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23/07/13

相続・税金・年金

年金を平均額もらえる人の手取りはいくらになるのか

年金を平均額もらえる人の手取りはいくらになるのか

年金を「平均額程度」もらえたら、人並みの生活ができると安心するかもしれません。実際のところ、平均額程度の年金の手取りとはどれくらいなのでしょうか?今回は、年金の平均受給額や手取りについて説明します。

年金の平均受給額は?

厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2017年度(平成29年度)から2021年度(令和3年度)の厚生年金第1号受給権者(民間企業のサラリーマンだった人)の平均年金月額は、次のとおりです。

●厚生年金の平均年金月額(国民年金を含む)

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成

上の表の金額には、厚生年金だけでなく、国民年金(老齢基礎年金)も含まれています。会社員だった人の平均的な年金額は月額14.4万円と考えてよいでしょう。

年金からも天引きされるお金がある

年金額が月額14.4万円と言っても、その金額をそのままもらえるわけではありません。年金からは以下のようなお金が差し引きされます。

●所得税

年金は雑所得となります。65歳未満で年金年額108万円超、65歳以上で年金年額158万円超の人は、所得税及び復興所得税が年金から源泉徴収されます。

●住民税

年金には住民税もかかります。年金額18万円以上で特別徴収の対象となり、年金額から住民税が天引きされます。

●社会保険料

公的医療保険(国民健康保険または後期高齢者医療制度)の保険料及び介護保険料は、年金から天引きされます。

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年金が平均額程度の人の手取り額は?

東京都渋谷区在住、67歳で年金が月額14.4万円、単身世帯、他には収入がないものとして手取り額を大まかに計算してみます。

年金月額14.4万円の場合、年額では約173万円です。公的年金等控除110万円を差し引きすると、雑所得は63万円となります。この場合、社会保険料、所得税、住民税の計算方法及び手取り額は次のとおりです。

①国民健康保険料
国民健康保険料の基礎控除は43万円なので、所得額63万円から43万円を差し引いた20万円をもとに算定します。「令和5年度特別区国民健康保険一覧表」より、以下のようになります。

【基礎賦課分】
均等割4万5000円、所得割7.17%
→4万5000円×1人+20万円×7.17%=5万9340円

【後期高齢者支援金等賦課分】
均等割1万5100円、所得割2.42%
→1万5100円×1人+20万円×2.42%=1万9940円

【国民健康保険料の合計】
5万9340円+1万9940円=7万9280円(年額)

②介護保険料
第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は条例で定められており、住民税の課税状況によって変わります。合計所得金額63万円の場合、7万2200円(年額)となります。(渋谷区の令和5年の介護保険料額より)

③所得税及び復興所得税
雑所得63万円の場合、5.105%が源泉徴収されるため、源泉徴収額は

63万円×5.105%=3万2161円

となります。

なお、所得控除の額は次のとおりです。
・基礎控除 48万円
・社会保険料控除 
7万9280円(国民健康保険料)+7万2200円(介護保険料)=15万1480円

所得控除合計 48万円+15万1480円=63万1480円

所得控除額が所得金額63万円を上回っているため、所得税はかかりません。源泉徴収された税金は、確定申告により全額還付を受けられます。

④住民税
住民税の基礎控除は43万円、社会保険料控除が15万1480円なので、所得控除は58万1480円となります。

63万円(所得金額)-58万1480円(所得控除)=4万8520円

所得割額 4万8520円×10%≒4800円
均等割額 5000円

住民税合計 9800円

以上より、年金の手取り額(年額)は

173万円-15万1480円(社会保険料)-9800円(住民税)=156万8720円

となります。1か月あたりで考えると13万720円です。

なお、所得税・復興所得税は確定申告により還付されるものの、源泉徴収されますので、考慮しておく必要があります。年額3万2161円なので、1か月あたり2680円となり、1か月の手取りは13万円を下回ります。

まとめ

年金の平均受給額は月額14.4万円ですが、手取りにすると13万円を下回ることもあります。また、年金の振込は2か月に1回です。年金生活になると、給料を毎月もらっていたときとは事情が変わってきます。老後資金を増やすことも大事ですが、生活費の管理方法を工夫することも必要です。

森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー

Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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