19/11/25
Duty Free とTax Freeってどう違う? 海外で本当にお得に買い物する方法
海外旅行へ行く際に、空港のDuty Freeショップで化粧品やブランド物のショッピングを楽しむという方は多いはず。そして目的地に着くと、Tax Freeの看板を掲げるお店をたくさん見かけます。日本でも“Japan Tax-free Shop”を掲げるデパートやドラッグストアがありますね。
ところで、Duty Free とTax Freeってどう違うのでしょうか。海外でお得に買い物する方法と一緒にご紹介します。
Duty FreeとTax Freeの違いは?
Duty FreeとTax Freeとの違いは、免税となっている税目の種類です。税目とは、税金の種類のことです。所得税、関税、酒税やたばこ税など、世の中には様々な税目がありますね。
Duty Freeは一般に、あらゆる税目が全く課されていない状態を指します。空港等にあるDuty Free店は、国内へ輸入される前の商品を取り扱っています。Duty Free店で取り扱われている商品は、いかなる国の関税、酒税、たばこ税、消費税等の税もかかっていない状態です。
いっぽうTax Freeは一般に、その国の付加価値税(消費税や売上税等)だけが免税となる状態を指します。商品は輸入された時に関税が発生し、輸入した業者が酒税やたばこ税を負担します。各国内で小売りされている商品の価格には、既にこれらの税が反映されているのです。
しかし消費税は、国内消費に対して課されるのが前提です。ですので、国内で消費しない…つまり、購入後そのまま国外へ持ち出す場合には、消費税だけは免税となります。
日本人へ来る外国人観光客が、日本の消費税を負担せずにTax Freeショッピングを楽しめるのは、このカラクリです。そのため、日本に住んでいる日本人は、日本において消費税の免税制度は利用できません。日本の居住者である以上、日本での消費が前提となるからです。
逆に、日本人が海外旅行をする際には、Tax Freeショッピングを楽しむことができる、というわけです。
海外でTax Freeショッピングを楽しむには
日本人がTax Freeショッピングを楽しむには、海外に行き、現地の免税(Tax Free)店を訪れる方法があります。
日本政府観光局の公表資料によると、2018年の日本人の渡航数ランキングは以下のとおりでした。
1位…アメリカ合衆国
2位…中国(2017年実績より推定)
3位…韓国
4位…台湾
5位…タイ
中国、韓国や台湾においては、付加価値税の免税措置があります。手続きは国や店舗によって異なりますが、市中ですぐさま還付を受けたり、いったん税を支払い空港で還付の手続きを受けたりできます。
いっぽうアメリカ合衆国には、国としての付加価値税が存在しません。その代わりに、各州・各市が独自の売上税(Sales Tax)を設置しています。残念ながら外国人旅行客への免税措置を講じているのはごくごく一部(ルイジアナ州やワシントン州等)。さらに、免税措置を受けるには申告書が必要となる等、手続きが煩雑です。
そのうえ、日本人に人気の渡航先は売上税が高いこともあります。ニューヨーク市は8.875%、サンフランシスコ市は8.5%。これらは、アメリカの中でも最も売上税の高い地域なのです。
売上税のないアメリカの州がとにかくお得で狙い目!
では、アメリカでお得にショッピングをするには、どうすればいいのでしょうか。
すでに紹介したとおり、売上税は各州・各市の租税です。ですから、売上税のない州もあるのです。そういったところに行けば、何の手続きもせずにTax Freeのショッピングが楽しめることになります。
しかもアメリカでは、販売価格そのものが安くなっていることもメリット。それは世界中のサプライチェーンが、アメリカのマーケットに最適化されているためです。アメリカがいまだに世界最大の消費国家といわれる所以です。
つまり、アメリカブランドをアメリカで、かつ売上税のない州で購入すると、売上税を負担せず、手続きもせずに、楽にお得なショッピングができるのです。
具体的に日本でも人気のあるアメリカブランドを列挙すると、Ralph Lauren、Calvin Klein、Gap、Coach、Tommy Hilfiger、Old Navy等がありますね。これらのアパレル商品をアメリカで買う場合、日本と比べて30%以上価格が安くなることもあります。
本稿執筆時点(2019年11月)、売上税のかからないアメリカの州は、デラウェア州、モンタナ州、ニューハンプシャー州、オレゴン州の4州です。次の旅行の目的地として、ぜひこれらの州を検討してみてください。
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ワタナベマリア 税制ライター
香港在住の税制ライター。過去に東京、ニューヨーク、香港にて国際税務アドバイザリーの仕事を経験。比較税制のおもしろさを広めようと執筆を始める。法学修士(香港大学)。慶應義塾大学法学部卒。趣味はウクレレ。新米ママとして、子育てに奮闘中。
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