25/09/09
【知らないと損】ガソリンは「満タン」「定額」どっちがお得?

ガソリンスタンドで「今日は満タンにしようか、それとも金額を決めて入れようか…」と迷ったことはありませんか?
地政学リスクや円安の影響で、ガソリン価格はここ数年大きく揺れ動いてきました。そんな不安定な環境で、少しでも出費を抑えるために、実はちょっとした「買い方の工夫」をすると、長い目で見ると意外な差が生まれます。今回は、身近なガソリン代を例に、ある方法でどれくらいお得になるのかを具体的に検証し、さらにその考え方が家計だけでなく資産づくりにも応用できることをご紹介します。
ガソリンを入れるときは「定額」がお得!どうして?
近年、ガソリン価格は地政学リスクや円安の影響を受けて高止まりが続いています。価格が安いときにガソリンを空にして「満タン」にできるのが理想ですが、実際は、利用頻度と価格が上下するタイミングを狙って最安値で購入するのは難しいものです。
そんな中で注目されているのが、毎回同じ金額で給油する「定額給油」。これにより価格が変動しても一定の金額で購入を続けるため、高い時は少なめに、安い時は多めに購入できます。その結果、長期的に平均購入単価を抑えられます。
●資源エネルギー庁のレギュラーガソリン価格の推移をみてみよう
資源エネルギー庁のデータで、2020年以降のレギュラーガソリン価格(全国平均・税込)の週次推移を確認したところ、以下のとおり推移しています。
<2020~2025年8月の全国レギュラーガソリン価格(税込)の推移>

資源エネルギー庁「石油製品価格調査」より筆者作成
2020年にはリッター130円を切っていた時期もありましたが、2021年以降は右肩上がりに。2024年・2025年は170円〜180円台となっており、高止まり傾向が続いています。
ガソリン価格が給油のたびに変動するとして、毎週5000円ずつ(定額)で6回給油する場合と、隔週50リッターずつ満タン(定量)で3回給油した場合の金額は、次のように変わります。
<定額給油と定量給油の違い>

筆者作成
・定額給油合計:3万円(174.7L)の平均単価は「約171.7円/L」
・定量給油合計:2万6250円(150L)の平均単価は「約175円/L」
「定額給油」は、価格が変動しても一定の金額で購入を続けるため、高い時は少なめに、安い時は多めに購入できます。その結果、長期的に平均購入単価を抑えられます。
上記の結果では、1リッターあたり「3.3円」とわずかな差に見えますが、長期間続けると大きな差になってきます。特に価格変動が激しいときほど効果は大きいといえます。
投資にも応用できる「定額給油」の考え方
ガソリンの「定額給油」と同じように、投資にも毎回同じ金額で買い続ける方法があります。これを「ドルコスト平均法」といいます。
たとえば、新NISAのつみたて投資枠やiDeCoなど、長期で資産を増やす制度でも、この方法を使うことができます。
ドルコスト平均法は、一度に大きな金額を投資するのではなく、あらかじめ決めた一定額を、毎月や毎週などの決まったタイミングで投資する手法です。
株式や投資信託などの金融商品は、日々価格が変わります。買うタイミングによって「高く買ってしまった…」と後悔することもあれば、「安く買えて得をした」と感じることもあるでしょう。
ドルコスト平均法では、価格が変動しても毎回同じ金額で買うため、次のような効果が得られます。
・価格が高いとき→同じ金額でも買える量が少なくなるので、高値での購入を避けられる
・価格が安いとき→同じ金額でより多くの量を買えるので、割安にたくさん保有できる
このように、価格変動の波に合わせて自然と購入量が変わり、結果的に平均購入単価を下げる効果が期待できます。
例として、投資信託を2万円ずつ定額購入した場合と2口ずつ定量購入した場合をガソリン同様に比較してみましょう。投資信託の値段(基準価額)が次のように変動したとすると、1口あたりの値段が変わります。
<ドルコスト平均法で購入したときの例>

筆者作成
基準価額が高いときは、同じ2万円でも買える投資信託は少なくなります。一方、基準価額が安いときは、多くの投資信託を購入することができるため、保有量が増えます。このような変化が積み重なることで、平均購入単価を自然に下げる効果が生まれます。ガソリン価格の例と同じく、「安いときに多く、高いときに少なく」買う仕組みが自動的に働くため、継続して購入していけば、平均購入単価を抑え、価格変動リスクを軽減する効果があります。
ドルコスト平均法は価格変動のリスクを和らげながら、時間を味方につけて資産を増やす手助けをしてくれます。特に、この方法は投資の経験が浅い人にとっても取り入れやすい仕組みのため、安心して続けられます。
ドルコスト平均法が初心者におすすめな3つの理由
ドルコスト平均法が初心者の投資に向いている理由は、次の3つです。
●ドルコスト平均法がおすすめの理由1:タイミングを予想しなくていい
株価や基準価額の上げ下げを読もうとすると難しく、心理的にも負担になります。ドルコスト平均法なら「買い時」を考えず、決めた日に淡々と買い続けられます。
●ドルコスト平均法がおすすめの理由2:精神的にラク
短期的に値下がりしても、「安くたくさん買えた」と考えられるため、落ち着いて投資を続けられます。値動きに振り回されないため、長期でコツコツ続けられます。
●ドルコスト平均法がおすすめの理由3:長期投資と相性が良い
新NISAのつみたて投資枠やiDeCoのように、時間をかけて資産を育てる制度は、積み立てを続けることが成果につながります。ドルコスト平均法は、その長期投資のスタイルにぴったりです。
定額購入なら価格の波に振り回されない
ガソリン代の節約と投資に共通しているのは、「価格の波に振り回されない買い方」です。毎回「定額」というシンプルなルールを守るだけで、ガソリンでは節約効果が得られます。そして投資では高値づかみを避けながら資産を着実に増やす効果が期待できるでしょう。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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