20/06/17
年収500万円のサラリーマンでも13万円以上減らせる! マジでお得な節税5選
税金で一番気になるのは、自分の手取り収入がどう変化するかです。2020年は基礎控除と給与所得控除が改正になり、収入は同じでも手取り収入が減るという人も出てきました。サラリーマンだから節税できないと思っているあなた、控除対象を改めてチェックしてみましょう。まだまだ節税ができるかもしれません。
今回は、年収500万円のAさんの場合をいっしょに見ていきましょう。
所得税額が決まる仕組み
サラリーマンが会社からもらう収入は、給与収入といい、「年収」と呼ばれています。所得税額を計算するときは、まずその年収からサラリーマンの必要経費分の「給与所得控除」を差し引きます。この年収から給与所得控除を差し引いた金額を「給与所得」といいます。
給与所得控除の額は、年収によって変わります。以下の表のとおりに計算されます。
Aさんの場合、年収は500万円ですので、
給与所得控除 500万円×20%+44万円=144万円
給与所得 500万円-144万円=356万円
給与所得控除は144万円、給与所得は356万円になります。
また、社会保険料は、15%として計算すると、75万円です(2020年東京都40歳以上の場合:健康保険料11.66%、厚生年金保険料18.3%を労使折半)。
次に、給与所得から、家族の人数や加入している保険など個人の状況を考慮して、給与所得から所得控除がされます。給与所得から所得控除されたものを「課税所得」といい、この金額に税率をかけて、所得税額が決まります。
以上の流れを図にまとめると、次のようになります。
ですから、手取り収入を増やすには、いかに所得控除や税額控除を増やせるかにかかっているのです。
Aさんの節税額はどのくらい?
Aさんが所得控除や税額控除を増やす手段にはどんなものがあるでしょうか。具体的には、以下の5つが考えられます。
●お得な節税1:ふるさと納税
ふるさと納税は、所得控除のうちの寄附金控除です。税金を納める自治体と、その使い道を指定できる税金です。社会貢献ができて、寄付した自治体から返礼品がもらえ、寄附金控除を使うことによって税金が安くなります。たとえば、1万円寄付した場合、8000円分税金が安くなり、自己負担は2000円ですみます。自己負担が2000円ですむ上限は、住民税所得割の2割までです。
総務省のふるさと納税ポータルサイトでは、全額控除される納税額(年間上限)の目安が掲載されています。もし、Aさんが他に所得控除を受けていなければ、6万1000円が上限になります。自己負担は2000円ですから、税金は5万9000円安くできます。
また、次に紹介する「お得な節税2~5」の所得控除を利用したうえでふるさと納税をすれば、税金は4万8000円節税できます。とはいえ、あくまで目安なので、正確な金額はお住まいの自治体等にお問合せください。
なお、住宅ローン控除やその他の控除を利用している場合には、課税対象額が減り、ふるさと納税の上限額が変わるので気をつけましょう。
●お得な節税2:個人型確定拠出年金(iDeCo)
老後資金を目的として積み立てる年金に、個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)があります。その掛金は、小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除にできるので、所得税と住民税の負担が軽減できます。サラリーマンの場合には、企業年金があるかないかで、掛金が変わってきます。企業年金がない場合には月額2.3万円(年27.6万円)、企業年金がある場合には月額1.2万円(年14.4万円)が上限になります。
Aさんの所得税・住民税の税率はともに10%。もしAさんが企業年金のない会社員で、年額27万6000円拠出していたとしたら、あわせて5万5200円節税できます。
●お得な節税3:生命保険料控除
病気やケガや介護、万一の場合に備える生命保険の保険料も所得控除できます。対象となる保険は、死亡保険などの「一般生命保険料」、医療保険やがん保険などの「介護医療保険料」、「個人年金保険料」です。2012年1月1日以降の生命保険料控除を全額利用したとすれば、所得税で12万円、住民税で7万円が控除されます。
Aさんは生命保険料控除を上限まで利用しているとすると、所得税の税率が10%の場合、1万9000円節税できます。
●お得な節税4:地震保険料控除
地震保険は、居住用の建物や生活用の家財を対象とする保険契約です。もし、賃貸契約で建物を所有していない人でも、家財に地震保険をかければ地震保険料控除を受けることができます。1年に支払った地震保険料の額に応じて一定額を所得から差し引きます。所得税では最高額5万円、住民税では最高2万5000円の控除ができます。
Aさんは、地震保険料控除も上限まで利用しているとします。所得税の税率が10%の場合、7500円節税できます。
●お得な節税5:医療費控除・セルフメディケーション税制
1月1日から12月31日までの1年間で、家族の医療費が高額になった場合には、医療費控除を確定申告すると、納めた所得税が戻ってきて、住民税は減額されます。実質的に支払った金額が原則10万円を超えた場合に利用できます。控除の上限は200万円までです。
また、健康診断や予防接種を受けている人が、1年間に合計1万2000円を超えるスイッチOTC医薬品の購入をした場合には、セルフメディケーション税制が使えます。こちらは控除の上限は8万8000円です。
Aさんは、その年病気で入院したので、医療費がかさみ年間15万円支出しました。Aさんの場合には、支払った15万円から10万円を差し引いた5万円が医療費控除の対象額になります。所得税率が10%なら1万円節税できます。
所得税と住民税はどのくらい軽減される?
同じ所得控除といっても、所得税と住民税では金額が違うものがあります。社会保険料控除と基礎控除を除いた部分で所得控除して税金がどれだけ減らせるのか見てみましょう。
●所得控除がない場合
所得税 233万円×10%-9万7500円=13万5500円
住民税 248万円×10%=24万8000円(所得割) 5000円(均等割)
合計納税金額 38万8500円
●所得控除やふるさと納税がある場合
所得税 183万4000円×5%=9万1700円
住民税 205万9000円×10%=20万5900円
20万5900円-4万8000円(ふるさと納税分)=15万7900円(所得割)
5000円(均等割)
合計納税金額 25万4600円
所得税の金額は、課税所得に税率をかけ、そこから控除額を差し引いて求めます。
所得控除をフル活用したことで、Aさんの課税所得は233万円から183万4000円に減少しました。これによって、Aさんの所得税の税率は10%から5%に下がることになります。その結果、所得税で4万3800円税金が軽減できます。
さらに住民税においては、所得控除のほかにふるさと納税も利用したので、9万100円税金を減らすことができました。
結果的にAさんは、所得控除を上手に利用することによって、所得税と住民税を合わせて合計13万3900円節税できたことになります。
まとめ
このほかにも要件に該当すれば、特定支出控除や住宅ローン控除が利用できます。サラリーマンといえども、10万円以上の節税ができる可能性があります。
国税庁の調査によれば、年末調整を行った人の割合が90.3%でした(平成30年分民間給与実態統計調査)。生命保険料控除の平均は6万6600円、地震保険料控除は平均1万6000円でした。積もり積もれば大きな金額になります。今まであまり節税を気に留めなかった人でも、年末調整や確定申告の際には興味が持てるかもしれませんね。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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