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23/12/26

資産運用・経済

新NISAプロおすすめの4つの投資戦略

新NISAを最大限に活かす4つの投資戦略

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用してさまざまな投資ができます。これまでのNISAよりも自由度が大きく広がったことで、「新NISAはどう活用したらいいの?」と悩んでしまうこともあるでしょう。
今回は、新NISAを最大限活かすためにはどのような投資戦略が良いのか、一緒に考えていきましょう。

旧NISAから新NISAへ 大きく変わった5つのポイント

新NISAで大きく変わったポイントは5つあります。簡単におさらいしておきましょう。

①非課税期間が無期限になった
2024年以降いつでも始められ、生涯にわたって運用益を非課税にできるようになりました。

②年間の非課税投資額が増えた
つみたてNISA(年40万円)→つみたて投資枠(年120万円)
一般NISA(年120万円)→成長投資枠(年240万円)
に名前も変わり、非課税投資額も増えました。

③つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる
つみたてNISAと一般NISAは併用できませんでしたが、つみたて投資枠と成長投資枠は併用できます。

④1人あたり1800万円の「生涯投資枠」が設定される
買付残高1800万円まで(うち成長投資枠は1200万円まで)投資ができます。
つみたて投資枠だけ、成長投資枠だけで投資をしてもよいのですが、成長投資枠の上限は1200万円までなので、生涯投資枠の1800万円を使い切りたい場合はつみたて投資枠で最低でも600万円の投資が必要です。

⑤商品を売却しても翌年に非課税投資枠が復活する
翌年以降、再び新NISAを使った非課税の投資ができるようなります。

新NISAの基本戦略は「コア・サテライト戦略」の実践

新NISAで投資するにあたって押さえておきたい基本は、「コア・サテライト戦略」を実践することです。
コア・サテライト戦略は、お金を減らさずに増やすことを目指す戦略。自分の資産を長期安定成長の「コア資産」と積極運用の「サテライト資産」に分けて運用します。

<コア・サテライト戦略のイメージ>

著書「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)より

上図は、新NISAでのコア・サテライト戦略のイメージです。
新NISAがはじめての資産運用になる人は、インデックスファンド・バランスファンドなどのコア資産を7割から9割、残りの1割から3割を日本株や米国株などのサテライト資産に配分して運用するのがよいでしょう。コア資産は長期運用で堅実に増やすイメージ、サテライト資産は利益を狙って積極投資するイメージです。
まずはコア資産を作り、余裕が出てきたらサテライト資産を作るのがよいと思います。

新NISAを最大限に活かす4つの投資戦略

では、具体的な新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の活用戦略を考えていきます。
4つの投資戦略をご紹介します。

●新NISA投資戦略1:つみたて投資枠だけでコア資産

【つみたて投資枠】インデックスファンド・バランスファンド
【成長投資枠】利用しない

成長投資枠は利用せず、つみたて投資枠だけでコア資産を作っていく戦略です。つみたて投資枠では、リスク許容度(損失を許容できる度合い)に合わせて商品を選びます。リスクが積極的に取れるなら全世界株型や外国株型のインデックスファンド、リスクを押さえたいならば株だけでなく債券や不動産に投資するバランスファンドを選びます。

NISAは資産配分の偏りを正すリバランスがしにくい制度なので、たくさんの商品に投資する必要はありません。投資信託を1本〜2本選んで、それにコツコツ投資すればよいでしょう。

毎月の積立金額と得られる運用利回りの組み合わせで、いくら増えるのかをシミュレーションしたのが下の表です。

<掛け金・運用利回りから資産総額がわかる表(15年)>

(株)Money&You作成

運用期間が15年のときの早見表です。縦の列が毎月の積立金額、横の行が運用利回りとなっていて、交差するところが運用後の資産総額を表します。なお、月10万円の積立投資を15年続けると、生涯投資枠の1800万円を使い切ります。

資産総額が2000万円を超えたところは、赤色で示しています。たとえば、毎月8万円ずつ積立投資した場合、運用利回り5%で2000万円を達成します。毎月5万円だと利回りが10%ないと2000万円の達成はできない計算です。

しかし、これが倍の30年となると、資産総額は次のようになります。

<掛け金・運用利回りから資産総額がわかる表(30年)>

(株)Money&You作成

運用期間が30年の場合、月5万円で生涯投資枠1800万円を使い切ります。仮に月5万円だと運用利回りが1%でも2000万円を達成可能。月3万円でも4%で達成します。これは、投資の利益を再投資することで得られる複利効果によるものです。
複利効果は時間が長くなればなるほどお金が増えるスピードが増していきますので、少ない積立金額でも2000万円は達成しやすくなります。

なお、投資元本が1800万円に達したあとも運用を続けて問題ありません。新規の投資はできませんが、投資した1800万円の運用益非課税は一生続きます。

たとえば、投資元本が1800万円に達したとき、資産が3000万円になっていたとします。この3000万円をその後20年間にわたって利回り4%で運用できた場合、20年後の資産総額は6573万円になる計算です。新NISAではずっと非課税で運用ができますので、非課税投資枠を使い切ったあとも運用を続けて、お金を増やすことを検討していただければと思います。

●新NISA投資戦略2:つみたて投資枠と成長投資枠でコア資産

【つみたて投資枠】インデックスファンド・バランスファンド
【成長投資枠】インデックスファンド・ETF

つみたて投資枠と成長投資枠でコア資産を作る戦略です。新NISAの投資対象には、成長投資枠でしか投資できない商品、つみたて投資枠では投資しにくい商品もあります。そこで、つみたて投資枠で1200万円、成長投資枠で600万円などと分けて、成長投資枠でも投資をしていくことを考えます。

たとえば「NASDAQ100」は、米国の代表的なS&P500を凌駕するパフォーマンスで注目されています。しかし、本稿執筆時点(2023年12月20日)でNASDAQ100に投資できるつみたて投資枠の商品は1本しかありません。

<NASDAQ100インデックスファンド比較>

(株)Money&You作成

そもそも、NASDAQ100は、つみたて投資枠の指定インデックスではありません。つみたて投資枠の指定インデックスではないものに投資する投資信託の場合、つみたて投資枠の対象になるには「運用資産残高50億円以上「5年以上運用実績」などの条件をクリアする必要があります。

「iFree NEXT NASDAQ100」はこの条件を満たしたため、つみたて投資枠で投資が可能になりました。しかし、信託報酬が年0.495%と、高いのが難点です。
NASDAQ100で投資できる投資信託でコストが最安なのは「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」。信託報酬は年0.2035%と半分以下です。しかし、こちらはつみたて投資枠では投資ができません。そこで、成長投資枠を利用すれば、より低コストでNASDAQ100に投資できるというわけです。

また、米国のS&P500の銘柄から25年以上連続増配している銘柄で構成された「S&P500配当貴族指数」には、財務健全性の高い、安定成長の企業が集まっているため、下落相場に強い特徴があります。つみたて投資枠でS&P500に投資しつつ、成長投資枠S&P500配当貴族指数にも投資するといった使い方もあるでしょう。

さらに、低コストで投資したいのであれば、インデックスファンドではなくETF(上場投資信託)を使うのも一案です。全世界株に投資するならばETFのVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)、全米株ならばVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)を活用すると、よりコストが抑えられます。ETFには、他にも債券ETFやリートETFなど、いろいろな低コスト商品がありますので、そちらを検討するのもよいでしょう。

●新NISA投資戦略3:投資信託と株式でコア・サテライト戦略

【つみたて投資枠】インデックスファンド
【成長投資枠】株式(日本株・米国株)

つみたて投資枠でインデックスファンド、成長投資枠で日本株や米国株といった株式に投資する戦略です。
成長投資枠で株式投資するのがメイン戦略であれば、つみたて投資枠の使い方は一工夫しましょう。成長投資枠で日本株を買うならつみたて投資枠では「除く日本」の投資信託、米国株を買うなら「除く米国」の投資信託を選ぶのがおすすめ。資産が過度に日本・米国に偏ることが防げ、分散投資効果が高まります。

<除く日本・除く米国の投資パターン例>

著書「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)より

また、MSCIコクサイ・インデックスに連動する投資信託を利用すれば、日本を除く先進国株式に投資ができます。

成長投資枠でも、今は国内株を1株単位(単元未満株)で購入できます(米国株はもともと1株から購入可能)。といっても、短期投資はNISAには向きません。好業績株を狙って、中長期の目線で投資するのがよいでしょう。投資の利益を非課税にできるNISAは、利益が出てこそ意味のある制度です。それであれば、利益を出しやすいと考えられる銘柄に投資したほうがよい、というわけです。

また、リスクを減らす観点で考えれば、銘柄を複数の業種に分散させることも大切です。もっとも、何百銘柄も分散する必要はありません。25銘柄を超えるとそれ以上分散投資効果は高まらないというデータもありますし、何より管理も大変です。10銘柄から20銘柄程度に絞って投資するのがよいでしょう。

●新NISA投資戦略4:高配当株・連続増配株に投資

【つみたて投資枠】インデックスファンド
【成長投資枠】高配当株・連続増配株・高配当ETF・連続増配株ETF

成長投資枠で配当金がたくさんもらえる高配当株やETF、毎年配当金の額を増やして連続増配株やETFに投資する戦略です。定期的に配当金が受け取れたら、うれしいですよね。

定年後に資産1000万円を高配当株にすると、配当利回りが4%なら、毎年得られる配当金は40万円です。しかし、配当金がたくさん欲しいなら早いうちに株価上昇も期待できる高配当銘柄に投資するのもいいでしょう。
仮に65歳までに1000万円を投資しておいて、高配当株が3000万円に値上がりしたら、配当利回り4%の場合毎年120万円の配当金を非課税で受け取れます。

なお、つみたて投資枠のなかにある「楽天高配当株式インデックスファンド」を利用すれば、つみたて投資枠でも低コストで高配当銘柄へ投資が可能です。
既に新NISA以外で預貯金を含めコア資産をしっかりと築いている場合、新NISAをサテライト資産100%として活用するべく、両投資枠を通じて高配当株に1800万円投資することもできるというわけです。

新NISAを最大限に活かす4つの投資戦略を紹介してきました。新NISAを始めようと思っても、具体的にどう投資していいのかわからないという方もいるでしょう。今回の内容をぜひ自分の投資行動に生かしていただければ幸いです。

今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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