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22/11/26

相続・税金・年金

失業手当と厚生年金を一切減額なしで両方受け取る方法

失業手当と厚生年金を一切減額なしで両方受け取る方法

定年退職する年齢は、60歳の場合もあれば、65歳の場合もあります。最近では、元気なシニアが多く、退職した後、失業手当をもらいながら、次に働く会社を探す方が多いのではないでしょうか。年金と失業手当は年齢によって調整されることがありますが、そうならない場合もあります。

今回は、厚生年金と失業手当、どちらも減額なしでもらうにはどうしたらよいかを詳しく説明します。

雇用保険の失業手当(基本手当)がもらえる条件は?

雇用保険から給付されるものの中に「失業手当(基本手当)」があります。失業手当とは、雇用保険に加入していた人が、65歳の誕生日の前日までに退職をした場合、新しい仕事を探す期間の生活を支える目的で、雇用保険からもらえる給付です。

失業手当は、会社の倒産、自己都合、定年など失業になった理由に関係なくもらえるお金。離職後1年以内にお住まいを管轄するハローワークで求職を申し込み、「失業の状態」と認定されるともらえます。
ただし、失業手当は、自己都合や定年などで退職した場合、退職前2年間で11日以上働いた月が12か月以上ないともらえません。

●失業手当(基本手当)がもらえる日数は?

失業手当がもらえる日数のことを「所定給付日数」といいます。所定給付日数は、離職の理由が自己都合や定年の場合と、倒産や解雇などの場合で異なります。さらに、所定給付日数には、雇用保険に加入している期間(被保険者期間)なども影響します。

65歳未満で自己都合や定年で会社を辞めた人の所定給付日数は、次のとおりです。

【被保険者期間が1年以上10年未満】 所定給付日数:90日
【被保険者期間が10年以上20年未満】所定給付日数:120日
【被保険者期間が20年以上】 所定給付日数:150日

たとえば、定年退職で20年以上の被保険者期間がある人の場合、所定給付日数が150日となります。

60~65歳までもらえる「特別支給の老齢厚生年金」

老齢年金は一定の要件を満たした人が、原則、65歳以上からもらえます。しかし、例外的に60~65歳までであれば「特別支給の老齢厚生年金」という年金がもらえる場合もあります。

特別支給の老齢厚生年金とは、1985年(昭和60年)の法律改正で、厚生年金保険の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことで始まった制度です。特別支給の老齢厚生年金は、受給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げることを目的につくられました。
特別支給の老齢厚生年金には、報酬比例部分と定額部分があり、生年月日と性別に応じて、それぞれ受給開始年齢が異なります。対象になるのは、男性であれば、1961年(昭和36年)4月1日以前に生まれた人まで。女性であれば、1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた人までです。

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失業手当と老齢厚生年金は65歳を境に調整方法が変わる

失業手当と老齢厚生年金をもらう場合、65歳の前と後で、給付が調整される場合があります。年齢ごとにどのような調整があるのか解説します。

●65歳未満で退職

失業手当は、特別支給の老齢厚生年金と同時にもらえないルールになっており、給付が調整されます。老齢基礎年金は、60~65歳になるまでの間、希望すればもらえます。しかし、年金は原則として65歳からもらうもの。老齢基礎年金をもらう場合は繰り上げ受給となるため、年金額が減ってしまう点には注意しましょう。

●65歳以降に退職

65歳になれば、65歳未満のときのような、老齢厚生年金と失業手当との給付調整はなく、どちらももらえます。老齢基礎年金も、65歳以降は通常どおりもらえます。

ただ、65歳以降になってから退職した場合にもらう失業手当は、65歳未満がもらう失業手当ではなく、「高年齢求職者給付金」という一時金へと変わります。

高年齢求職者給付金は、65歳以降の失業者を対象とした給付金です。所定給付日数の30~50日分がもらえます。65歳未満であれば基本手当の所定給付日数は最大150日分ですから、高年齢求職者給付金になることで、最大100~120日分ほど、もらえるお金が少なくなります。

●64歳で退職して、失業手当を65歳以降にもらうと?

高年齢求職者給付金ではなく、失業手当を最大限もらいたいと考える場合は、64歳11か月で会社を退職して、65歳以降にハローワークに求職の申込みをするという方法があります。

失業手当は、65歳に達する前までに退職日があれば、受給資格を得ることができます。ですから、64歳11か月で退職し、65歳以後に求職の申込みを行い、7日後に失業の認定を受ければ、基本手当が通常どおり支払われることになります。失業手当の金額は、高年齢求職者給付金よりも多くできるでしょう。

ただし、64歳11か月で会社を退職することになれば、雇用契約満了まで在籍せずに退職したことになります。その場合、自己都合退職になるため、求職の申込みをしてから基本手当もらうまでには2か月間の給付制限期間があります。
また、就業規則で、65歳での退職は定年退職、それ以前の退職は自己都合退職と決められている場合、会社の給与や退職金で不利になることがあることには注意しましょう。

まとめ

失業手当と年金の関係のみに焦点をあてると、64歳11か月で会社を退職して、65歳以降に求職の申込みをするという方法は有効です。しかし、雇用契約が65歳到達時点で満了するまで在職することで、退職金などに影響がでる場合、基本手当を最大限もらうことにこだわらない方がよい場合もあります。それぞれの状況を考え、自分にとってどうするのがベターなのかを検討しましょう。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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