整額:職務に応じた加算額

基本額の支給率は、勤続期間や退職理由によって支給割合が異なります。調整率は、官民均衡を図るために一律に乗ずるものです。

2025年の段階では、定年の引き上げが段階的に行われている途中であるため、退職金は給与が7割水準になる前の部分と7割水準になった後に分けて計算され、不利益にならないようなしくみが取られています。
定年引き上げに伴い60歳超の期間の給与が減額される職員の退職手当は、減額前の基本給が退職日の基本給よりも多いときは、減額前の基本給の最高額を考慮して計算する「ピーク時特例」が適用されます。そして、当分の間、60歳以降であれば定年前であっても退職事由を「定年」とすることができる措置がとられています。

退職手当の支給時期は、60歳以降も退職をせずにフルタイムで働く場合には、定年退職時に退職金が出ます。60歳で退職金が出ると計画していた場合には、支給時期が後ろ倒しになるので資金計画の見直しをしましょう。
なお、定年前再任用短時間勤務制や暫定再任用制度を選んだ場合の退職金を受け取るタイミングは、1回目の退職時です。その後短時間勤務で働く場合には退職金はありません。

定年延長のメリット・デメリットと注意点
定年延長のメリットとしては、
・年金支給開始までの経済的不安が解消される
・基本給が減額されても、再任用制度よりも収入が多い
・安定して働き続けられる
があげられます。

定年延長のデメリットとしては、
・定年延長はフルタイムの勤務になる
・60歳以降は給与が減額される
があげられます。

定年延長によって60歳以降の選択肢が増えたことで、注意しておきたいことがあります。
定年が60歳の場合、その後再任用制度で働いても働かなくても、60歳の定年退職時に退職手当が支給されていました。定年が延長されると、今後は最大で5年退職手当の支給が遅れることになります。したがって、すでに住宅ローンを組んでいる場合や、子どもさんの進学の計画など、資金計画の再確認をしておきましょう。

また、基本給だけでなく、諸手当を含めた給与をシミュレーションしておきましょう。60歳に達した常勤職員と定年前再任用短時間勤務職員や暫定再任用短時間勤務職員とでは俸給月額の計算が違います。
諸手当では、扶養手当、住居手当、寒冷地手当、特地勤務手当などは、再任用短時間勤務職員には支給されません。諸手当は何が支給されるのかまで確認をしておかないと、思ったより給与が少ないと慌てることになります。

いつまでどんな働き方をするのか考えておこう

公務員の定年延長によって、基本給は減る場合がありますが、退職金については減らない措置が講じられています。定年延長によって、年金受給開始までの無収入の期間がなくなって経済安定を図ることができます。働き方もフルタイムだけでなく、時短勤務を希望することもでき、それぞれの希望に応じて多様な働き方を選べるしくみが整ってきました。

しかし、十分な熟慮期間の確保や制度の理解がなければ、自分の納得のいく答えを導くことはできません。
公務員の定年延長に伴い制度が大きく変わるため、情報提供・意思確認制度が設けられています。職員が60歳に達する年度の前年度に、任用、給与、退職手当の制度に係る情報提供することが義務付けられ、60歳以後の勤務や退職の意思を確認することになりました。

退職をする時期も個人の判断で選べるようになると、ますます自分のライフプランをどうするのかが問われることになります。老後の生活を想定しつつ、いつまでどのように働くのかを日頃から考えておきましょう。

池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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