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21/12/01

相続・税金・年金

30歳・40歳・50歳で早期リタイアしたら、将来の年金はいくら減る?

最近話題の「FIRE」(経済的自立と早期リタイア)では、資産運用で得た不労所得で生活をすることで、仕事を早めに退職して自由な時間を得ることを目指しています。FIREに憧れる方もいるでしょう。しかし、早期リタイアすると年金が減ってしまうことは、意外と盲点なのではないでしょうか。
今回は、30歳・40歳・50歳で早期リタイアした場合に、年金がどのくらい減ってしまうのか、ご紹介します。

受け取れる年金額を計算する3つのポイント

日本の公的年金には、20歳から60歳までのすべての人が加入する国民年金と、会社員や公務員が勤務先を通じて加入する厚生年金の2つがあります。

会社員や公務員は、国民年金と厚生年金の両方に加入しています。そして原則65歳から、老齢年金を受け取れます。国民年金から受け取れる老齢年金を「老齢基礎年金」、厚生年金から受け取れる老齢年金を「老齢厚生年金」といいます。

30歳・40歳・50歳で早期リタイアした場合の年金額を理解するために押さえておきたい、受け取れる年金額を計算する3つのポイントを紹介します。

●①老齢基礎年金と老齢厚生年金の計算方法は違う

老齢基礎年金は、20歳〜60歳までの40年間(480ヶ月)国民年金保険料を支払うことで、年金を満額受け取ることができます。老齢基礎年金の2021年度の満額は78万900円。年によって多少前後します。なお、何らかの理由で保険料を納めておらず、払込期間が40年に満たない場合は、その分減額されます。

それに対して、老齢厚生年金の金額はおおよそ「平均年収÷12×5.481/1000×加入月数」という式で計算できます。老齢基礎年金と違って、老齢厚生年金の金額には平均年収が関係します。平均年収・加入月数が多いと受け取れる年金額も増えます。

●②早期リタイアしても国民年金には加入する義務がある

会社員や公務員は国民年金の第2号被保険者といって、毎月の給与から厚生年金保険料(国民年金保険料を含む)を支払っています。勤め先を辞めて早期リタイアすると、国民年金の第1号被保険者に変わります。第1号被保険者は、60歳になるまでは国民年金に加入し、国民年金保険料を支払う義務があります。国民年金保険料は月1万6610円(2021年度)。こちらも年によって多少前後します。とはいえ、40年間国民年金保険料を納めていれば誰でも、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。

一方、厚生年金には加入しなくなるので、厚生年金保険料も支払いません。そうなると、厚生年金の加入月数も増えませんし、将来の老齢厚生年金も増えないことになります。

●③年収が762万円以上に増えても老齢厚生年金は増えない

老齢厚生年金の金額は、平均年収が増えると増えるわけですが、それは年収762万円までの話。年収が762万円以上になっても、老齢厚生年金の金額は増えません。厚生年金保険料などの社会保険料を算出するときに用いる「標準報酬月額」に上限があるからです。

標準報酬月額は、毎年4月〜6月の給与の平均額(報酬月額)をもとにして決定します。標準報酬月額は全部で32段階に分かれているのですが、そのなかでもっとも高い32等級の標準報酬月額が65万円となっているのです。等級が高いほど、納める保険料が増え、将来もらえる年金が増えるしくみです。

報酬月額63.5万円以上の人は、みな32等級に該当します。ですから、63.5万円×12=年収762万円以上ならば、たとえ年収1000万円でも2000万円でも、支払う厚生年金保険料も増える公的年金の金額も同じになります。

なお、厚生年金は70歳まで加入できます。加入期間が長くなると、受け取れる老齢厚生年金の金額は増えます。

30歳・40歳・50歳で早期リタイアすると年金はいくら減る

30歳・40歳・50歳で早期リタイアすると年金はいくら減るかを確認するために、まずは年収別の65歳時点でもらえる年金額をチェックしましょう。
20歳から60歳までの40年間国民年金保険料を納め、23歳から65歳までの43年間厚生年金に加入した場合、65歳時点でもらえる年金額の合計・月額は次のとおりです。

●年収別 65歳時点でもらえる年金額

・年収200万円:年約126.2万円(月約10.5万円)
・年収300万円:年約151.6万円(月約12.6万円)
・年収400万円:年約174.2万円(月約14.5万円)
・年収500万円:年約194.0万円(月約16.1万円)
・年収600万円:年約219.5万円(月約18.3万円)
・年収700万円:年約245.0万円(月約20.4万円)
・年収762万円以上:年約261.9万円(月約21.8万円)

では、30歳・40歳・50歳で早期リタイアすると、どうなるでしょうか。
30歳・40歳・50歳で早期リタイアし、以後は厚生年金に加入しなかった場合、65歳時点で受け取れる年金額は、次のようになります。

●30歳・40歳・50歳で早期リタイアした場合の年金額

筆者作成

左の表は、30歳・40歳・50歳・60歳・65歳まで厚生年金に加入していた場合に、65歳時点で受け取れる年金額(国民年金を含む)です。そして右の表は、65歳時点の年金額と30歳〜60歳までの年金額の差額です。

平均年収500万円の場合、65歳まで厚生年金に加入していれば年194万円受け取れるのに対し、30歳で早期リタイアしてしまうと年金額は年99.7万円に。94.4万円も少なくなってしまうのです。
年収が高くなるほど、早期リタイアした場合の年金額の減り幅も大きくなります。もっとも高い年収762万円以上の人が30歳で早期リタイアすると、実に年約150万円も年金額が減ってしまうのです。

FIREの早期リタイアは、億万長者になることを目指すのではなく、生活費を資産運用で得られた収入でまかなうことを目指すものです。早期リタイアをする場合は、もしも資産運用がうまく行かなくなったとき、その減った年金で生活していけるのかを考えておく必要があるでしょう。

年金額を後から増やすことはできる?

年金には「繰下げ受給」というしくみがあります。原則65歳から受け取れる年金の受け取り開始時期を遅らせることで、受け取れる年金額を増やすことができます。
繰り下げ受給では、65歳から1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%ずつ増えます。2022年4月以降は、最大で75歳まで繰り下げることで年金額が84%増やせます。

年金をすぐに受給せずに、繰下げ受給を行うことで、後から将来の年金額を増やせるというわけです。

●早期リタイアでも年金の繰り下げで年金額が増やせる

筆者作成

たとえば、平均年収300万円の人が50歳で早期リタイアした場合、65歳から受け取れる年金額は126万円です。しかし、これを70歳まで繰り下げると178.9万円、75歳まで繰り下げると231.8万円に増やすことができるのです。

同様に、
・平均年収500万円の人が40歳で早期リタイアした場合の年金額:126.6万円
→70歳まで繰り下げると179.8万円、75歳まで繰り下げると233万円
・平均年収700万円の人が30歳で早期リタイアした場合の年金額:109.1万円
→70歳まで繰り下げると155万円、75歳まで繰り下げると200.8万円

という具合に、後からでも年金額を増やすことができます。

もちろん、年金を繰り下げている間は年金が受け取れないので、その分長く資産運用をして収入をまかなう必要があります。しかし、年金を増やせていれば、いざ年金を受け取り始めたときに、資産運用に頼る度合いが少なくて済みます。

しかも、資産運用の結果は市場次第でどうなるかわかりませんが、年金の繰下げ受給は確実にお金が増やせますし、受け取りを開始すれば以後はその増えた金額が一生続きます。

まとめ

FIREブームの中、「早期リタイアしたい!」と考えている方もいるでしょう。ただ、早期リタイアには将来の年金が減るリスクも伴います。早期リタイアを目指すのであれば、減ってしまう年金をどう補うのかをよく考えておきましょう。

今回の内容は動画でも紹介しています。よろしければご視聴ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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