19/07/05
【歴女の投資術】29期連続増配の優等生銘柄!花王を3つの視点でチェック
歴女の投資ファイル 13の巻 花王<4452>
小さなベンチャー企業が、これまでなかった独創的なサービスや商品を世に送り出し、大企業へと成長するー。
投資で勝つにはまずは歴史から。このシリーズでは、様々な企業(銘柄)の歴史をご紹介致します。
その1:29期連続増配の優等生銘柄
花王は、化粧品、スキンケア、洗濯洗剤などで知られるトイレタリー国内首位の企業です。
株式投資で、長期で保有する投資家が最も重要視しているのが配当です。配当とは企業が利益の一部を株主に還元する(配る)こと。その配当額を増やすことを「増配」といいます。配当を増やせる企業は稼ぐ力やその持続性に自信があるという表れです。花王は29年間連続! で、その配当を増額し続けています。
長期投資の対象として花王には安心感と魅力がありますね。
その2:高級石鹸に生涯をかけたカリスマ
株式市場の優等生・花王の創業者・長瀬富郎氏は、1863年、岐阜県恵那郡福岡村の造り酒屋に生まれました。
12歳で親戚の塩問屋兼荒物雑貨商「若松屋」に奉公に入り、若干17歳で支店を任されます。
しかし、独立心旺盛な富郎は、明治18年(1885年)に上京し、150円(現在の500万円相当)を元手に米相場に投資しますが、大失敗。無一文となり、富郎は「堅実に生きる」ことを人生に誓います。
日本橋の馬喰町の和洋小間物商「伊能商店」に勤務した富郎は、そこで外国産の石鹸と出会います。
当時の馬喰町は、舶来品を扱う問屋が軒を連ねていました。
コーヒー、靴、洋傘……、中でも特に人気の高い石鹸に富郎は「これだ!」と目をつけ、独立して馬喰町の裏通りに「長瀬商店」を開き、石鹸の卸売を始めます。
いざ自分の店を始めてみると、舶来品の石鹸はよく売れるのに、国内品は顔を洗うと肌が荒れる粗悪品ばかりで安くても売れないことに気づきました。
これではダメだ、国産の質の良い石鹸を作ろう! と富郎は高級石鹸を作ることを決意。
日々研究に没頭し、明治23年(1890年)、ついに新製品を完成させます。
富郎はネーミングにもこだわり、「顔(カオ)石鹸」→「花王(カオウ)石鹸」と名付けます。現在の花王の月のマークのロゴは、この時富郎が考案した花王石鹸のラベルに使ったものです。「美と清浄のシンボル」として半月が描かれ、その口から「花王石鹸」の文字が出る粋なデザインとなっています。
上質紙で巻いた桐箱入りの花王石鹸は贈答用として大ヒット、富郎は驚異的な成功を収めます。
富郎は明治44年(1911年)、48歳でその生涯を閉じます。
石鹸からスタートした彼の事業は、現在では売上高15兆5000億円を誇る巨大企業・花王へと発展していったのです。
その3:好調な業績を追い風に株価も右肩上がり
(出所:ヤフーファイナンス )
花王は、2018年12月期は過去最高益を更新(6期連続営業最高益)し、29連続となる増配を実施しました。
2019年12月期の会社予想は売上高1兆5800億円(前期比+4.8%)、営業利益2250億円(+8.3%)、配当金は10円プラスの130円の増配としています。
ここ数年、株価は好調な業績を追い風にキレイな右肩上がりとなっています。足元では決算の好調や自社株買い(株主還元の施策の一つ)を受けて5月28日には9033円まで上昇しました。
花王の企業理念は「花王ウェイ」。
富郎の遺言に由来する「よきモノづくり」「絶えざる革新」「正道を歩む」を基本の価値観としています。
花王は、中期経営計画「K20」で、2030年までに売上高2.5兆円の目標を掲げ、さらなる躍進を目指しています。
*本記事で紹介する個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。購入する場合は自己責任でお願い致します。
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岡田 禎子 「投資は面白い」がモットーなFP日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴しさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆とセミナーなどで活動中。
TVドラマ「インベスターZ」の脚本協力なども行なっています。
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