24/08/07
株の売却益があるとふるさと納税上限額は変わるって本当?NISAは関係ある?
株の売却益が出ると、ふるさと納税の控除上限額が変わると聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか?また、NISAで売却益が出たときは、控除上限額に影響は出るのかどうかも気になります。そこで今回は、株の売却益が出た場合、ふるさと納税の控除上限額がどうなるのか株取式の口座別に解説するとともに、控除上限額を増やすために確定申告をする際の注意点もご紹介します。
株の売却益があると、ふるさと納税の控除上限額はどうなる?
株の売却益があると、基本的にふるさと納税の控除上限額は増えます。なぜなら、控除上限額が増えることで所得が増額するからです。
ふるさと納税の控除上限額を計算する際、所得税の課税対象となる所得はすべて含めます。
給与所得の他、雑所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得など課税対象となる所得があれば、すべて合算して控除上限額を計算します。株の売却益は譲渡所得となるため、控除上限額を計算する際、所得に含めることになります。
また、ふるさと納税の控除上限額は、次の計算式で求められます。
(X-2,000円)×(90%-所得税の税率×1.021)=住民税所得割額×20%
※Xは控除上限額
上記の計算式は、下記のように置き換えられます。
X(控除上限額)=住民税所得割額×20%÷(90%-所得税の税率×1.021)+2,000円
ふるさと納税の控除上限額に影響するのは住民税所得割額です。一般的に課税所得が多い人は住民税所得割額が大きくなるので、納める住民税も多くなります。このことから、株の売却で利益を得て譲渡所得が発生すれば、住民税所得割額が増えるので、控除上限額が増額するのです。
株取引の口座別に見た、ふるさと納税の控除上限額への影響
課税所得が増えればふるさと納税の控除上限額が増えることは上で紹介したとおりです。
では、株取引の口座別に見た場合、ふるさと納税の控除上限額はどのような影響を受けるのでしょうか?
●NISA口座の場合
NISAの売却益は非課税です。よって、株の売却益があっても課税されないため、ふるさと納税の控除上限額には何の影響もありません。
●一般口座や特定口座(源泉徴収なし)の場合
証券口座が一般口座や特定口座の源泉徴収なしの場合、株の売却益を得て譲渡所得が発生したときは確定申告をする必要があります。確定申告をすることで課税所得が増えれば、ふるさと納税の控除上限額も増えます。
ちなみに、譲渡所得は以下のように求めます。
譲渡所得=総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)
株の売却益から取得費などを差し引くことができます。売却益がそのまま譲渡所得になるわけではないので注意しましょう。
●特定口座(源泉徴収あり)の場合
証券口座が特定口座の源泉徴収ありの場合、確定申告をするかどうかを選択できます。そのため、株の売却益がある場合、あえて確定申告をすることで、ふるさと納税の控除上限額を増やすことも可能です。
控除上限額を増やすために確定申告をするときの注意点は?
株の売却益があり、証券口座が特定口座もしくは一般口座であれば、確定申告をすることでふるさと納税の控除上限額を増やすことができることをお伝えしました。
控除上限額が増えれば、ふるさと納税をすることで、さまざまな自治体から返礼品を受け取ることができるので、メリットが大きいように感じられるかもしれません。しかし、1つ注意しておきたいことがあります。それは、所得が増えることによって負担が増える可能性があることです。
ふるさと納税の控除上限額を増やすために確定申告をすることで、下記のようなデメリットが発生します。
・国民健康保険料が増える
・配偶者特別控除額が減る
・扶養から外れる
・ワンストップ特例制度が利用できなくなる
自営業者や個人事業主の場合、所得が増えれば国民健康保険料は上がります。ただし、会社員が加入する健康保険料には影響はありません。
また、所得が増えることで、配偶者特別控除の控除額が減る可能性があります。それに、配偶者や扶養家族の所得が増えると、扶養から外れて配偶者控除や扶養控除が利用できなくなる場合もあります。
さらに、会社員がふるさと納税をして寄附先が5自治体以内であれば、確定申告不要のワンストップ特例制度が利用できます。しかし、控除上限額を増やすために確定申告をするのであれば、ワンストップ特例制度は利用できなくなります。
確定申告がメリットにつながるかを確認しよう
株の売却益が出て所得が増える場合、ふるさと納税の控除上限額は増えます。NISA口座で株の取引をしている場合、非課税なので控除上限額を増やすことはできませんが、特定口座や一般口座の場合、確定申告をすることで控除上限額を増やせます。ただし、確定申告をして所得が増えると国民健康保険料が上がったり、配偶者控除や扶養控除が対象外になったりする可能性もあります。
ふるさと納税の控除上限額を増やしたいときは注意点を理解し、確定申告をすることがメリットにつながるかどうかを確認したうえで手続きすることをおすすめします。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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