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23/06/14

資産運用・経済

投資信託に「隠れコスト」があるのは本当?調べ方をプロが解説

投資信託に「隠れコスト」があるのは本当?隠れコストの調べ方をプロが解説

投資信託の主な手数料には、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額の3つがあります。
これらの手数料は投資の前にわかるので、なるべく手数料の安い投資信託を選ぶことが大切ですが、実はこのほかにも「隠れコスト」と呼ばれる手数料があります。
しかもこの隠れコストは、目論見書には表示されていません。
今回は、投資信託の主な手数料とは別にかかる隠れコストの調べ方を解説します。

投資信託にかかる主なコストは3つ

投資信託の主な手数料には、買うときにかかる購入時手数料・持っている間にかかる信託報酬・売るときにかかる信託財産留保額の3つがあります。

●買うときにかかる「購入時手数料」

購入時手数料は、投資信託を購入するときに投資信託の販売会社に支払う手数料です。購入時手数料は、「投資信託の購入金額に対して◯%」という具合に記されています。たとえば、購入時手数料が2%の投資信託を100万円分購入した場合、購入時手数料は2万円です。

購入時手数料はおおむね、0%〜3%の間で設定されています。投資信託の中には、購入時手数料がかからない「ノーロード」と呼ばれる投資信託も多くあります。また、ネット証券などでは、取り扱いのあるすべての投資信託の購入時手数料を無料にしているところもあります。
購入時手数料は販売会社が自由に決められるため、同じ投資信託でも販売会社によって購入時手数料が違うこともあります。購入時手数料があってもなくても、購入できる商品自体はまったく同じものなのですから、購入時手数料はない方がお得です。また、利用する金融機関も、なるべく購入時手数料をとらないところを選んだほうがいいでしょう。

●持っている間にかかる「信託報酬」

信託報酬は、投資信託を持っている間に投資信託の販売会社・運用会社・信託銀行が差し引く手数料です。信託報酬は「年○%」と、年率で記載されていて、投資信託の純資産総額の中から毎日一定の割合で差し引かれていきます。信託報酬はおおよそ、年0.1%〜3%程度になっています。

信託報酬は、3つの手数料のなかでもっとも注意すべきものです。投資信託は数十年にわたって投資・保有することでお金を増やす商品なので、信託報酬が少し違うだけで、投資結果に大きな差を生むからです。もちろん信託報酬も、安いに越したことはありません。

●売るときにかかる「信託財産留保額」

投資信託を売るときにかかる手数料が「信託財産留保額」です。目安としては、投資信託を解約するときの時価(基準価額)に対して0.1〜0.3%ですが、かからない投資信託も多くあります。

信託財産留保額は、厳密には手数料ではありません。なぜなら、投資信託の販売会社・運用会社・信託銀行の利益にならないからです。
投資信託を売るときには、投資信託の中に含まれる株式や債券を現金化するコストが発生します。しかしこのコストを、投資信託を保有継続している他の投資家が負担するのは不公平です。そこで、信託財産留保額を投資信託の運用資産に留保し、他の投資家に還元するのです。したがって、信託財産留保額は、投資信託を長期保有する方にとってはポジティブなコストです。

目論見書に記載されている「その他の費用・手数料」とは?

購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額の3つの手数料は、各投資信託の目論見書に記載されています。たとえば、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の目論見書には、次のように記載されています。

●目論見書に記載されている3つの手数料

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の目論見書より(株)Money&You作成

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の場合、購入時手数料と信託財産留保額はかかりません。信託報酬は「年率0.1144%以内」と示されていて、純資産総額の部分ごとに委託会社・販売会社・受託会社の配分が決まっていることもわかります。
※編注:2023年9月8日よりeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は年0.05775%に引き下げられています。

この目論見書は、投資信託を購入するときに確認します。また、証券会社や銀行などのウェブサイトでも同様の情報が記載されています。したがって、これらの手数料は事前に確認してから投資信託を購入することができる、というわけです。

しかし、この表の下側にもうひとつ、「その他の費用・手数料」という欄があることに気づいたでしょうか。

●その他の費用・手数料

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の目論見書より(株)Money&You作成

その他の費用・手数料は文字どおり、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額以外の費用・手数料です。eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の場合、次のように記載されています。

●eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の「その他の費用・手数料」

以下の費用・手数料についてもファンドが負担します。
・監査法人に支払われるファンドの監査費用
・有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料
・有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用
・外国株式インデックスマザーファンドおよび新興国株式インデックスマザーファンドの換金に伴う信託財産留保額
・その他信託事務の処理にかかる諸費用 等
※上記の費用・手数料については、売買条件等により異なるため、あらかじめ金額または上限額等を記載することはできません。

重要なのは最後の※の文言です。
上記の費用・手数料については、売買条件等により異なるため、あらかじめ金額または上限額等を記載することはできません」。つまり、前もって示すことのできない手数料なので、目論見書にも記載していない、というわけです。これが「隠れコスト」の正体です。

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隠れコストは運用報告書で確認できる

「隠れコスト」と呼びましたが、運用会社は別に隠れコストを意図的に隠しているわけではありません。隠れコストは、投資信託の運用報告書に掲載されています。

●eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の運用報告書

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の運用報告書より(株)Money&You作成

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の場合、
(a)信託報酬 18円 0.114%
(b)売買委託手数料 1円 0.007%
(c)有価証券取引税 2円 0.012%
(d)その他費用 6円 0.037%
合計:27円 0.170%
と記載されています。
このうち、(b)(c)(d)が隠れコストです。つまり、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は1万口あたり18円(年0.114%)ですが、隠れコストも含めた1万口あたりの実質コストは27円(年0.170%)だということです。
1万口あたり27円の手数料で世界の株に分散投資できると考えれば十分に低コストではありますが、実質コストは信託報酬の1.5倍になるというと、高く感じられるかもしれません。

もう1本、「たわらノーロード全世界株式」の運用報告書も見てみましょう。

●たわらノーロード全世界株式の運用報告書

「たわらノーロード全世界株式」の運用報告書より(株)Money&You作成

たわらノーロード全世界株式の場合、
(a)信託報酬 20円 0.132%
(b)売買委託手数料 3円 0.017%
(c)有価証券取引税 5円 0.033%
(d)その他費用 11円 0.070%
合計:39円 0.251%
です。実質コストは信託報酬の2倍近くになっていることがわかります。

信託報酬の比較では、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「たわらノーロード全世界株式」は0.018%と差がほぼないものの、実質コストでは0.081%と差が広がっています。
とはいえ、0.1%未満の軽微な差ではあるのですが、あまり気にする必要はないかもしれません。仮に、実質コストの差が毎年0.1%を超える水準であるならば、実質コストを踏まえて商品選択をされるとよいでしょう。

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隠れコストは年によって変わる

投資信託には、よく言われる購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額のほかにも「隠れコスト」と呼ばれるコストがかかることを紹介しました。では、隠れコストが高く、実質コストの高い投資信託をもし購入していたら、乗り換えた方がいいのでしょうか。

結論からいうと、その必要性は低いでしょう。というのも、隠れコストは毎年変わるケースが多いからです。実質コストが高いからと投資信託を乗り換えても、今度は乗り換え先の投資信託の実質コストが高くなってしまった…ということもありえます。実質コストを気にして何度も投資信託を乗り換えていたら、手間も時間もかかりますし、何より長期投資による複利効果やドルコスト平均法の効果が生かしにくくなってしまいます。ですから、基本的に信託報酬を見て投資信託を選ぶようにすれば問題ないでしょう。

ただ、隠れコストは投資信託のコストであることに変わりはありません。普段投資している投資信託や、これから投資を考えている投資信託については、運用報告書をみて、実質コストがいくらになっているのか、確認しておくといいでしょう。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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