19/01/15
夫の浮気にウンザリした39歳主婦、離婚後のマネープランとその後
人生とお金の相談ダイアリー
今回ご紹介するマネー相談事例は、ファイナンシャルプランナーの稲村優貴子さんのところに実際にあった相談事例です。稲村優貴子さんは、ファイナンシャルプランナーとして家計、ローン、結婚、離婚、転職、リストラ、保険などお金にまつわる相談に15年・3000件以上応じています。
人生にはドラマのようなことが起こりえるもの。2度の浮気もまたしかり。
今回は、39歳主婦、美奈子さん(仮名)の相談事例をご紹介します。
▼美奈子さんのプロフィール
年齢:女性 39歳(既婚)
職業:パート(26歳まで夫と同じ会社に勤務し寿退社。現在は月収8万円、扶養の範囲内で働いている)
住居:2LDKアパート(地方都市)
貯蓄:世帯として400万円、独身の頃の貯金200万円(夫には内緒)
家族構成:夫 42歳(会社員・手取り月28万円(住宅手当て含む)、ボーナス40万円年2回)、長女12歳(小学校6年生)
月の支出:28万円
[内訳]
家賃9.5万円、水道光熱費2万円、通信・交通費4万円、食費・雑費その他9万円、学資保険1万円、貯金2.5万円
※月8万円のパート代は、美奈子さんの好きに使っていいと言われている。5万円ほどを化粧品や子供の服に使い、残りの3万円ほどは内緒の貯金に入金している。
相談内容
入社したての頃優しく仕事を教えてくれた会社の先輩である夫と仲良くなり、4年勤務後の26歳で結婚しました。しかしその後、同じ会社に勤務できる雰囲気ではなかったのでやむなく退職し主婦になりました。
1年後子どもを授かり、幸せに暮らしてはいましたが、最近夫は会社の同僚と浮気をしているようです。以前も別の人と同じようなことがあり、我慢の限界になってきています。
今、扶養の範囲内で月8万円ほどの収入しかありませんが、離婚してもやっていけるでしょうか? 今後どうすればよいでしょうか?
ファイナンシャルプランナー稲村優貴子さんのアドバイス
● 結婚は勢いでできるが離婚はそうはいかない
40歳を目前にすると自分の人生について考える方が多くなります。美奈子さんもいろいろなことをお考えだったのですね。二人の生活を一つにする結婚は、この人と一緒になりたいという思いがあればできるものです。しかし離婚となるとそうはいきません。これまでの生活環境をリセットし、その後の生活を一から築いていく必要があるからです。美奈子さんは、幸いご主人様に内緒にしてある独身の頃の貯金が200万円あります。もし離婚した場合に、新たな生活をスタートさせる資金があるのは女性にとってとても大切なことです。
● 子どもがいる場合は親権が自分になるかも重要
美奈子さんのご家庭の場合、相手方に不貞行為という離婚原因があるので親権は美奈子さんがとりやすいといえるでしょう。しかし、離婚の話し合いがこじれて調停や裁判になった場合、美奈子さんに生活できる収入がなければ「こちらの親が子どもを育てていけるのか?」という視点からも親権を考慮されるので不利になってしまいます。今後、離婚するか否かを問わず自分で生活できる経済力を持っておいたほうがよいでしょう。養育費の取り決めをしても毎月支払ってもらえるとは限りません(多くのケースで養育費は払われていません)。娘さんの高校・大学の費用はどうするのかも考えておきたいところです。
● おひとりさまになる老後の年金は少ない
また、老後の年金が美奈子さんのみの場合かなり少ないことも心しておく必要があります。おおよそ定年まで勤めあげた会社員と専業主婦の夫婦でもらえる年金は月23万円程度。今後美奈子さんが40歳から月収25万円ほどの正社員で60歳まで勤務したとするとひとり分の年金は月10万円に満たない金額になると思われます。子どもを育て上げた後の自分の生活もイメージしていくことが大切です。
神様に誓ったのですから一生添い遂げたいと思うかもしれません。自分が選んだ人だからと自分さえ我慢すればという気持ちになってしまうかもしれません。しかし、美奈子さんの人生は美奈子さんのものです。自分が自分でいられるにはどうしたらよいか、それにはお金が必要です。見切り発車はせず、少しずつ考えていきましょう。
経済力の大切さを知り、未来に向かって行動
相談を終えた美奈子さんは、次のようなことを話していました。
「離婚するとしたら、どのようなことを考えていかなくてはいけないのか整理できました。本当は優しい夫と可愛い娘と仲良く一緒にいられるのが一番いいと思っていますが、辛いことが多くなってきている現状です。将来もらえる年金がイメージできたので離婚するにしてもしないにしても経済力をつけておくことは大事だなと思います」
2回の面談の後、フルタイムで働きだしたというメールはいただきましたが、離婚したという報告はまだありません。美奈子さんが美奈子さんらしく輝き続けられるよう祈っているところです。
人生には様々な出来事があります。嬉しいことをするにも、悲しい出来事を乗り越えるためにも、そして生活するためにもお金は必要です。自分だけではどうしてよいかわからないこのような時もファイナンシャルプランナーはお客様に寄り添って一緒に考えていきます。
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稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー
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