26/01/15
「年金だけ」で生活している人は何%いるのか

老後の生活について考えるとき、「年金だけで暮らしていけるのだろうか」と、ふと不安がよぎることはありませんか。まだ先のことだと思っていても、ニュースや身近な人の話をきっかけに、将来のお金が気になり始める人は少なくありません。実際、日本では年金だけを収入源として生活している高齢者世帯が多く存在しています。しかしその一方で、生活にゆとりを感じられず、「苦しい」と感じている人も少なくないのが現実です。
年金だけの暮らしは、決して特別なケースではありません。今回は、公的なデータをもとに老後の収入の実態を整理しながら、将来に向けて今からできる備えについて、わかりやすくお伝えしていきます。
年金だけで生活している人はどのくらいいるのか
年金だけで生活している高齢者は、どのくらいいるのでしょうか。厚生労働省が公表している「令和6年(2024年)国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯のうち 43.4% が「公的年金・恩給のみ」を収入源として生活しています。これは、高齢者世帯のおよそ4割強が、年金以外の収入に頼らずに暮らしているということを意味します。
<総所得に占める年金の割合>

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」より
この数字は、特別な事情がある人だけの話ではありません。会社勤めをして定年を迎えた人、専業主婦として家庭を支えてきた人、自営業として長年働いてきた人など、さまざまな背景を持つ人たちが年金だけの生活に入っています。つまり、年金のみで暮らす老後は、誰にとっても起こり得るごく一般的な選択肢なのです。
ここで押さえておきたいポイントは、年金だけで暮らすこと自体は珍しくないという現実です。そして同時に、その暮らしがどのようなものになりやすいのかを、しっかりと認識しておく必要があります。
年金だけの暮らしで“苦しい”と感じる人が多い理由
年金だけで生活している高齢者世帯は少なくありませんが、その一方で暮らしが苦しいと感じている人が多いのも事実です。先に紹介した厚生労働省の調査では、高齢者世帯の 55.8% が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答しています。半数を大きく超える人が、生活に何らかの負担や不安を感じながら暮らしていることになります。
<高齢者世帯の生活意識>

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」より
では、なぜ年金を受け取っていても苦しいと感じやすいのでしょうか。
理由の一つは、収入がほぼ固定されているということです。公的年金は、現役時代の収入や加入状況に応じて決まり、その後大きく増えることはほとんどありません。一方で、日々の生活にかかる支出は、年齢とともに減るとは限らず、むしろ増えていくケースもあります。
特に影響が大きいのが、物価の上昇や医療・介護費の負担です。食料品や光熱費といった日常的な支出は、少しずつでも確実に家計を圧迫します。また、年齢を重ねるにつれて病院への通院回数が増えたり、将来的に介護が必要になったりする可能性も高まります。こうした支出は、あらかじめ正確に予測しづらい分、不安につながりやすいのです。
さらに、世帯形態の違いも暮らし向きに影響します。単身世帯の場合、住居費や光熱費などの固定費を一人で負担することになり、夫婦世帯と比べて割高になりがちです。年金額はそれほど変わらないのに、支出はあまり減らせないという状況が、生活の苦しさを感じさせる一因になります。
だからこそ、年金にプラスして収入や安心感を補うために考えたい現実的な選択肢について考えておく必要があります。
老後の収入を補うために考えたい3つの選択肢
年金だけの暮らしが苦しいと感じやすい背景には、収入が固定されやすい一方で、支出は思うように減らせないという構造がありました。
では、そのギャップを埋めるために、どのようなことができるのでしょうか。ここでは、多くの人が無理なく検討できる3つの視点を紹介します。
●できるだけ長く働く
近年は、60代後半や70代になっても働き続ける人が増えています。とはいえ、若い頃のようにフルタイムで働くというのは難しくなるかもしれません。たとえば、週に数日、短時間だけ働く、経験を活かした仕事を選ぶなど、体力や生活リズムに合わせた働き方が現実的です。毎月少しの収入でも、年金に上乗せされることで家計に余裕が生まれ、精神的な安心感にもつながります。
●家計を見直す
収入を増やすことも大切ですが、支出を整えることも同じくらい重要です。収入が増えたからと言って、同じ分だけ支出が増えていたのではなんの意味もありません。
特に住居費や保険料、通信費などの固定費は、一度見直すだけで長期的な負担を軽くできます。無理な節約ではなく、今の生活に合った支出かどうかを確認することがポイントです。
●資産を育てる
老後のお金というと貯金を思い浮かべる人が多いですが、貯蓄だけでは物価の上昇に対応しづらい面があります。そこで、少額からでも長期・分散で資産を運用するという考え方があります。投資という言葉に抵抗を感じる人もいますが、目的は大きく増やすことではなく、時間を味方につけてお金にも働いてもらうことです。
これらすべてを完璧に行う必要はありません。少し働く、少し運用する、少し見直すといった小さな積み重ねでも、年金だけに頼らない老後に近づくことができます。こうした考え方を踏まえて、今からできる具体的な備えについて整理していきましょう。
将来を悲観するより今のうちから備えよう
年金だけで生活している高齢者は多く、決して特別な存在ではありません。そして高齢者の半数以上が「生活が苦しい」と感じている現実からも分かるように、年金だけに頼った老後には不安が残りやすいのも事実です。だからこそ大切なのは、将来を悲観することではなく、今のうちから少しずつ備えていくことです。働き方を工夫する、資産を長い目で育てる、家計を見直す、こうした小さな積み重ねが、老後の安心につながります。お金の不安は一人で抱え込まず、状況に合った選択肢を知ることが、これからの暮らしをより安心できるものにしてくれるでしょう。
【関連記事もチェック】
・定年後に払い続けると貧乏へ転落する「5つの支出」
・厚生年金で損したくないなら、絶対やってはいけない5つのこと
・退職翌年の住民税の支払いが怖いなら絶対にすべき節税対策
・厚生年金「夫16万円・妻10万円」、夫が亡くなったら妻の年金はいくらになるのか
・年金生活者に1月届く「公的年金等の源泉徴収票」絶対確認すべき3つのポイント
黒須 かおり ファイナンシャルプランナー(CFP)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
























