20/04/27
ニュースの海に溺れないためには「2つの情報リテラシー」が必要
リテラシーという言葉が使われるようになって久しいです。
リテラシーとは本来「識字」(文字の読み書きができること)という意味ですが、そこから転じて、ある分野の知識やスキルを正しく活用する力、といった意味で使われるようになっています。
情報リテラシーとは、「正しく情報を活用する力」ともいえます。
私たちのまわりには、すさまじい量の情報が、めまぐるしいスピードで飛び交っています。新型コロナウイルスに関しても真偽問わず様々な情報が流れました。
これからも情報の量は増えつづけ、私たちに情報が伝わるスピードも加速していくことでしょう。
こんな時代だからこそ、正しい情報を取捨選択して整理する力として「情報リテラシー」が求められているのです。
「情報」の活用は真偽の裏を取ってから
では、正しい情報を取捨選択するために必要なことは何でしょうか。
それは、その情報が本当に正しいかどうかを調べることです。平たくいえば「裏を取る」です。
たとえば、ある事件が報じられたとき、犯人の名前や勤務先をすばやく検索して、その住まいや人間関係などを突きとめようとする人がいます。そして、たまたま同名の人や会社を見つけると、「犯人はこの人だ」「勤め先はここだ」などと勝手に判断し、拡散してしまうのです。
しかし、その情報が拡散されたあとで、特定した人や会社がまったくの別人、別の会社であることが判明したとき、突きとめようとした人は、どう責任をとるのでしょうか。
「少年犯罪は年々増えつづけている」とよくいわれます。しかし、警視庁の『あなたの街の少年犯罪』という資料によると、東京都内の刑法犯少年の検挙・補導人員は平成22年以降、減少しつづけています。
新型コロナウイルスに関する情報も、真偽が定かでない情報がたくさん流れたのも記憶に新しいでしょう。外出自粛後の情報もこれまた誤った情報が流れました。各テレビ局が報道した、外出自粛になってすぐの休日の「渋谷スクランブル交差点」や「吉祥寺の商店街」の映像。実際は街に出歩いている人が少ないのに、さも多いように見せかけた映像を流していました。
このように、世の中のイメージと実態の数字や事実にギャップが生まれる理由はさまざま考えられますが、すくなくとも、根拠もないのにイメージだけで語ると根本的に間違ってしまう可能性が高い、ということはおわかりいただけるでしょう。
ある情報に接したとき、なんでもすぐにうのみにしてしまうのは非常に危険です。そして、「裏を取っていない」情報を拡散することは、そのまま自分の価値を暴落させることにつながります。
「情報の裏=一次情報」を取る習慣を
どのように情報の真偽を判断すべきなのか。
まず、誰がその情報を発信しているのかを確認するのが良いでしょう。発信している人の実績や経験、過去のSNSの投稿内容などをチェックし、信用できるニュースソースであるかどうかを見極めるのです。
このとき、自分の主観を捨てて、中立の立場になることを心がけます。
なぜなら、そうしないと「自分にとって都合のいい情報」だけを集めてしまうからです。
ニュース内で扱われているデータソースが正しいか、原典にあたるようにしましょう。国の統計などは各省庁のホームページなどで公表されているので、簡単にチェックすることが可能です。企業が実施したアンケート結果なども、多くの場合、各社のウェブサイトをチェックすれば確認することができます。
ニュースアプリは「多様な見方をする力」を鍛えるには便利
「スマートニュース」「グノシー」「NewsPics」といったニュースアプリは、スマホやタブレットなどで簡単に最新ニュースがチェックできる優れモノです。
新聞社や通信社など古くからあるマスコミだけでなく、ネットを中心とした比較的新しいメディアもニュースを配信しています。
同じニュースについて、それぞれのメディアが異なる角度から見た情報を一挙に得ることができるので、情報の信用性の高さを測る物差しになりますし、ひとつのものごとに対し、多様な見方をする力を鍛えることも可能になります。
もちろん、何事も100パーセント間違いがない、とは言い切れません。とくに速報性を重視するネットメディアでは、配信した記事が結果的に誤報となってしまう可能性も否定できません。
その点でも、やはり、ふだんから情報の真偽をしっかり確認するクセをつけておくことは有効だと思います。
情報処理力と情報編集力を鍛える
『10年後、君に仕事はあるのか?』(藤原和博)では、これからの時代に必要な「生きるチカラ」として、基礎的人間力・情報処理力・情報編集力の3つを挙げています。
ここまで紹介した情報リテラシーは、「情報処理力」に分類されます。
同書ではこのうち、「成熟した社会で求められるのは情報編集力、つまり情報をもとに正解のない問題(または正解が1つではない問題)を解決する力だ」としています。
とはいえ、情報処理力(狭い意味での基礎学力)が不要になっていくのかと問われれば、私はそうではないと答えます。
なぜなら、膨大な資料の中から有用な情報を探しだし、その情報を正確に処理する力がなければ、情報編集力も正しく発揮することができないからです。
情報処理力は、情報編集力と密接に関わっています。そもそも学力がともなわなければ、正確な情報を早く探しだすことは難しいでしょう。
たとえAIが人間のもつ能力以上に進化をとげたとしても、有用な情報を探しだし、正確に処理する力は求められます。
「情報処理力の高さ=自分の価値」であることは、いまも、そしてこれからも変わらないはずです。
『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』 頼藤太希 著
『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』(河出書房新社)
本書では、仕事人として生き残るために必要な「独自性のある自分の価値」の高め方や、SNSを駆使した新時代の「スキルアップ術」を公開。
キャリアアップ・転職・起業・就職に勝利する「私の力」の見つけ方、磨き方を伝授する至極の一冊。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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