23/12/10
手取り月収30万円になるための額面はいくら?
毎月生活するのに30万円は必要と考える人も多いのではないでしょうか?仮に給与額が30万円でも手取り額はもっと少なくなります。今回は、給与の額面と手取りの違いを説明し、手取り30万円になるための額面を計算してみます。
給与の額面と手取りの違い
給与の額面とは、会社から支給される報酬の総額で、基本給のほかに通勤手当や住宅手当などの各種手当を合わせた金額を言います。一方、手取りとは、実際に受け取れる金額です。給与からは、税金や社会保険料が控除されるため、手取りは額面より少なくなります。
就職や転職の際、提示されるのは額面の金額ですが、毎月振り込まれるのは手取りの金額です。もし想定していたよりも毎月の収入が少なければ、生活に影響が出てしまうかもしれません。給与をもらう前に、手取りがどれくらいになるのか把握しておきましょう。
給与から控除されるお金とは?
ここで、毎月の給与からどんなお金が控除されるかを説明します。
●所得税
所得税はその年の年間合計所得をもとに計算するものなので、給与をもらう時点ではまだ税額が確定していません。毎月の給与からは仮の税額を源泉徴収し、所得が確定した年末に年末調整で精算する仕組みになっています。
●住民税
住民税は前年の所得に対して課税されるため、確定した税額を12回に分割した金額が毎月の給与から控除されます。
●厚生年金保険料
社会保険料は労使折半になりますが、厚生年金保険料の労働者負担分として標準報酬月額(社会保険料算定の基準となる1か月分の給与額)の9.15%が控除されます。
●健康保険料
健康保険料率は加入している組織や都道府県によって異なりますが、労働者負担分として標準報酬月額の5%程度が控除されます。
●介護保険料
40歳以上の人は介護保険料の労働者負担分として、標準報酬月額の0.9%程度が控除されます。
●雇用保険料
業種によって保険料率が変わり、労働者負担分は0.6~0.7%です。
手取りの概算額は?
額面から手取りを計算するには、所得控除や標準報酬月額、昨年の年収などさまざまな要素を考慮しなければなりません。計算が複雑になってしまうため、手取りの概算を出す方法を知っておきましょう。一般的な会社員の場合、手取りの金額は額面の75%~85%となります。
・手取り30万円をもらうには?
手取りが額面の75~85%なら、手取りから額面を計算するには次の式で計算すればよいことになります。
額面=手取り額÷0.75~0.85
たとえば、手取り30万円を確保したい場合、必要な額面は次のようになります。
額面=30万円÷0.75~0.85=約35.3万円~40万円
額面39万円の場合の手取り額を検証
では、給与の額面39万円の会社員(30代・独身・東京都在住・協会けんぽの健康保険に加入・一般の事業の会社に勤務・賞与なし)を想定し、手取りが30万円になるか計算してみましょう。
①社会保険料
標準報酬月額、雇用保険の対象となる賃金とも39万円と仮定すると、社会保険料の自己負担額は次のとおりです。
厚生年金保険料 3万4770円
健康保険料 1万9000円
雇用保険料 2340円
社会保険料合計 5万6110円
②所得税
所得税の源泉徴収額は、給与額から社会保険料額を差し引きした金額を国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめると算出します。39万円から社会保険料5万6110円を差し引きした33万3890円の源泉徴収税額は1万1120円です。
③住民税
住民税額の所得割は、(所得金額-所得控除額)×10%、均等割は5000円です。
給与38万円、賞与なしの場合には年収468万円、給与収入468万円の場合の給与所得控除は137万6000円となるため、所得は330万4000円です。
所得控除が基礎控除と社会保険料控除のみとすると、
330万4000円-(43万円+5万6110円×12)=220万680円
住民税の所得割は約22万円となり、均等割5000円を足すと約22.5万円です。これを12分割した1万8750円が給与から天引きされます。
①、②、③より、手取り額は
39万円-(5万6110円+1万1120円+1万8750円)=30万4020円
となり、約30万円であることがわかります。
なお、上記試算はあくまで一例です。家族を扶養しているなど、その他の控除や条件によっても手取りは大きく変わります。
【参考】
協会けんぽ「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」
国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和 5 年分)」
厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」
手取りがいくらかを確認しよう
給与からは税金や社会保険料が控除されるので、手取りとしては思ったより少ないことがあります。就職や転職の際には、手取り額がどれくらいになるかを計算しておきましょう。手取り額が額面の75~85%であることを知っておくと便利です。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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