24/01/10
つみたてNISA、制度開始2018年から6年間でもっとも儲かった商品は?
2018年にスタートしたつみたてNISAは、投資で得られた利益にかかる税金が20年にわたってゼロにできる制度です。しかし、2023年末をもってつみたてNISAでの新規の投資は終了。2024年からは新NISAのつみたて投資枠が同様の役割を担い、投資の利益を無期限で非課税にすることができます。
つみたてNISAの資産は以後も最長20年にわたって非課税で保有が続けられますが、制度としてはひとつの節目を迎えました。
では、これまでつみたてNISAで投資してきた人は、いくらお金を増やせたのでしょうか。6年間でもっとも儲かった商品を調べてみました。
2018年初から2023年末の6年騰落率の第1位は139%!
金融商品の価格は、日々上下しています。金融商品が、一定期間のはじめと終わりでいくら値上がり(値下がり)したかを表す割合を騰落率といいます。たとえば、1年間で1万円の商品が1万1000円に値上がりしたら、1年間の騰落率は+10%。逆に9000円に値下がりしたら−10%というわけです。
つみたてNISAの対象商品は、新NISAのつみたて投資枠の対象商品と同じ。金融庁の定める基準を満たす、手数料が一定以下の投資信託・ETF(上場投資信託)です。本稿執筆時点(2024年1月9日)で、つみたて投資枠の対象商品は280本あります。
投資信託協会のウェブサイトを活用して、2018年1月から2023年12月末までの6年間運用した場合の「6年騰落率」を調べてみました。なお、つみたてNISAスタート後(2018年1月1日以降)に登場した商品は除外しています。
その結果は、次のとおりです。
●つみたてNISA(つみたて投資枠)対象投資信託の6年騰落率ベスト5
第1位:iFree S&P500インデックス 139.58%
第2位:上場インデックスファンド米国株式(S&P500) 138.63%
第3位:iシェアーズ米国株式(S&P500)インデックスファンド 136.43%
第4位:米国株式インデックスファンド 135.95%
第5位:農林中金<パートナーズ>つみたてNISA米国株式S&P500 133.77%
つみたて投資枠の対象商品のなかで、6年間でもっとも儲かった商品は「iFree S&P500インデックス」でした。
6年騰落率の上位の投資信託は、いずれも130%以上と大きな値上がりを見せています。しかも、第5位まですべて米国の株価指数「S&P500」との連動を目指す投資信託でした。ちなみに、第6位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(6年騰落率132.61%)も「CRSP US Total Market Index」という、米国の大中小型株4000銘柄を網羅する株価指数と連動を目指す投資信託ですから、この6年間は米国株が強かったといえます。
もっとも、国内株など、他の資産に投資する投資信託でも6年騰落率は総じて上昇しています。もちろん、投資信託は元本保証のない投資商品です。しかし、2018年からつみたてNISAに取り組んできた方の多くは、利益を出せている状態だといえるでしょう。
同様に、3年・5年・10年騰落率も調べてみました。
●つみたてNISA(つみたて投資枠)対象投資信託の3年騰落率ベスト5
第1位:iFreeNEXT FANG+インデックス 98.84%
第2位:iFreeNEXT NASDAQ100インデックス 85.61%
第3位:eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 84.05%
第4位:つみたて米国株式(S&P500) 83.36%
第5位:SBI・V・S&P500インデックスファンド 83.31%
(※2021年1月1日以降に登場した商品を除外)
2021年〜2023年の3年間でもっとも儲かった商品は「iFreeNEXT FANG+インデックス」。Facebook、Amazon、Netflix、Googleの4銘柄を含む10銘柄で構成された指標「NYSE FANG+」との連動を目指す投資信託です。2位のiFreeNEXT NASDAQ100インデックスもパフォーマンスがよくて話題の米国株指標「NASDAQ100」との連動を目指す投資信託です。この2本は、以前から商品としてあったものの、2023年10月からつみたてNISAで投資できるようになったためランキングに入ってきました。
●つみたてNISA(つみたて投資枠)対象投資信託の5年騰落率ベスト5
第1位:iFreeNEXT FANG+インデックス 323.23%
第2位:iFreeNEXT NASDAQ100インデックス 202.62%
第3位:eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 130.77%
第4位:iFree S&P500インデックス 129.44%
第5位:上場インデックスファンド米国株式(S&P500)129.14%
(※2019年1月1日以降に登場した商品を除外)
5年騰落率でも「iFree…」の2本が飛び抜けています。パフォーマンスは確かによいのですが、リスクも相応に高いこと、信託報酬はiFreeNEXT FANG+インデックスが0.7755%、iFreeNEXT NASDAQ100が0.495%と比較的高いことには注意が必要です。その点、第3位の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は0.09372%の非常に安い信託報酬で米国への分散投資が可能です。
●つみたてNISA(つみたて投資枠)対象投資信託の10年騰落率ベスト5
第1位:上場インデックスファンド米国株式(S&P500)312.83%
第2位:iシェアーズ米国株式(S&P500)インデックスファンド 300.09%
第3位:フィデリティ・米国優良株ファンド 262.24%
第4位:eMAXIS NYダウインデックス 258.00%
第5位:東京海上セレクション・外国株式インデックス 226.66%
(※2014年1月1日以降に登場した商品を除外)
以上、データは投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より
10年騰落率となると、単純に10年以上前に登場した商品ですので、顔ぶれがだいぶ変わります。しかし、総じて米国が強かったことは事実です。
株式の騰落率の場合は、「昨日は下がった」「今日は上がった」などと、1日単位の騰落率が話題になりますが、投資信託では長期間コツコツと投資をすることが多い(新NISAのつみたて投資枠はまさにそうした投資です)ので、長期間の騰落率を見ることが大切です。長期間かけて大きな成果を出せているという結果は、ひとつの安心材料かもしれません。
新NISAは2024年スタートがおすすめ!
投資信託で3年・5年・6年・10年投資を続けてきた場合の騰落率を紹介してきました。今回は第5位までのデータを紹介しましたが、その他の商品を買っていたとしても、多くの場合お金を増やせていたと考えられます。
新NISAのつみたて投資枠を活用すれば、長期・積立・分散投資をしながら非課税のメリットも得られます。堅実にお金を増やせるでしょう。
投資を長く続けるには、早く始めることが一番です。新NISAをさっそくスタートして、長期でしっかりお金を貯めていきましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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