25/08/29
退職金をもらった年はふるさと納税をたくさんした方がいいのは本当か

退職金を受け取った年は、普段よりも所得や税金が多くなるので、「多めにふるさと納税をした方がお得なのでは?」と考える人は少なくありません。ただ、退職金の受け取り方によっては、ふるさと納税を増やしても控除額が大きく増えないケースもあるようです。
そこで今回は、退職金をもらった年はふるさと納税をした方が本当にお得なのか、退職金の受け取り方による控除上限額への影響について解説します。
ふるさと納税のしくみ
ふるさと納税は、応援したい自治体や好きな自治体など自分の選んだ自治体に寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分が、所得税や住民税から控除される「寄附金控除」を受けられる制度です。寄附によって税金を前払いしているような制度なので、厳密には節税にはならないのですが、寄附をすることで寄附額に応じた返礼品を受け取れるので、多くの人に利用されています。
ふるさと納税で寄附金控除を受けられる寄附額には上限があり、その控除上限額を超える寄附分は自己負担となります。また、ふるさと納税の控除上限額は年収や家族構成などにより異なります。課税所得の高い人ほど控除上限額が多くなるので、たくさん寄附できることになります。
税額から控除されるタイミングですが、所得税はふるさと納税をした年の所得税から控除され、住民税は翌年に納める住民税から控除されます。
ふるさと納税によって寄附金控除を受けるには、確定申告を行います。ただし、給与所得者は納税先の自治体が5団体以内であれば、確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」を利用できます。
退職金を受け取った年はふるさと納税を増やすとお得なの?
退職金を受け取った年は所得が増えるので、ふるさと納税を増やせばその分返礼品をたくさんもらえるのではないかと考える人も少なくありません。では、退職金を受け取った年にたくさんふるさと納税をすれば本当にお得になるのでしょうか?
実際のところ、退職金の受け取り方が大きく影響するようです。
●退職金を一時金で受け取る場合
退職金は、税制上では他の所得と区別して扱う「分離課税」になります。また、退職金を一時金で受け取る場合は「退職所得控除」が適用されて、「退職所得」として取り扱われます。
そもそも退職所得控除は控除額が大きくなることが多く、退職所得となるのは退職所得控除後の金額の2分の1のみです。そのため、ふるさと納税の控除上限額が大きく増えるわけではないので、所得税に関してはふるさと納税を増やしてもほとんど影響はありません。
では、住民税の場合はどうでしょうか?退職金を一時金で受け取る場合の住民税は分離課税となり、他の所得と区別して課税されます。また、ふるさと納税における住民税からの控除額は、総所得金額から差し引かれます。そのため、退職金の住民税はふるさと納税では控除されません。
つまり、退職金を一時金で受け取る場合、控除上限額が大きく増えることはありません。また、分離課税で扱われるため住民税は控除対象外となるので、ふるさと納税を増やしても効果は薄いと考えてよいでしょう。
●退職金を年金で受け取る場合
退職金を年金で受け取る場合は「雑所得」となります。給与所得や公的年金など他の所得と合算して「総所得」となり、「総合課税」で扱われます。総所得が増えれば、ふるさと納税の控除上限額も増えるので、ふるさと納税を増やすことで返礼品も多くもらえます。
ただ、退職後の収入によっては、ふるさと納税の控除上限額が増えない可能性があります。退職後も前職と同じくらいの給与がもらえる会社に再就職するなど、収入が変わらなければ効果があるかもしれません。しかし、退職後は働かない場合、あるいは年金生活に入る場合は、今よりも収入が減る可能性があります。退職後の収入が減る見込みのときは、ふるさと納税の控除上限額が増えることはないので、ふるさと納税を増やしても効果は期待できないでしょう。
ふるさと納税の控除上限額を確認しよう
基本的に、ふるさと納税の控除上限額に影響するのは総所得金額です。そのため、退職金の受け取り方や退職後の収入によっては控除上限額が増えません。したがって、ふるさと納税を増やしても意味はないでしょう。
退職金をもらって収入が増えると、ふるさと納税などの制度を使おうと考えるかもしれませんが、大事なのは制度のしくみを理解することです。ふるさと納税の控除額はどのように決まるのか、また、所得控除のしくみはどうなっているのかなど、内容をよく理解したうえで、ふるさと納税を上手に活用しましょう。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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