24/02/07
【新NISA】成長投資枠は一括投資が有利って本当?積立投資とどちらがよいのか
2024年1月より新たな制度が始まったNISA(新NISA)では、株式や投資信託などの金融商品に年間240万円(非課税保有限度額は1200万円まで)まで一括または積立で投資できる「成長投資枠」が設けられています。今回は新NISAの成長投資枠において、一括・積立どちらで投資するのがベターなのか解説します。新NISAでどのように投資するか迷っている方は参考にしてみてください。
今後値上がりし続けるなら一括投資が有利だが…
新NISAの成長投資枠で投資方法を考える場合、購入する銘柄が今後値上がりし続けるのであれば一括投資を選んだほうが有利です。例えば購入時より価格が20%上昇した場合、一括投資であれば上昇分がそのまま利益になるからです。
ただし株式や投資信託などの金融商品は常に値動きするもの。今後も確実に価格が上昇し続ける保証はないので、値上がりした時の利益にばかり注目するのは危険です。仮に100万円で購入した銘柄が30%下落した後に30%上昇しても、以下のように元の価格に戻るわけではありません。
購入時:100万円
↓
30%下落:70万円(100万円×(1-30%))
↓
30%上昇:91万円(70万円×(1+30%))
このように一括投資は値下がり時の影響もダイレクトに受けること、大きく値下がりした場合はその後元の価格に戻りにくいことがある点もふまえておく必要があります。
もちろん一括投資が必ずしも悪いわけではありません。投資に慣れている方であれば、取引のタイミングを見計らって利益を狙うのもアリでしょう。しかし一括投資で利益を狙うためには定期的に値動きをチェックする必要がありますし、企業や経済状況などの動向にも敏感になる必要があるので、投資初心者にはハードルが高いかもしれません。
リスクを抑えたいなら積立投資がおすすめ
リスクを抑えながら投資するなら積立投資を選んだほうが堅実でしょう。積立投資は定期的に決まった金額分を購入する方法です。価格が低いときは多く、高いときは少なく購入するため、購入価格を平均化できます。
また一括投資と違って購入するタイミングを見極める必要がないので、手間なく投資を始めたい方にも向いています。またタイミングを気にせず早く投資を始めれば、複利の効果(投資の利益を再び投資にまわすことで、利益が利益を生み資産が膨らんでいく効果)が大きくなり資産を増やしやすくなるでしょう。
積立投資は大きな利益を狙える方法ではありませんが、リスクを抑えながら長期的に運用したい方におすすめの方法です。
新NISAでは、成長投資枠とは別につみたて投資枠という投資枠が用意されています。つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たす、長期の積立・分散投資に適した投資信託に年間120万円(非課税保有限度額は成長投資枠と合わせて1800万円まで)積立投資ができます。新NISAで初めて投資にチャレンジする方は、まずはつみたて投資枠での積立投資から始めてみましょう。なお、つみたて投資枠だけで1800万円分投資することも可能です。
慣れてきたら積立投資と一括投資を使い分けるのも一案
新NISAの成長投資枠では、積立投資と一括投資を併用することもできます。また、つみたて投資枠では投資できない商品にも積立投資ができます。つみたて投資枠への積立で投資の感覚をつかむところができたら、成長投資枠での投資にチャレンジするという方法も一案です。
大切なのは積立投資と一括投資の使い分けです。積立投資は安定的にお金を増やしたい場合に適した方法です。例えば教育資金や老後資金など目標金額を決めてコツコツ貯めたい場合は、積立投資を選びましょう。あくまでも資産形成のベースは積立投資でおこなっていくのが安全です。
そのうえで、上乗せして利益を狙いたい場合や、株主優待目的で気になる株を買いたい方などは余裕資金で一括投資にチャレンジしてみるとよいでしょう。また、すでに新NISA以外(預貯金や保険など)で将来必要なお金が準備できている方なら、余裕資金の一部を一括投資にまわすのもよいと思います。
投資初心者は積立投資からスタート
新NISAの成長投資枠では一括投資と積立投資の2つの方法がありますが、投資初心者はつみたて投資枠や成長投資枠の積立投資で堅実に資産を増やすのがおすすめです。まずは積立で投資に慣れるところから始めましょう。
積立投資は資産形成のベース、投資に慣れてきたら余裕資金で一括投資にもチャレンジ、というように使い分けて新NISAを有効活用することをおすすめします。
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鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com
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